阪神のアレが裏付ける12月13日発表の日銀短観12月調査・大企業・業況判断DIの改善。新たな材料に乏しい状況だが、製造業は3期連続、非製造業は7期連続で緩やかな改善か。―日本の主要経済指標予測(2023年12月6日)―
日銀短観12月調査、大企業・製造業・業況判断DI+12程度と、9月調査+9から上昇。大企業・非製造業・業況判断DI+29程度と、9月調査+27から上昇か。
日銀短観12月調査では、大企業・製造業の業況判断DIは前期に引き続き自動車などでの改善が見込まれ、+12程度と9月調査の+9から3ポイント程度上昇すると予測しました。予測通りなら3期連続の改善になります。
また、大企業・非製造業の業況判断DIは+29程度と、こちらは9月調査の+27から2ポイント程度上昇し、7期連続の改善になると予測します。インバウンド需要の増加で宿泊・飲食サービスなどが改善に寄与すると思われます。予測通りなら91年11月調査の+33以来の水準になります。
鉱工業生産指数からみると、大企業・製造業・業況判断DIは緩やかな改善か
大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数と強い相関があります。21世紀に入った2001年1~3月期から2023年7~9月期までの期間で、大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数との相関係数は0.643です。同期間で回帰分析を行うと、鉱工業生産指数が1ポイント上昇すると、大企業・製造業・業況判断DIが約1.4ポイント高まる関係があります。
23年10~12月期・前期比は、10月速報値を11月の経済産業省の先行き試算値最頻値・前月比(▲1.9%)、12月製造工業生産予測指数・前月比(+3.2%)で延長すると+0.8%になります。7~9月期の指数水準103.5から+0.8%上昇すると10~12月期の鉱工業生産指数は104.3になるので、指数は0.8ポイント上昇になります。
11月と12月の前月比をどちらも製造工業生産予測指数・前月比(▲0.3%、+3.2%)で延長すると10~12月期前期比は+1.9%になります。10~12月期の鉱工業生産指数は105.5になるので、指数は2.0ポイント上昇になります。12月調査・大企業・製造業・業況判断DIは9月調査から緩やかな上昇が見込まれます。
日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(12月調査)やロイター短観(12月調査)の動向。
12月5日に発表されたQUICK短観12月調査の調査期間は11月20日から11月30日です。12月調査の製造業の業況判断DIは9月調査の+10と同じ+10となりました。また、12月調査の非製造業の業況判断DIは+31と、こちらも9月調査と同じDIになりました。
12月6日に発表されたロイター短観12月調査の調査期間は11月 21日から12月1日です。12月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+4から8ポイント改善し+12になりました。また、12月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+17から10ポイント改善し+27になりました。
ロイター短観12月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査の+23から3ポイント上昇し+26になりました。また、12月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査の+15から6ポイント上昇し+18になりました。
QUICK短観12月調査の製造業の3月までの「先行き見通し」+10で12月実績の+10と同水準の見込み、また、非製造業の3月までの「先行き見通し」は+31で12月実績の+31と同水準になる予想です。
ロイター短観12月調査の3月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+8と12月実績の+12から8ポイント低下の見込み、製造業・200社ベースで+22と12月実績の+27からこちらは5ポイント低下する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの3月までの「先行き見通し」は+24と12月実績の+26から2ポイント低下する見込み、非製造業・200社ベースで+18と12月実績の+21から3ポイント低下の見込みです。
日銀短観の大企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は12月実績比2ポイント低下の+10程度になるとみました。一方、非製造業は12月実績比2ポイント低下の+27程度と予測しました。12月実績から3月見通しは先行きの不透明感から若干悪化するという数字になると予測しました。
阪神タイガースのアレが裏付ける大企業・全産業・業況判断DIの改善
今年は阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグでアレし、38年ぶりにアレのアレを果たしました。1973年以降2022年までの50年間で阪神タイガース優勝が優勝したのは1985年、2003年、2005年の3回です。
1973年以降2022年までの50年間での日銀短観・大企業・全産業12月調査の前年差変化幅の平均は▲0.2ポイントです。人気球団の巨人の優勝年では改善・悪化が概ね半々ですが、前年差変化幅の平均は+5.7ポイントの改善です。人気2位の阪神の優勝年では改善が2回・悪化が1回ですが、前年差変化幅の平均は+1.7ポイントと改善です。残る4球団(ヤクルト・広島・中日・DeNA)の優勝年では改善が12回・悪化が15回ですが、平均は▲4.7ポイントの悪化になります。
22年12月調査の大企業・全産業の業況判断DIは+13でした。阪神の優勝年の23年12月調査では+19程度が見込まれます。前年から改善するという傾向は今年も成り立ちそうです。
12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲6程度、非製造業が+10程度か
12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲6程度と9月調査の▲5から1ポイント程度悪化すると予測しました。非製造業は9月調査の+12から2ポイント程度低下し+10程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測しました。
参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が23年6月調査48.8、7月調査46.1、8月調査47.1、9月調査43.7、10月調査44.1と推移しています。
一方、非製造業は23年 6月調査51.6、7月調査51.9、8月調査51.3、9月調査51.1、10月調査49.3と推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。
日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲6程度と予測通りなら、9月調査の「先行き見通し」の▲2から4ポイント下振れで事前の見通しから悪化したことになるでしょう。また中小企業・非製造業が+10程度と予測通りなら、9月調査の「先行き見通し」の+8より2ポイント高い水準で、実績は低下したものの事前の見通しの低下幅より小幅にとどまったことを意味するでしょう。
日銀短観の中小企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、製造業で12月実績と同水準の▲6程度、一方、非製造業は12月実績比4ポイント悪化の+6程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。
設備投資計画、12月調査は9月調査からやや下方修正されるか
12月日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査である10~12月期の法人企業景気予測調査の発表が12月11日でこの予測レポートに間に合わないので、景気ウォッチャー調査から作成する設備投資DIや、過去の修正パターンなどを参考にしました。
景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年4月54.2、5月50.0、6月52.1、7月53.6、8月50.0、9月60.0、9月50.0と推移しています。一方、設備投資関連・先行き判断DIは23年4月75.0、5月71.4、6月52.8、7月60.7、8月54.2、9月62.5、10月58.3と推移しています。
23年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+13.0%程度と、9月調査の同+13.6%からやや下方修正されると予測しました。一方、23年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+9.5%程度と、9月調査の同+8.0%から上方修正されると予測しました。
<12月調査日銀短観・予測値>
(1)大企業
12月製造業DI +12
12月非製造業DI +29
3月製造業DI +10
3月非製造業DI +27
23年度設備投資計画(全産業)前年度比 +13.0%
(2)中小企業
12月製造業DI ▲6
12月非製造業DI +10
3月製造業DI ▲6
3月非製造業DI +6
23年度設備投資計画(全産業)前年度比 +9.5%
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。