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10月鉱工業生産指数は実質輸出などからみて2カ月連続で前月比上昇か。10月商業販売額・小売業の前年同月比は9月から伸び率が鈍化すると予測―日本の主要経済指標予測(2023年11月20日)―

10月の鉱工業生産指数の関連指標、景気ウォッチャー調査・製造業DI、製造工業生産予測指数などは、前月比上昇を示唆(11月30日発表)

 10月31日に発表された9月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比+0.2%と3カ月ぶり上昇になりました。経済産業省の基調判断は「生産は一進一退で推移している」で、3月~6月の「生産は緩やかな持ち直しの動き」から下方修正になった7月から3カ月連続同じ判断になりました。
 
 9月速報値では、全体15業種のうち、自動車工業を中心に9業種が上昇、6業種が低下という結果で、全体として上昇しました。
 
 11月15日に発表された鉱工業生産指数・9月確報値の前月比は+0.5%の上昇と、茶系飲料、医薬品等が加わったことにより速報値から上方修正されました。前月比は3カ月ぶり上昇です。業種ごとにみると全体16業種のうち、新たに食料品・たばこ工業が加わり10業種が上昇、6業種が低下という結果になりました。
 
 11月30日に発表される10月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は+0.4%程度と、2カ月連続上昇になると予測しました。また、10月の前年同月比は+0.2%程度と5カ月ぶりの上昇になると予測しました。
 
 製造工業生産予測指数の10月は前月比+3.9%の上昇の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、10月の前月比は先行き試算値最頻値で+1.1%の上昇になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲0.3%~+2.6%になっています。
 
 なお、トヨタ自動車が、取引先の部品メーカーで起きた爆発事故の影響を受け、10月16日から、26日に全面的に生産を再開するまでの間、国内の一部工場で生産を停止した影響や、日野自動車でも部品の発注処理ができず、31日に全工場が通常稼働に戻るまで、20日から一部で稼働停止した影響が出るものと思われます。。
 
 10月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は▲1.2%の減少になりました。日銀の輸出物価指数の10月の前月比は+0.7%です。一方で、10月の日銀の実質輸出の前月比は+0.8%の増加になりました。
 
 景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8、7月46.1、8月47.1、9月43.7、10月44.1と、10月は9月から上昇しました。ロイター短観(400社ベース)の製造業・業況判断DIは、10月は9月から横ばいでしたが、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、10月は9月から上昇しました。
 
 このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。

※2023年10月は筆者予測値

10月商業販売額・小売業の前年同月比は9月+6.3%を下回る増加率か(11月30日発表)

 10月31日に発表された9月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.8%と8月確報値の+7.1%から増加率が鈍化しました。11月15日に発表された9月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+6.3%に上方修正されました。
 
 11月30日に発表される10月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+4.6%程度と9月確報値の+6.3%から増加率が鈍化すると予測します。
 
 10月の大手百貨店5社の売上高・前年同月比の単純平均は+10.0%で9月の+16.3%から6.3ポイント縮小していることなどを参考にして、各種商品小売業・10月前年同月比は9月の+5.6%から増加率が縮小するとみました。また。燃料小売業の10月の前年同月比は9月の+7.1%から増加率が縮小する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、10月は+3.8%程度と9月の+8.1%程度の上昇率が鈍化しました。一方、自動車小売業の10月前年同月比は9月の+10.9%から増加率が拡大するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の10月前年同月比は+14.9%で9月の+12.4%から増加率が拡大しているからです。
 
 なお、景気ウォッチャー調査で9月から10月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、47.7から46.7へ低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。

※2023年10月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。