11月の自殺者数・暫定値は前年同月比▲16.2%、但し、10月と8月は減少から増加に転じる。11月の完全失業率は2.5%程度を予測―日本の主要経済指標予測(2023 年12月18日)―
11月有効求人倍率は1.30倍程度と10月から横ばいを予測(12 月 26日発表)
12月1日に発表された10 月の有効求人倍率は1.30倍で9月0.01ポイント上回り、22年12月以来10カ月ぶりに上昇しました。求職では、物価高で実質賃金が伸び悩む中、転職などをめざす動きが出ています。求人は、人手不足の宿泊業・飲食サービス業などの業種では増えているものの、建設業や製造業では人手不足にも関わらず、原材料価格の高騰などの影響によって求人を出せないという傾向が続いていて、有効求人倍率の上昇抑制要因になっています。
景気動向指数の先行系列に採用されている新規求人数は10月では前月比+1.9%と2カ月ぶりに増加しました。新規求職者数も前月比+1.0%と2カ月ぶりに増加しました。
有効求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
11月の有効求人倍率は 1.30倍程度を予測します。予測通りなら10月に続いて2カ月連続同水準になります。
景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は 22 年 10 月の 52.8 をピークに 1 月の
47.2 まで低下基調にありました。その後 2 月 51.2、3 月 53.9、4 月 53.4、5 月54.4、6 月54.3 のあと7月に55.3と極大値をつけますが、8月52.5、9月51.5、10月50.8、11月48.5と低下傾向で推移しています。一方、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は10月2.24倍で、9月の2.22倍に比べて0.02ポイント上昇しました。また、10月の有効求人倍率を小数点第3位までみると1.299倍 で1.30倍をやや下回っていることなど、総合的に考慮しました。
11 月完全失業率は 2.5%程度と10月と同水準か(12 月 26日発表)
12 月1日に発表された10月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.5%で9月の2.6%から0.1ポイント低下しました。2カ月連続で改善となりました。10月は就業者数が6,771万人と前年同月比+0.2%で15カ月連続の増加になりました。完全失業者数は175万人と前年同月比で▲1.7%と減少しました。2カ月連続の減少になりました。求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が4万人減少。「自発的な離職(自己都合)」が11万人の増加。「新たに求職」が6万人減少しました。
ちなみに、10月の完全失業率は小数点第2位までだと2.53%です。9月は2.55%から0.02ポイント低下しました。10月の女性の失業率は2.52%で9月の2.33%から0.19ポイントと上昇しました。これまで働いていなかった女性が職を求めはじめていて、10月では仕事に就けなかった人が増えたと思われます。一方、10月の男性の失業率は2.55%で9月の2.76%から0.21ポイント低下しました。9月から10月にかけての失業率の動きは、男女で逆方向になりました。
11月の完全失業率(季節調整値)は 2.5%程度と 10月の 2.5%と同程度になると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.42%、2 月2.60%、3 月 2.81%、4 月 2.59%、5 月 2.55%、6 月 2.48%、7月 2.65%、8月 2.66%、9月 2.55%、10月 2.53%と推移しています。
原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 23 年11 月の推計季節指数は0.956で 23 年10月の0.994より小さいため、季節調整値の完全失業率は10月の 2.5%から大きく低下する可能性は小さいとみました。
自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 22 年までの 45 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。10月暫定値時点では、自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.7%、2 月+10.6%、3 月+1.7%、4 月+7.7%の増加のあと、5月は▲13.0%と13 カ月ぶり減少になり、その後6月は▲10.4% 、7 月▲1.8%、8 月▲0.4%、9 月▲7.2%、10月暫定値▲4.2%と6カ月連続の減少でしたが、11月暫定値時点で過去の数字が変わり連続減少が途絶えました。
11月暫定値時点では、自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.7%は同じでしたが、2 月+10.8%、3 月+1.8%、4 月+7.9%の増加に上方修正され、それ以降は、5月▲12.8%、6月▲10.2% 、7 月▲1.1%と減少率が縮小しました。8 月は+0.6%と増加に転じ、9 月▲4.6%と減少率縮小、10月は+1.4%と増加に転じました。11月暫定値は▲16.2%、2ケタの大幅減少と発表されました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。
11月新設住宅着工戸数の前年同月比は、6カ月連続減少か(12月27日発表)
11 月30 日に発表された10月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲6.3%の7万Ⅰ,769戸で、5カ月連続減少しました。物価高や資材価格高騰による物件価格の上昇で、購入意欲の低迷が続いています。季節調整済み年率換算80.8万戸で前月比+1.0%の増加でした。
持ち家は前年同月比▲17.2%で23カ月連続の減少、貸家は前年同月比▲1.0%と3か月連続の減少になりました。分譲住宅は前年同月比▲1.2%で5カ月連続の減少、但しうちマンションは前年同月比+9.4%と4カ月ぶりの増加となりました。
11月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲4.9%程度と 6カ月連続の減少になると予測しました。11月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は80.0万戸程度、前月比は▲1.0%程度の減少になるとみました。
景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、23 年 1 月 40.7、2 月40.0、3 月 42.3、4月 42.6、5 月 43.2 、6月 43.2 、7月 43.4、8月 41.5、9月 43.8、10月39.4、11月38.8と 推移していることなどを参考に予測しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。