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4~6月期実質GDP第2次速報値・前期比年率+3.1%と第1次速報値とほぼ変わらずと予測。法人企業統計を受けた設備投資の下方修正と、公共投資の上方修正が相殺するかたちか。―日本経済の主要経済指標予測(2024年9月2日)―

4~6月期法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+9.1%と、1~3月期の+6.8%から2.3ポイント改善、季節調整済み前期比+1.9%の増加。

 4~6月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+9.1%と、1~3月期の前年同期比+6.8%から2.3ポイント改善し、13四半期連続の増加になりました。1~3月期で前年同期比+9.8%の増加だった製造業は、4~6月期では同+2.7%へと7.1ポイント増加率が鈍化しました。一方、非製造業は1~3月期で前年同期比+5.3%でしたが、4~6月期では同+13.0%へと7.7ポイント増加率が改善しました。
 
 4~6月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+1.9%と2四半期ぶりの増加です。4~6月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比と同じ伸び率になりました。なお、製造業は▲3.3%と2四半期連続減少、非製造業は+4.9%で4四半期連続の増加になりました。。
 
 供給サイドのデータに基づいて算出した4~6月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前期比は+1.9%で、4四半期連続の増加に、前年同期比は+6.3%と13四半期連続の増加になりました。1~3月期は+3.1%でした。
 
 法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は1~3月期から4~6月期にかけ2.3ポイント増加率が高まりました。しかし、GDP第1次速報値の方は3.2ポイント増加率が高まっていて、それよりは低い変化幅になりました。

4~6月期実質GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+0.8%程度と第1次速報値の前期比+0.9%から増加率がやや鈍化か。(9月9日)

 9月9日に発表される4~6月期四半期別GDP速報(第2 次速報値)では、法人企たた改定値が発表されます。改定値が発表されます。4~6月期GDP第1次速報値で、民間企業設備の推計過程にお いて、供給側基礎統計の情報に基づいて算出した供給側推計値は名目原系列前期比 ▲9.4%、また、供給側推計値の情報を用いて仮置きした需要側推計値は名目原系列前期比▲32.1%であると公表されています。
 
 原系列前期比は▲32.1%を法人企業統計調査に当てはめると、前年同期比は+10.3%になります。実際の4~6月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は▲32.8%、前年同期比は+9.1%で仮置き値より小さい増加率になりました。法人企業統計調査はやや下方修正要因と考えました。
 
 また、特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の前年同月比は4月+0.4%、5月+3.4%でしたが、6月は+3.5%と増加率が高まり、上方修正要因になるとみました。一方、ゲームソフトの前年同月比は4月▲50.5%、5月▲24.5%、4~5月平均では▲39.9でしたが、6月は▲44.8%とこちらは減少率が大きくなりました。
 
 総合的に判断して、4~6月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比+0.8%程度と、第1次速報値の同+0.9%から増加率がやや鈍化すると予測しました。
 
 4~6月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆6,180億円で23年4~6月期の2兆3,680億円からは7,500億円の減少でした。4~6月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.5%でした。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえませんが、4項目中マイナス寄与は3項目、マイナス寄与が大きい方から、仮置き値の原材料在庫、流通在庫、製品在庫の順になっていて、プラス寄与は1項目、仮置き値の仕掛品在庫だということです。
 
 4~6月期の法人企業統計では、原材料・貯蔵品在庫は前年同期差+4,219億円のプラスで、仕掛品在庫の前年同期差は▲7,831億円のマイナスとどちらも仮置き値とは逆方向の動きになっています。GDP第2次速報値の民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.5%からあまり変わらず▲0.5%程度になるとみました。


 

実質GDP第2次速報値は、前期比年率+3.0%程度と、第1次速報値とほぼ変わらずか。

 4~6月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比+0.8%程度と、第1次速報値の同+0.9%からやや鈍化し、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は▲0.1%程度と第1次速報値の▲0.1%と同程度とみました。
 
 なお、公共工事出来高の前年同月比は4月+2.8%、5月+2.1%でしたが、6月は+3.9%と伸び率が高まりました。このことから、6月が加味された第2次速報値の実質公共投資の前期比は第1次速報値の+4.5%から+4.7%程度に上方修正されると予測します。
 
 4~6月期GDP第2次速報値では設備投資の下方修正と公共投資の上方修正が相殺する形で、実質GDPは前期比+0.8%程度、前期比年率+3.1%程度と予測します。第1次速報値の前期比+0.8%、前期比年率+3.1%とほぼ変わらずになりそうです。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。