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7月1日発表の日銀短観6月調査・大企業・業況判断DIは、製造業は2期連続悪化、非製造業は16期ぶり悪化と、業況判断は弱含むと予測。―日本の主要経済指標予測(2024年6月19日)―

日銀短観6月調査、大企業・製造業・業況判断DI+9程度と、3月調査+11から低下。大企業・非製造業・業況判断DI+33程度と、3月調査+34から低下か。

 日銀短観6月調査では、大企業・製造業の業況判断DIはトヨタ自動車などの「型式認証不正」が判明した自動車の悪化がマイナスに寄与すると見込まれ、+9程度と3月調査+11から2ポイント程度悪化すると予測しました。予測通りなら2期連続の悪化になります。
 
 また、大企業・非製造業の業況判断DIは+33程度と、こちらは3月調査の+34から1ポイント程度低下し、16期ぶり悪化すると予測します。最近の『景気ウォッチャー調査』などをみても、これまで好調だったインバウンド関連の景況感の押し上げ効果が幾分弱まっている感じがします。

※24年6月調査の日銀短観・業況判断DIは筆者予測値

日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(6月調査)やロイター短観(6月調査)の動向。

 6月17日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は6月3日から6月12日です。ロイター短観の調査期間が6月5日からだったこととの違いに留意が必要かもしれません。製造業の業況判断DIは3月調査の+7から14ポイント改善し+21となりました。また、6月調査の非製造業の業況判断DIは+30と、こちらは3月調査の+34から4ポイント悪化しました。 

 6月19日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月5日から6月14日です。6月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+10から4ポイント悪化し+6になりました。また、6月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+23から4ポイント悪化し+19になりました。
 
 ロイター短観6月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の+32から1ポイント低下し+31になりました。一方、6月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の+23から3ポイント上昇し+26になりました。

 QUICK短観6月調査の製造業の9月までの「先行き見通し」+23で6月実績の+21から2ポイント改善の見込み、一方、非製造業の9月までの「先行き見通し」+29で6月実績の+30から1ポイント低下の見込み予想です。
 
 ロイター短観6月調査の9月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+9と6月実績の+6から3ポイント改善の見込み、製造業・200社ベースで+22と6月実績の+19からこちらも3ポイント改善する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの9月までの「先行き見通し」は+31と6月実績の+31と同水準の見込み、非製造業・200社ベースで+19と6月実績の+26から7ポイント低下の見込みです。
 
 日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は6月実績比3ポイント改善の+12程度になるとみました。一方、非製造業は6月実績比1ポイント低下の+32程度と予測しました。6月実績から9月見通しで、製造業は自動車の不正問題の落ち込みから持ち直し、非製造業は先行きの不透明感から若干悪化するという数字になると予測しました。

6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲5程度、非製造業が+12程度と、ともに3月調査から悪化か。

 6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲5程度と3月調査の▲1から4ポイント程度悪化すると予測しました。非製造業は3月調査の+13から1ポイント程度悪化し+12程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして総合的に判断し予測しました。
 
 参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が24年3月調査47.3、4月調査46.7、5月調査43.0と推移しています。
 
 一方、非製造業は24年3月調査50.2、4月調査49.6、5月調査49.9と推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。
 
 日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、製造業で6月実績比1ポイント改善の▲4程度と予測しました。一方、非製造業は6月実績比4ポイント悪化の+8程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。
 

24年度設備投資計画、6月調査は3月調査から上方修正を予測。

 6月日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査である4~6月期の『法人企業景気予測調査』や、過去の修正パターンなどを参考にしました。
 
 23年度の大企業・全産業の設備投資(実績)は前年度比+8.4%程度と、3月調査の同+11.5%から下方修正されると予測しました。一方、23年度の中小企業・全産業の設備投資(実績)は、同年度の調査中で期を追うごとに伸び率が高まる傾向を考慮し、前年度比+10.1%程度と、12月調査の同+8.4%から上方修正されると予測しました。
 
 24年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+12.1%程度と、3月調査の同+4.0%から上方修正されると予測しました。中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲0.5%程度と、3月調査の同▲3.5%から上方修正されると予測しました。
 
<6月調査日銀短観・予測値>
(1)大企業
              6月製造業DI   +9
              6月非製造業DI  +33
              9月製造業DI   +12
              9月非製造業DI  +32
  23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +8.4%
  24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +12.1%
 
(2)中小企業
              6月製造業DI   ▲5
              6月非製造業DI  +12
              9月製造業DI   ▲4
              9月非製造業DI  +8
  23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +15.4%
  24年度設備投資計画(全産業)前年度比   ▲0.5%
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。