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1~3月期実質GDP第2次速報値・前期比年率▲2.0%と第1次速報値とほぼ変わらずか。法人企業統計発表後でも、設備投資と民間在庫変動は第1次速報値とほぼ変わらず。公共投資が僅かな上方修正の見通し。―日本経済の主要経済指標予測(2024年6月3日)―

1~3月期法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+6.8%と10~12月期+11.7%から4.9ポイント鈍化、季節調整済み前期比▲0.5%の減少。

 1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+6.8%と、10~12月期の前年同期比+11.7%から4.9ポイント鈍化したものの、12四半期連続の増加になりました。10~12月期で前年同期比+20.1%の増加だった製造業は、1~3月期では同+9.8%へと10.3ポイント増加率が鈍化しました。非製造業は10~12月期で前年同期比+7.1%でしたが、1~3月期では同+5.3%へと1.8ポイント増加率が鈍化しました。
 
 1~3月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は▲0.5%と3四半期ぶりの減少になりました。製造業は▲3.0%と3四半期ぶりの減少、非製造業は+1.0%で3四半期連続の増加です。
 
 供給サイドのデータに基づいて算出した1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前期比は▲0.0%で、前年同期比は+2.6%と12四半期連続の増加になりました。しかし、10~12月期の前年同期比+5.6%から増加率は鈍化しました。
 
 一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は10~12月期から1~3月期にかけ4.9ポイント増加率が鈍化しました。GDP第1次速報値の方は3.0ポイント増加率が鈍化しています。

1~3月期実質GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲0.8%程度と第1次速報値の前期比とほぼ同じ減少率か。(6月10日)

 6月10日に発表される1~3月期四半期別GDP速報(第2 次速報値)では、法人企業統計などの基礎データを加えた改定値が発表されます。
 
 1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、設備投資供給側推計値・名目原系列前期比は+1.5%、また供給側推計値の情報を用いて仮置きした需要側推計値の名目原系列前期比は+26.7%であると公表されています。原系列前期比は+26.7%を法人企業統計調査に当てはめると、前年同期比は+6.1%になります。実際の1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+27.5%、前年同期比は+6.8%で仮置き値よりやや大きい増加率になりました。法人企業統計調査はやや上方修正要因と考えました。
 
 一方、特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の前年同月比は1月+4.2%、2月+10.5%でしたが、3月は+3.9%と増加率が鈍化しました。また、ゲームソフトの前年同月比は1月▲11.7%、2月+12.9%でしたが、3月は▲9.4%となりました。ソフトウエア投資は下方修正要因になりそうです。
 
 総合的に判断して、1~3月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比▲0.8%程度と、第1次速報値の同▲0.8%とほぼ同じ減少率と予測しました。
 
 1~3月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲1兆3,238億円で23年1~3月期の▲9,859億円からは3,779億円の減少でした。1~3月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%でした。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえませんが、4項目中マイナス寄与は3項目、マイナス寄与が大きな方から、流通在庫、仮置き値の仕掛品在庫、仮置き値の原材料在庫の順になっていて、プラス寄与は1項目、製品在庫だということです。
 
 1~3月期の法人企業統計では、原材料・貯蔵品在庫は前年同期差▲8,508億円と大きなマイナスです。仕掛品在庫の前年同期差は▲432億円のマイナスで、どちらも仮置き値とは同方向の数字になっています。GDP第2次速報値の民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.2%から変わるほどではないとみて、▲0.2%程度になるとみました。
 

実質GDP第2次速報値では、実質GDPは前期比年率▲2.0%程度と、第1次速報値と変わらずか。

 1~3月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲0.8%程度と、第1次速報値の同▲0.8%と同じ減少率になると予測します。また、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は+0.2%と第1次速報値の+0.2%とこちらもほぼ変わらずとみました。
 
 なお、公共工事出来高の前年同月比は1月+3.1%、2月+6.7%でしたが、3月は+9.4%と伸び率が高まりました。このことから、3月が加味された第2次速報値の実質公共投資の前期比は第1次速報値の+3.1%から+3.3%程度に僅かに上方修正されると予測します。
 
 1~3月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲0.5%程度、前期比年率▲2.0%程度と予測します。第1次速報値の前期比▲0.5%、前期比年率▲2.0%とほぼ変わらずになりそうです。 


※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。