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10月貿易統計・出超額は2カ月ぶりの赤字を予測。10月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は9月から上昇か―日本の主要経済指標予測(2023年11月8日)―

10月貿易統計・通関収支差は▲8,600億円程度の赤字を予測(11月16日発表)

 10月27日に発表された9月分貿易統計確報によると、輸出金額は9兆1,991億円、前年同月比+4.3%で3カ月ぶりの増加、輸入金額は9兆1,270億円、▲16.4%で6カ月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は721億円と3カ月ぶりの黒字になりました。
 
 輸出では、自動車、自動車の部分品、医薬品などが増加し、半導体等製造装置、鉱物性燃料、半導体等電子部品などが減少しました。一方、輸入では、原粗油、LNG、石炭などが減少しました。
 
 10月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲8,600億円程度と2カ月ぶりの赤字になると予測します。前年同月の▲2兆1,715億円の赤字から前年同月比▲60.4%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、10月上中旬の通関収支差は▲8,944億円で、前年同旬比▲47.1%の赤字幅縮小となっています。
 
 10月の輸出額は9兆365億円程度、前年同月比は+0.4%程度と2カ月連続の増加になると予測します。10月上中旬で輸出額は前年比+0.7%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、原料品、航空機類で、大きく減少した品目は半導体等製造装置、鉱物性燃料、科学光学機器でした。
 
 10月の輸入額は9兆8,965億円程度、前年同月比は▲11.4%程度と7カ月連続の減少になると予測します。10月上中旬で輸入額は前年比▲10.1%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は通信機で、大きく減少した品目は石炭、LNG、原粗油でした。
 
 10月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は85,985円/㎘で前年同旬比▲11.3%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲2.1%程度の減少、金額は前年同旬比▲13.1%程度の減少でした。10月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、昨年が9万円/㎘台と高かった反動で7カ月連続の下落になると思われます。

※2023年10月は筆者予測値

10月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+3.0%程度と9月の+2.8%からの上昇を予測。東京都区部の上昇と大阪市の鈍化を総合的に判断。(11月24日発表)

 9月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.0%と8月の+3.2%から鈍化しましたが、25か月連続上昇しました。生鮮食品が9月は前年同月比+9.6%と8月の+5.3%から上昇しました。9月の生鮮食品を除く総合は、政府による電気・都市ガス料金抑制策でエネルギー価格が大幅に下落したことで、前年同月比で+2.8%と8月の+3.1%から鈍化し13か月ぶりに3%を下回りましたが、25か月連続で上昇しました。
 
 9月の「生鮮食品を除く食料」の上昇率は前年同月比+8.8%と8月の+9.2%から鈍化したものの、原材料や輸送コストの上昇分を価格に転嫁する動きが続いています。宿泊料は観光需要の回復に伴って前年同月比+17.9%伸びました。8月の+18.1%に続き10%台後半の伸び率になりました。
 
 一方、エネルギーの9月の前年同月比は▲11.7%と8月の▲9.8%から下落率が拡大しました。政府の価格抑制策などを背景に、電気代が▲24.6%と8月の▲20.9%から、都市ガス代が▲17.5%と8月の▲13.9%からと、各々下落率が拡大しました。
 
 9月の生鮮食品とエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.2%で8月の+4.3%から鈍化したものの、18か月連続で上昇しました。
 
10月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.2%程度と9月の+3.0%から伸び率が高まり、26カ月連続の上昇になると予測しました。10月の前月比は+0.6%程度とみました。
 
 10月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+3.0%程度と9月の+2.8%から0.2ポイント程度上昇率が高まり、26カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.6%程度とみました。10月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.1%程度と9月の+4.2%から0.1ポイント程度上昇率が鈍化するものの、19カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.2%程度と予測しました。
 
 既に発表されている10月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と10月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。両者は逆方向の動きをしている項目もあり、総合的に判断することにしました。
 
 関連データである10月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+3.3%と9月の+2.8%から0.5ポイント上昇率が高まりました。10月の生鮮食品は前年同月比+16.3%と9月の+10.1%から上昇率が高まり、前年同月比寄与度差は+0.25%の上昇要因になりました。
 
 また、政府による電気代、都市ガス代の補助が半減したことが全体を押し上げました。10月の電気代は前年同月比▲18.6%と9月の▲25.7%から下落率が縮小し、前年同月比寄与度差は+0.24%の上昇要因になりました。10月の都市ガス代は前年同月比▲14.2%と9月の▲17.1%から下落率が縮小し、前年同月比寄与度差は+0.04%と上昇要因になりました。一方、10月のガソリンの前年同月比は+7.4%と9月の+10.0%から上昇率が縮小し、寄与度差は▲0.02%と下落要因になりました。
 
 生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差が▲0.25%の下落要因になる一方で、宿泊料の前年同月比寄与度差が+0.22%の上昇要因になりました。
 
 一方、大阪市消費者物価指数・総合・10月(中旬速報値)前年同月比は+3.0%で9月の+3.3%から伸び率が鈍化しました。上下水道代の前年同月比が9月の+69.1%の上昇から10月は▲0.1%の下落に転じたことが影響しているようです。
 
 10月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.7%で9月の+2.5%から0.2ポイント上昇率が高まりました。一方、大阪市の10月は前年同月比+2.6%で9月の+3.0%から0.4ポイント上昇率が鈍化しました。

 10月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.8%と9月の+3.9%から0.1ポイント上昇率が鈍化しました。また、大阪市の10月前年同月比は+4.1%で9月の+5.1%から1.0ポイント上昇率が鈍化しました。

※全国消費者物価指数10月前年同月比は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。