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『内閣府年央試算』や7月IMF『世界経済見通し』で、24年度・24暦年の日本・実質GDP成長率見通しは下方修正されたものの、数字はまだ高すぎ?―景気の予告信号灯としての身近なデータ(2024年7月23日)―

『ESPフォーキャスト調査』の平均予測より『内閣府年央試算』の方が強気の、24年度・実質GDP成長率見通し。

 7月19日の経済財政諮問会議で、『内閣府年央試算』が提示されました。24年度の実質GDP成長率は+0.9%で、1月に閣議決定された『政府経済見通し』の+1.3%から0.4ポイント下方修正されました。
 
 GDPの6割弱のウエイトがある個人消費が実質+0.5%の増加と、円安による物価上昇の影響や自動車の不正問題で、『政府経済見通し』の+1.2%から0.7ポイント下方修正されました。24年度の消費者物価指数(総合)見通しは前年度比+2.8%の上昇と+2.5%から0.3ポイント上方修正されました。また、一部自動車メーカーの不正による生産・出荷停止の影響などで個人消費が前期比▲0.7%と大きく落ち込んだ影響で、4月に始まる24年度の見通しが下振れしたと思われます。
 
 実質民間設備投資は+3.3%の増加見通しで『政府経済見通し』と同じ伸び率になりました。堅調な企業収益や各種設備投資計画調査のしっかりした内容などを背景に企業の投資意欲が強いと判断したものと思われます。
 
 民間エコノミストのコンセンサス調査である『ESPフォーキャスト調査』の直近予測である7月調査の平均予測値では、実質GDP成長率が+0.4%、実質個人消費が+0.4%、実質民間設備投資が+2.4%です。『ESPフォーキャスト調査』の平均予測値より『内閣府年央試算』の方が強気です。
 
 なお、24年度の実質GDP成長率が『内閣府年央試算』の+0.9%になるためには、各四半期で前期比+0.7%、前期比年率だと+2.8%と+3%近い伸び率が必要です。

7月のIMF『世界経済見通し』で下方修正され+0.7%になった日本の24暦年実質GDP成長率見通しはまだ高すぎ、10月でさらに下方修正か。

 IMF(国際通貨基金)は3カ月ごとに年4回『世界経済見通し』を発表しています。7月16日に最新の『世界経済見通し』を発表しました。24年の世界経済の実質GDP成長率は+3.2%の予測で、4月の前回見通しから据え置きになりました。米国や日本などを下方修正する一方、中国などを上方修正しました。
 
 日本は、24暦年実質GDP 成長率は+0.7%と、4月から0.2ポイント下方修正されました。なお、25暦年は+1.0%で4月と同じ予測値になりました。
 
 23暦年から24暦年への実質GDP 成長率のゲタは▲0.3%。また、24年1~3月期が前期比年率▲2.9%のマイナス成長だったこともあり、24暦年実質GDP 成長率+0.7%見通しを達成するには4~6月期、7~9月期、10~12月期の3四半期が各々前期比+1.1%、前期比年率+4.4%の高めの成長率になる必要があります。
 
 『ESPフォーキャスト調査』7月調査では24暦年実質GDP 成長率の平均予測値は▲0.21%とマイナス成長で、高位予測8名だけの平均予測値でも+0.23%と低い成長率です。おそらく、7月のIMF『世界経済見通し』には、時間的制約から、建設総合統計の遡及改定を反映し7月1日に発表された1~3月期GDP第2次速報値(改定値)が使われていないものと思われます。+0.7%という日本の24年実質GDP成長率は高すぎるとみられ、10月のIMF『世界経済見通し』で下方修正されるものと思われます。