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5月~ 8月の自殺者数4カ月連続・前年同月比減少。8月の完全失業率は7 月の2.7%から低下を予測―日本の主要経済指標予測(2023 年9 月19日)―

8月の有効求人倍率は4カ月連続で低下を予測(9 月 29 日発表)

  8 月29日に発表された7 月の有効求人倍率は1.29倍と前月から0.01ポイント下がり、3カ月連続で低下しました。求人は、人手不足の宿泊業・飲食サービス業などの業種で増えているものの、建設業など物価高騰の影響を受ける業種で減らす動きが出ています。一方で、物価高騰で生活費がかさみ、収入の増加を目指して求職活動が増加傾向にあることが要因のようです。

  求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
 
  8月の有効求人倍率は 1.28倍程度と7 月の 1.29倍とから4カ月連続で低下すると予測します。

  景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は 22 年 10 月の 52.8 をピークに 1 月の
47.2 まで低下基調にありましたが、その後 2 月 51.2、3 月 53.9、4 月 53.4、5 月54.4、6 月54.3 、7月55.3、8月52.5と推移しています。また、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は7 月 2.27倍で、6 月 2.32 倍に比べて 0.05 ポイント低下しました。

※2023年8月は筆者予測値

8 月完全失業率は 2.6%程度と7月の2.7%から低下か(9 月 29日発表)

  8 月 29日に発表された7 月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.7%で、6月の 2.5%から0.2ポイント上昇しました。ちなみに、小数点第2位までだと2.65%です。女性の失業率は2.6%で前月比0.5ポイント上昇しました。非労働力人口に分類されていた女性が労働市場に参入したことが要因です。物価高騰でかさむ生活費をカバーするため収入の増加したい人が多く、コロナ禍からの経済回復や最低賃金引き上げの動きもにらみ、労働参加の機運が醸成されたとみられます。7月の就業者数(季節調整値)は6,745万人で、前月と比べて▲10万人減少しました。7月の完全失業者数は184万人と、前月と比べて11万人増加しました。

 8月の完全失業率(季節調整値)は 2.6%程度と 7月の 2.7%から低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.42%、2 月2.60%、3 月 2.81%、4 月 2.59%、5 月 2.55%、6 月 2.48%、7月 2.65%と推移しています。また、原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 23 年8 月の推計季節指数は1.004で 23 年 7 月の0.991より小さいため、季節調整値の完全失業率は7 月の 2.7%から大きく上昇する可能性は小さいとみます。

 自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 22 年までの 45 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.3%、2 月+10.4%、3 月+1.2%、4 月+7.2%の増加のあと、5月は▲13.7%と13 カ月ぶりの減少になり、その後6月は▲11.3% 、7 月▲4.7%、8 月暫定値は▲7.0%と4カ月連続の減少になりました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。

8 月新設住宅着工戸数の前年同月比は、3カ月連続の減少か(9月29日発表)

 8 月31 日に発表された7 月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲6.7%減少の6万8,151戸で、2カ月連続減少しました。季節調整済み年率換算77.8万戸で前月比▲4.1%の減少でした。貸家は前年同月比+1.6%と2か月ぶりの増加になりましたが、持ち家は前年同月比▲7.8%で20カ月連続の減少、分譲住宅は前年同月比▲17.6%で2カ月連続の減少、但しうちマンションは前年同月比▲28.0%と3ヵ月ぶりの減少となりました。

 8月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲13.2%程度と 7月の▲6.7%から減少率が拡大し、3カ月連続の減少になると予測しました。8月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は77.6万戸程度、前月比は▲0.2%程度の増加になるとみました。

 景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、22 年 10 月 42.0、11 月 42.2、12 月 39.3、23 年 1 月 40.7、2 月40.0、3 月 42.3、4月 42.6、5 月 43.2 、6月 43.2 、7月 43.4、8月 41.5と 推移していることなどを参考に予測しました。

※2023年8月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。