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11月国内企業物価指数・前年同月比は、前年11月の前月比が+0.8%と高かった反動から鈍化か。10月機械受注・前月比は2カ月連続の増加を予測―日本の主要経済指標予測(2023年12月6日)―

11月国内企業物価指数・前年同月比は10月の+0.8%からさらに鈍化を予測(12月12日発表)

 10月の国内企業物価指数・前年同月比は+0.8%、32カ月連続の上昇になりました。但し、9月の+2.2%から1.4ポイント低下し、前年同月比は22年12月の+10.6%をピークに10カ月連続で鈍化し、2年8カ月ぶりの1%割れになりました。飲食料品など一部では価格転嫁の動きが続いていますが、政府のガソリン補助金の拡充で石油・石炭製品の上昇率が鈍化した影響が大きく、上昇率は大幅に鈍化しました。 

 11月の国内企業物価指数の前年同月比は+0.4%程度と、昨年11月の前月比が+0.8%だった反動が出て10月の+0.8%から鈍化するとみられます。33カ月連続の上昇には何とかなるとみられます。前月比は+0.4%程度と予測します。 

 国内企業物価指数に対し先行性がある関連指標の日経商品指数42種は、11月は前月比+0.4%でした。国内の素材や燃料の需要は依然鈍いものの、円安のコストを転嫁する動きが目立ちました。11月の日経商品指数42種の前年同月比は+3.1%で、10月の+3.5%から0.4ポイント鈍化しました。

※国内企業物価指数11月前年同月比は筆者予測値

10月機械受注(除船電民需)・前月比は、2カ月連続増加を予測(12月14日発表)

 設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力除く民需、以下、除船電民需)の9月前月比は+1.4%と3カ月ぶりの増加になりました。船舶と電力を除く非製造業が前月比+5.7%の増加になりました。リース業や金融業・保険業からの受注が増えました。製造業は▲1.8%の減少で、化学工業や汎用・生産用機械からの受注が減りました。機械受注(除船電民需)の大型案件は0件でした。9月は3カ月ぶりの増加となりましたが、3カ月移動平均が▲0.0%だったことなどから、内閣府の基調判断は11カ月連続で「足踏みがみられる」になりました。
 
 7〜9月期の機械受注(除船電民需)は前期比▲1.8%と2四半期連続減少しましたが、前期比▲2.6%の減少見通しより実績は上振れました。09年から23年までの15年間でみると、上振れ12回、下振れ3回となり、上振れる確率が高まりました。なお、10~12月期は前期比+0.5%の見通しです。
 
 
 10月機械受注(除船電民需)の前月比は+1.0%程度と2カ月連続の増加を予測します。前年の10月の季節調整値がこの1年間で2番目に高かった反動で、前年同月比は▲5.0%程度と9月の▲2.2%から減少率は拡大し8カ月連続の減少になると予測します。
 
 関連データである、日本工作機械工業会の工作機械の国内向け受注額をみると、23年10月の前年同月比は▲24.5%です。21年3月から22年8月まで18カ月連続増加となった後、19カ月ぶりの減少になった22年9月は▲8.9%でした。以降、10月▲11.4%、11月▲8.7%、12月▲17.4%、23年1月▲1.7%、2月▲20.2%、3月▲18.0%、4月▲21.5%、5月▲23.6%、6月▲30.4%、7月▲24.2%、8月▲31.0%、9月▲14.1%に続き、10月は減少率が拡大し14カ月連続の減少になりました。

※23年10月は筆者予測値

 

景気ウォッチャー調査の10月設備投資関連・現状判断DIは50.0と先行き判断DIは58.3

 景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、23年1月42.9(回答したウォッチャー7人)、2月41.7(同3人)、3月64.3(同7人)、4月54.2(同6人)、5月50.0(同6人)、6月52.1(同12人)、7月53.6(同7人)、8月50.0(同4人)、9月60.0(同10人)、10月50.0(同7人)と推移しています。10月では、「経済の正常化は輸出や観光事業の増加の影響が大きい。消費や設備投資などは新型コロナウイルス感染症発生前から2%減少という話があり、正に実感している。(東海:通信業(法人営業担当))」というコメントがありました。
 
 また、設備投資関連・先行き判断DIは23年1月50.0(回答したウォッチャー7人)、2月57.1(同7人)、3月62.5(同4人)、4月75.0(同2人)、5月71.4(同7人)、6月52.8(同9人)、7月60.7(同7人)、8月54.2(同6人)、9月62.5(同6人)、10月58.3(同6人)と推移しています。10月では、「自動車やオートバイ関連部品の受注状況は、完成車メーカーの生産量が大きく変動しないため、変わらないとみている。企業の設備投資は業種によって格差があるものの、当面大きな変化がみられないため、設備関連部品の受注も大きな増減はないと考える(北陸:一般機械器具製造業(経理担当))」というコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。