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10月の自殺者数・暫定値は前年同月比▲4.2%、6カ月連続減少。10月の完全失業率は2.6%程度で9月と同水準を予測―日本の主要経済指標予測(2023 年11月15日)―

10月有効求人倍率は1.29倍を予測。9月は1.2944倍と1.30倍に限りなく近い1.29倍(12 月 1日発表)

  10 月31日に発表された9 月の有効求人倍率は1.29倍で7月・8月と同水準になりました。9月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ▲0.0%の減少となり、有効求職者(同)は▲0.1%の減少となりました。求人は、人手不足の宿泊業・飲食サービス業などの業種では増えているものの、原材料高による収益悪化で製造業や建設業で人出不足にもかかわらず、求人を抑える動きが見られました。

  景気動向指数の先行系列に採用されている新規求人数は9月では前月比▲5.7%と3カ月ぶりに減少しました。新規求職者数も前月比▲1.0%と3カ月ぶりに減少しました。

  有効求人倍率などの指標は、厚生労働省からハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめたものが毎月公表されています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
 
  10月の有効求人倍率は 1.29倍程度を予測します。予測通りなら7 月~9月に続いて4カ月連続同水準になります。

  景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50 が判断の分岐点)は 22 年 10 月の 52.8 をピークに 1 月の47.2 まで低下基調にありましたが、その後 2 月 51.2、3 月 53.9、4 月 53.4、5 月54.4、6 月54.3 のあと7月55.3に極大値をつけたあと、8月52.5、9月51.5、10月50.8とやや弱含みに推移しています。一方、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は9月2.22倍で、8月の2.33倍に比べて0.11ポイント低下しました。また、9月の有効求人倍率1.2944倍 と極めて1.30倍に近い1.29倍であったことも考慮しました。

※2023年10月は筆者予測値

10 月完全失業率は 2.6%程度と9月と同水準か(12 月 1日発表)

  10 月31日に発表された9月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.6%で8月から0.1ポイント低下しました。9月は就業者数が6,787万人と前年同月比+0.3%と14カ月連続の増加になりました。完全失業者数は182万人と前年同月比で▲2.7%と減少しました。3カ月ぶりの減少です。求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が6万人減少、「自発的な離職(自己都合)」が4万人の増加、「新たに求職」が1万人減少しました。

  ちなみに、9月の完全失業率は小数点第2位までだと2.55%です。8月は2.66%でした。9月の女性の失業率は2.33%で8月の2.34%から0.01ポイントと若干の低下にとどまりましたが、一方、9月の男性の失業率は2.76%で8月の2.87%から0.11ポイント低下しました。8月から9月にかけての失業率の動きは、男女で変化幅に差が出ました。

  10月の完全失業率(季節調整値)は 2.6%程度と 9月の 2.6%と同程度になると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、23 年 1 月 2.42%、2 月2.60%、3 月 2.81%、4 月 2.59%、5 月 2.55%、6 月 2.48%、7月 2.65%、8月 2.66%、9月 2.55%と推移しています。

  原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 23 年10 月の推計季節指数は0.994で 23 年 9月の1.023より小さいため、季節調整値の完全失業率は9月の 2.6%から大きく低下する可能性は小さいとみました。

  自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 22 年までの 45 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.7%、2 月+10.6%、3 月+1.7%、4 月+7.7%の増加のあと、5月は▲13.0%と13 カ月ぶり減少になり、その後6月は▲10.4% 、7 月▲1.8%、8 月▲0.4%、9 月▲7.2%、10月暫定値は▲4.2%と6カ月連続の減少になりました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。

10 月新設住宅着工戸数の前年同月比は、5カ月連続の減少か(11 月30日発表)

  10 月31 日に発表された9月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲6.8%の6万8,941戸で、4カ月連続減少しました。物価高や資材価格高騰による物件価格の上昇で、購入意欲の低迷が続いています。人口減少下での住宅数の過剰といった構造問題もあります。季節調整済み年率換算80.0万戸で前月比▲1.5%の減少でした。

  持ち家は前年同月比▲12.3%で22カ月連続の減少、貸家は前年同月比▲2.9%と2か月連続の減少になりました。分譲住宅は前年同月比▲7.3%で4カ月連続の減少、うちマンションは前年同月比▲2.8%と3カ月連続の減少となりました。

  10月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲11.2%程度と 5カ月連続の減少になると予測しました。10月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は77.0万戸程度、前月比は▲3.8%程度の減少になるとみました。

  景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、23 年 1 月 40.7、2 月40.0、3 月 42.3、4月 42.6、5 月 43.2 、6月 43.2 、7月 43.4、8月 41.5、9月 43.8、10月39.4と 推移していることなどを参考に予測しました。

※2023年10月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。