1月鉱工業生産指数は、一部自動車会社の工場稼働停止や能登半島地震の影響で2カ月ぶりに前月比下降か。1月商業販売額・小売業の前年同月比は12月から鈍化を予測―日本の主要経済指標予測（2024年2月21日）―
1月鉱工業生産指数の関連指標の、実質輸出、製造工業生産予測指数などは、前月比低下を示唆（2月29日発表）
1月31日に発表された12月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比＋1.8％と2か月ぶりの上昇になりました。経済産業省の基調判断は「生産は一進一退で推移している」で、3月～6月の「生産は緩やかな持ち直しの動き」から下方修正になった7月から6カ月連続して同じ判断になりました。
12月速報値では、全体15業種のうち、汎用・業務用機械工業を中心に12業種が上昇、低下は、その他工業など3業種にとどまったことから、全体として上昇しました。
2月15日に発表された鉱工業生産指数・12月確報値の前月比は＋1.4％と速報値から0.4ポイント鈍化しましたが、2か月ぶりの上昇は変わりませんでした。業種ごとにみると全体16業種のうち、新たに食料品・たばこ工業が低下で加わり、生産用機械工業、その他工業など12業種が上昇、食料品・たばこ工業など5業種が低下という結果になりました。
2月29日に発表される1月の鉱工業生産指数（速報値）前月比は▲6.0％程度と、2カ月ぶりの低下になると予測しました。また、1月の前年同月比は▲0.1％程度と3カ月連続の低下になると予測しました。1月では、安全性試験で不正が発覚したダイハツ工業の工場稼働停止などもマイナスに働きます。
製造工業生産予測指数の1月は前月比▲6.2％の低下見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、1月の前月比は先行き試算値最頻値で▲10.5％の低下になる見込みです。90％の確率に収まる範囲は▲12.1％～▲8.8％になっています。
1月の財務省貿易統計で輸出金額の季節調整済み前月比は▲3.6％の減少になりました。日銀の輸出物価指数の1月の前月比は＋1.0％です。また、1月の日銀の実質輸出の前月比は▲4.6％の減少になりました。
景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI（季節調整値）は、23年1月43.８、2月44.3、3月46.5、4月46.1、5月47.6、6月47.8、7月46.0、8月46.6、9月44.3、10月44.5、11月44.2、12月45.5、24年1月46.7と1月は12月から上昇しました。
ロイター短観（400社ベース）の製造業・業況判断DIは、12月から1月にかけて6ポイント低下しました。一方、QUICK短観の製造業・業況判断DIは、12月から1月にかけて5ポイント上昇しました。
このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。
1月商業販売額・小売業の前年同月比は12月＋2.4％から増加率が鈍化か（2月29日発表）
1月31日に発表された商業販売額・小売業・12月速報値の前年同月比は＋2.1％と11月確報値の＋5.4％から3.3ポイント増加率が鈍化しました。2月15日に発表された12月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は＋2.4％に上方修正されました。
2月29日に発表される1月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は＋0.7％程度と12月確報値の＋2.4％から増加率が鈍化すると予測します。
1月の大手百貨店5社の売上高・前年同月比の単純平均は＋11.2％で12月の＋9.3％から1.9ポイント拡大していること、一方、日本フランチャイズチェーン協会の全国コンビニエンスストア売上高（既存店ベース）で前年同月比1月のコンビニ売上高が＋1.2％と12月の＋4.2％から3.0ポイント鈍化したことなどを総合的に参考にして、各種商品小売業・1月前年同月比は12月の＋2.2％から増加率がやや鈍化するとみました。
また、燃料小売業の1月の前年同月比は12月の＋0.9％からやや拡大する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、1月は＋4.2％程度と12月の＋4.1％程度から上昇率がやや高まりました。一方、自動車小売業の12月前年同月比は11月の＋10.8％の増加から減少に転じるとみました。新車新規登録届出台数（乗用車）の1月前年同月比は▲12.4％で12月の＋11.0％の増加から減少に転じているからです。
なお、景気ウォッチャー調査で12月から1月への小売関連の現状水準判断ＤＩ（季節調整値）の動きをみると、47.7から47.2へ低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。