牛角の食べ放題券を買ってもいいのは「毎月3回以上焼肉を食べていた人」だ

牛角の食べ放題プランが申し込み殺到で公開即受付中止になり、ニュースになった。

飲食系サブスクはいろいろ登場してはいるが定着した感がなく、まだまだ「ネタ」として消費される対象だ。聞く限り焼肉店のサブスクは初で、牛角という有名店だったこともあり、話題性があった。

最も話題になっているのは月11,000円の「牛角コース」で、指定の肉が食べ放題だそうだ。飲み物は別。さてこれはお得だろうか。結論としては「もともと毎月3回以上焼肉店に行くような人ならお得だ。それはなぜか?前提として、平均的な所得の成人で、毎週1度は夜に飲酒を伴う外食をする人を対象とする。

飲食サブスクというのは、使ってみればわかるが、お得だと思って入会しても、入会後にそれを利用するのは「義務」になる性質がある。なぜなら行かないと損だから。なので、すでに週1くらいのペースで焼肉を食べていた人じゃないと、焼肉が「楽しいハレの日のごちそう」から「元を取るための半強制イベント」になってしまうのだ。これはかなりつらい。

実体験を話そう。はなまるうどんで毎回108円が割引になる「うどん定期券」を500円で買ったことがある。当時の「かけうどん・小」が108円だったので、毎日タダでうどんが食べられるチケットだ。しかし、買った瞬間に好きだったはなまるうどんが嫌いになったような感覚を覚えた。なぜなら5回行ってやっと元が取れるのだ。6回目でようやく本当の割引だ。なんとか6回以上利用したが、数百円のために受けた苦痛を考えると馬鹿馬鹿しくて、しばらくうどんが嫌いになったことをよく覚えている。とてもつらかった。

そして今回は11,000円だ。金額が大きい。まあ食べ放題だし性質は異なるが、共通する部分はあるはずだ。なのでもし入会したらどんなことになるのか想像してみよう。まずもともとの1回分の金額は、普通の成人男性が普通に食べたと仮定して、一食3,750円としよう。3,750 x 3 = 11,000 なので、3回で元がとれる計算だ。4回目でやっと得になる。

じゃあ月4回牛角に行って約15,000円ぶんのお肉が食べられたとしよう。ここでやっと4,000円を得したことになる。11,000円を払って、月4回牛角に通って、ようやく4,000円の利益だ。一食あたりにすると3,750円が2,750円になった計算で、1食1,000円の割引だ。これなら割引クーポンとか都度都度ちゃんと探して好きなときに行った方がよいのでは?

しかももし3回すら行けなければ損失が出るのだ。それにプラン内で食べられる肉もおそらく限定されていると思われるから、同じような質と種類の肉を頻繁に食べることになりそうだ。ふつうの人は飽きるんじゃないだろうか?

なので、元から週1ペースで確実に焼肉店に通う、しかもそれが毎回牛角で同じような肉でもよい、、、といった牛角フリークくらいしか、プレッシャーを感じずに恩恵にあずかれないのでないだろうか。前提を無視すれば、かなり食費を切り詰めた生活をしていて、焼肉が毎日好きなだけ食べられるなら喜んで11,000円を払う、といった人だろうか。あとは「タダだから食べとくか」と思えるかどうか。ここは買ってみないとわからない。

ぜひ利用した話を直接聞かせてほしいものだ。

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