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並木道で降る水はどこからくるか

コリエンテス通りの並木で雨が降る季節となりました。

昨年この時期、トンネル状になっている並木の下を通っているときに水滴がぽたぽたと降ってきて、天気雨かな?ということが何度かあり、並木を抜けても雨は降っていないので、葉っぱから水が滴っているのだろうと想像していました。

今年も日差しが強い季節になってきましたが、コリテンテス通りは1キロほど涼しい木陰を歩けるので、買い物に行くときは遠回りでもここを選んで歩きます。木はかなり背が高く、葉が空を隠して地図のようになっています。どこからともなく、ぽたぽた、ときにはぼたぼたと水が降ってきます。透明に見えるけれど、服につくとうっすら黄緑色。

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この並木はTipaまたはTipuana Tipuという背の高い南米原産の木です。もう少しすると黄色い小さい花をつけるのですが、茂った葉の上で咲くので、下から見上げても花が咲いているとに気が付きません。いつのまにか道に黄色い絨毯が敷かれて、樹上で咲いていたことを知ります。

うちの前のアカシアの並木は似たような感じだけど水は降りません。なんでコリエンテスだけなんだろうと何人かのアルゼンチン人に聞きましたが、「そういうものなんだ」という感じで、聞いた中でははっきり知っている人はいませんでした。

ネットで調べてみたら、どうやらこの現象は「llanto de Tipa(ティパの号泣)」と言われるブエノスアイレスの初夏の風物詩だそうです。
そして、「ティパの号泣」の真相は、木が自然にするものではなくて、なんとティパの木につくChicharrita de la espumaというヨコバイの一種が吸った木の汁を泡状に排泄したものだったのでした!

ヨコバイは、日本でも見かけるけど、バッタでもないセミでもない緑の、つまむのにちょうどよさそうな形をしてるあの虫ですね。

そのヨコバイがぼたぼた排泄物を降らすほどティパにくっついているなんて、ちょっと想像したくないけれど、セミのおしっこと同じようなものみたいだし、毒はないようだし、天然ミストの並木道をしばし楽しみたいと思います。

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