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楽譜は本番5日前に完成?!奏者の現代音楽との出会いから新曲初演時のドタバタエピソードを大暴露

ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、そしてソプラノという謎の編成から成る「秋山カルテット」。来る9月に第1回目の演奏会を迎えます。今回はヴァイオリニストの髙橋奈緒とソプラノの櫻井愛子の対談を通して、奏者の現代音楽との出会いや、今回の演奏会で7年振りに再演する《Miniatures for Umberto》初演時の出来事、そして再演に至る経緯をご紹介します。

【公演情報】
公演名:AKIYAMA Quartett the first concert
日時:2021年9月18日(土)14時開演(終演予定時刻: 16時)
場所:早稲田奉仕園スコットホール(東西線 早稲田駅から徒歩5分)
入場料:3000円(全席自由)購入リンクはこちら

秋山カルテット2021チラシ表_page-0001

秋山カルテット2021チラシ裏_page-0001

奏者の現代音楽との付き合い

櫻井:現代音楽の初演に初めて関わったのはいつですか?

髙橋:学部2年くらいだと思います。よく覚えていませんが、きっかけは同級生の作曲科の試験(注:作曲科の期末試験では自分の新作を演奏することが多い)だったような、、、でも本当に最初にやったのは学部1年のソルフェージュの授業で、教授が作った新曲課題に取り組んだ時だと思います。

櫻井:私は小学生の時から所属していた児童合唱団でよく現代音楽に触れていて、そのことを当時一緒に芸祭委員(東京藝大の学園祭の執行委員)をしていた作曲科の友達に話したら、作曲科の試験での演奏を頼まれたのが始まりでした。
髙橋さんはヴァイオリン科の中でも特に現代音楽が得意だったんですか?

髙橋:いいえ全く!ヴァイオリン科の同期はみんなとってもソルフェージュが出来たので、私が特段素晴らしいわけではありませんでした。こんなこと言ってはアレですけど、私は頼まれたら断れない性格で(笑)ありがたいことに(ここ強調!)数々の新曲に関わることができました。

秋山友貴作曲《Miniatures for Umberto》初演時の思い出

櫻井:今回7年振りに秋山さんの《Miniatures for Umberto》を再演しますが、初演時のことを何か覚えていますか?

髙橋:学部4年間の中でかなり印象深い出来事です(笑)楽譜は本番5日くらい前にようやく届きました(笑)

櫻井:遅っ!!私は2週間ぐらい前にもらっていたのになぜでしょう(笑)

髙橋:初合わせは本番3日前で、そこから連日練習しましたよね。櫻井さんは色々と小言を吐いていたような(笑)

櫻井:私には色々難しかったんです。作曲者の前で「誰だこんな音書いたの~」とか言ったりしました。本当に失礼いたしました。若気の至りということでお許しいただきたいです(笑)

髙橋:その横でひたすら「もう~~鳴らないぃ~」って必死にさらっているチェロの飯島君。この曲フラジオが多いので。本番もやっぱりなかなか鳴らなくて、四苦八苦している飯島君を見て本番中なのに笑いがこみあげてきて。

櫻井:彼のあまりの必死さに、私なんか本番なのにこらえきれずに肩で笑ってしまいました(笑)

【ちょこっと紹介:フラジオ】
フラジオレットのこと。別名ハーモニクス。左手で弦を触れるか触れないかの状態で押さえて弓で弾いて倍音を出す特殊奏法。「◇」のマークで楽譜に表記されることが多い。有名なのはモンティ作曲の《チャルダーシュ》(上の動画の2:45から)。


櫻井:あんまり演奏に必死だったので、演奏後に作曲家である秋山さんに拍手するの奏者全員で忘れちゃったりして。

髙橋:あと、終わってみたら、フラジオ必死すぎたのか、本番の演奏時間が想定していた時間の2倍かかっていました(笑)

櫻井:ほんとに色々あって面白かったです(笑)

再演のきっかけ

櫻井:髙橋さんが3年前にヨーロッパに来て私と会った時に、2人で懐かしい思い出話に浸ってたら、一緒に当時の演奏を見たくなったのがきっかけですよね。

髙橋:そうです、それでその時秋山君にデータを送ってもらって見てみたら、「むっちゃいい曲じゃない?」って(笑)。

櫻井:「こんなにいい曲だったのか、当時の自分は未熟だった」と再確認しました。

髙橋:櫻井さん、自分の演奏を「これじゃ初音ミクだ」と言っていたの覚えています(笑)

櫻井:(笑)なんか音をただただ追っているような歌だったのでつい…(笑) あまりに恥ずかしい演奏で折角の曲がもったいなく思われたので、とにかくやり直したくなったんです。髙橋さんも有難いことに再演に乗り気になってくださったけれど、なかなかタイミングとか合わなくて。

髙橋:で、今年一念発起してコンサートをすることになりました。

櫻井:絶対当時よりは曲の良さを引き出せると思うので、是非多くの方に聴いていただきたいです!!

髙橋:また、《Miniatures for Umberto》の他にも、秋山カルテットならではの変わった編成を生かした曲目を組み込んでいます。ヴァイオリンと歌だけの曲など、滅多に演奏されることのない曲が目白押しです!

櫻井:お楽しみに!!

(編集:櫻井愛子、髙橋奈緒)

これからのコラムでは、9月18日の演奏会を更に楽しんでいただけるような内容を随時更新予定です。お楽しみに!

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