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中尾彬さん追悼特集、新文芸坐「本陣殺人事件」「血を吸う人形」鑑賞。



7月23日(火)「本陣殺人事件」初見感想

『本陣殺人事件』
前々から気にはなっていたものの、今回初見。

見る前の想像
・中尾彬さんの金田一耕助ってどんなん?
・田村高廣さんの賢蔵ぴったりや

見た後の感想
・中尾さんの金田一、自分では有りだ
・田村さんの賢蔵、思ってたんと違った

田村高廣さん、中尾彬さんの『本陣殺人事件』を映画館で見た感想。
はっきり言ってこれは映画館で見るべき映画。
良くも悪くも演出表現が自分の肌に合わないと回りくどく思え、推理物になれた人やテレビシリーズのテンポに慣れていると
丁寧で畳み掛けるような演出が、間伸びして感じる。
実際45分ドラマで行けるような内容を、106分の映画に引き延ばしているようにも思えた。

推理を紐解くというより、細切れ演出で、時間軸前後して、断片的に犯人やトリックをチラ見せしてくるが、原作を知っている身からすれば、さっさと金田一にトリックの説明させろ、と思ってしまう。
この演出方法、原作を知らない全くの初見なら、こういうものかと楽しめたかもしれないが、そもそも原作に全く触れたことない勢がこの映画を見にくるだろうか?と疑問。

鑑賞前はどんなもんだろうと期待半分だった中尾さんの金田一耕助は、意外にも自分はすんなり受け入れられた。
その一方でキャスト見て、これはぴったりだろうと思っていた田村高廣さんの一柳賢蔵が、予想外の『思ってたんとちゃうな』だった。
それだけじゃなく、一柳家の閉鎖的で排他的な一族間が薄れ、賢蔵母は優しいお母さんになっているし(結婚には反対したものの、克子を見下したり、意地悪な要素は感じられない)、克子の叔父である銀蔵さんが、克子の死後、意外と淡々としている。
末娘の鈴子は子役の子にやって欲しかった、というのが本音。

一方、三本指の男役の常田富士男さんは予想通りぴったり。
克子の昔の恋人の田谷照三、石山雄大さんだったの?若くて気付かなかった。
磯川警部、事前にキャスト見た時は東野孝彦名義で気付かなかったが、登場したら、東野英心さんだった。

トリック、謎解きちょいちょい端折っておる代わりに、人物を丁寧に描いているといえば聞こえはいいが、賢三のキャラ改変がとても気になる。

Wikipedia見ると映像化されるごとに改変はあるようだけど、賢蔵の改変だけは嫌だなぁ。

今回、田村高廣さんに期待したのは、冷徹で傲慢で潔癖症の一柳賢蔵なんだけど、蓋を開けてみると上から目線の完璧主義者で、でもなぜか計画が弟にバレたあとは弟に「頼み込んでいる」姿があるし、兄弟で笑い合っている。今風にいれば、兄弟の束の間のエモいシーン使いだが、正直賢蔵にエモさは求めてない。
弟も、「あの兄貴が自分に知られて弱みを握られている状況」に内心、悦に入るくらいのイメージがあるが、優秀な兄と比べられて昔からしんどい程度の感じで、兄への恐怖心が薄い。

冒頭の婚礼シーンで、賢蔵が何も言わずににこりともせず真顔でいるシーン、原作を知っていればここの彼のは内心はらわた煮えくりかえっているのを必死に抑えて冷たい目をしている、はずが……
自分の婚礼を冷めた目で見る他人事ぽさがある。
あと手紙を受け取るところで、女中から普通に受け取っているが、彼って他人が触ったもの素手で触れないくらいの潔癖症じゃなかったっけ?今回その要素、微塵もなかった。
弟に、克子さんはどうすると聞かれ、なぜか動揺するし。

と、否定的な感想ばかり書いてしまったが、
金田一耕助に関しては、服装問題はさほど気にならず、石坂版や古谷版を見慣れていても、これは有りと思わせたのは、おそらく中尾彬さんの演技力かも。
悪役などをやるようになった中年以降の作品しか知らない自分には、とても新鮮だった。

あと
この方、若い頃こんな感じの男前だったのか、という印象。

脚本と演出の独特さが、推理小説の映像化という点で合っていない気がするので、別の演出脚本であったなら、中尾彬版金田一耕助はシリーズで見てみたかった。

7月26日鑑賞「血を吸う人形」初見感想

正式タイトルは「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」
これはもう、ミーハーな感想で申し訳ないんだけど……
自分、土曜ワイド劇場の貫禄ある松尾嘉代さんしかリアルタイムしてないんですが、この映画、めちゃくちゃ可愛い!
中尾彬さんは男前。
美男美女の可愛いカップルでした!

テンプレなホラー要素も懐かしい。
休み取って見に来て良かった〜。

1970年の映画ということで50年前な訳ですが、今の感覚で見ても、ヒロイン可愛いってなるし、ヒロインが彼氏にぷんすこするのは定番なんだなぁと感心してしまった。
「ひろしさん」「けいちゃん」なんだこの可愛いカプ。
で、今見てもハラハラするし、ホラーは怖いよ。
でもグロくはなかった。怖いけれど、グロい要素はほぼ無くてそれだけが救い。
高品格さんの無表情で襲ってくるところも怖かったな……。
それにしても、主人公達の可愛さでもう1回みたいってなりました。

木枯し紋次郎……じゃなかった、中村敦夫さん演じる青年が、嵐の夜に日本に戻ってきて婚約者の実家をタクシーで訪ねていく。
実は婚約者は既に亡くなっていたと聞かされた青年。外は嵐なのでタクシーも帰ってしまったし、ということでその実家(お屋敷)に一泊することに。しかし彼女の姿を見た青年は、その死を信じず、屋敷をさぐることに。そして……
婚約者を探しにいったまま戻ってこない兄を心配するヒロイン(松尾嘉代さん)と、その恋人(中尾彬さん)。兄を探しにその婚約者の実家を訪ねていくが、そこに住む母親はもう帰ったと言い放つ。しかしどうしても納得できないヒロインと恋人は役所で戸籍を探ったり、彼女の過去を調べ始める……。
そしてふとしたことで口喧嘩になった二人、ヒロインは一人で屋敷に戻り、捕まってしまう。一方、彼氏の方はこっちはこっちで地元の人の協力で、婚約者の墓を掘り返し、遺体がないことを確認する。
ベタな展開ではあるけれど、王道かつすっきりな展開。
登場人物少ないので、もう誰が犯人(?)かは判るんだけど、それでもこの作品好きです。というか、ほぼ8割くらいは、主人公達が可愛いしか感想ないんですけど。

※この映画の感想が短いのは、この後につづけて同じ新文芸坐さんで「ムンナー・マイケル」のライティング上映見て、記憶が吹っ飛んだからです。