記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「まばたかない瞳」初見感想(ネタバレ有)


はじめに

シネ・リーブル池袋さんで開催中の「週末インド映画セレクション」、2024年3月1日の上映は「まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人事件」を鑑賞。既に過去に上映された作品なので、日本語字幕のネット配信もあり。
配信リンク貼っておきます▼


公式あらすじ

3/01㈮『まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人』日本語字幕
Story|バンガロールを震撼させる連続誘拐殺人事件。富裕層の子弟が誘拐され、身代金が払われるにもかかわらず惨殺されてしまうのだ。捜査にあたる中央捜査局のアンジャリは、犯人を自称するルドラという男に肉薄しながらも取り逃がしてしまう。一方、彼女の弟でチェンナイ在住のアルジュンはバンガロールに来たところで誘拐事件に巻き込まれる。犯人、警察、中央捜査局が三つ巴となっての息詰まる追跡劇。
監督: R・アジャイ・ニャーナムットゥ
出演: ナヤンターラ、アタルヴァー・ムラリ、アヌラーグ・カシャップ、ラーシー・カンナー/ヴィジャイ・セードゥパティ(特別出演)
原題:Imaikka Nodigal
2018年/タミル語/168分/PG12
©️Cameo Films


https://ttcg.jp/cinelibre_ikebukuro/movie/1072500.html
シネ・リーブル池袋HP「週末インド映画セレクション」作品紹介より

ちなみにネタバレに触れない程度のトリビアが既にnoteで公開されていたんですが、見ずに鑑賞してしまいました。事前に見ておけばイメージ掴み易かっただろうなとは思うものの、出演者情報もなるべく仕入れないで見たかったので、結論としては良かったのかも。

ネタバレあり初見感想

中盤まで見て、「あれ、これ見たことあるな」と思い始めたんですが、おそらくYoutubeで公式に出ているシーン切り取り動画をいくつか見ていたんだと思います。ただ通して全部を見ていないので、断片的に見覚えがあるという程度。

冒頭、金持ちの家の子女ばかりを狙った誘拐事件が多発していることを報じる店頭のテレビのニュース。それを見ている女性が一人。彼女が見やる先には、夫と思われる男性が立っており、彼は店の外で大きなスーツケースを持って辺りをうかがっている。そこへ電話で指示が入り、彼は電話の声に言われるまま動き出す。まさに今、身代金の受け渡しの指示を受けているところだった。
彼の背後で仲間と連絡をとりながら、その様子をうかがうアンジャリ。彼女と仲間達は電話を盗聴してなんとか犯人を捕まえようと画策するが、相手に出し抜かれ、誘拐された人間は惨殺されてスーツケースの中から発見されるのだった。

ナヤンターラさん演じるアンジャリは、CBIの警官。
犯人はルドラと名乗る。ルドラとは、5年前に死亡したはずの連続殺人犯。
死亡をもってルドラの事件は解決したことになっていたが、今回の連続誘拐殺人犯がもし本当のルドラだったなら、かつてのルドラは何だったのか、それとも今回のは模倣犯なのか?
冒頭から、誘拐犯の男はカメラの前で顔を見せているんですよね。
そう、顔見て一瞬で分かった、アヌラーグ・カシャップさん!

Imaikkaa Nodigal Official Trailer | Atharvaa, Nayanthara, Anurag Kashyap | Hiphop Tamizha (youtube.com)

いやいや怖い。判り易いくらいに怖い犯人キャラ。
でも単純な犯人とCBIの駆け引きだけでは終わらない。
ルドラを名乗る彼は、アンジャリの弟アルジュンを罠に嵌め、捜査中の彼女は犯人と間違え、アルジュンへ発砲してしまう……。
ここまで見て、あれ、これ見た事あると気付いた。
そう、Youtubeでこの作品とは知らずに、ワンシーンごとの切り抜き動画みたいなやつで見ていた。
え、待ってそうするともしや犯人て……?
世間では犯人ルドラはアンジャリの弟だったということになってしまい、アンジャリは捜査から外され、自宅軟禁処分に。
捜査はナラヤン警部に引き継がれる。

これアンジャリ視点での誘拐犯との攻防戦を描く一方、弟視点で、アルジュンとかつて付き合っていた女性の過去編が描かれていく。
アルジュン側の物語が中盤まではほんわか路線でダンス曲もあるのに対し、アンジャリの方はモザイク入るレベルの死体のオンパレード。

それがだんだんと伏線が回収されていき、姉と弟の物語が交錯しあう。

現在ルドラを名乗っている誘拐殺人犯は、姉と弟がそれぞれ独自に調べていって元警察官のマーティンではないか?という結論に、ほぼ同時に到達する。
彼は元々5年前のルドラ事件を必死に追っていたが、途中で捜査の功績をCBIにもっていかれたこと、停職処分になったことに恨みを持っていた。まぁそれ以前に、警官としては(犯罪者相手とはいえ)殺しまくっている酷い人間ので、ルドラ事件で犯人を逮捕できなくても、遅かれ早かれ厄介者扱いになっていたんではなかろうか?
結局、その当時はアンジャリが事件を解決させたが、実はその犯人を射殺した現場に、マーティンもいて、アンジャリが実はルドラで、射殺された人間はルドラに仕立てられたのだと気が付いた……と。
それをマーティンは、弟であるアルジュンに話し、アルジュンは姉の元へ。

……というところまでは、Youtubeで知らず知らずに見ていました。
ただ、ここで終わりじゃなかった!
アンジャリは5年前に自分と夫に起きたことをアルジュンに話す。
薬物をやっていた3人の青年が起こした自動車事故で、妊婦だったアンジャリとその夫が巻き込まれた。救急車を呼べば助かるかもしれないという状況、ヤクをやっていることがバレるのを恐れた青年たちは、夫を殴り殺し、アンジャリもあやうく殺されるところだったが、一命をとりとめ、お腹の赤ちゃんも無事だった。
事故を起こした青年たちを調べるが、路上のカメラで事故の記録は映っているはずなのに、もみけされていたと知り、逮捕ができないと悟った彼女は、独自に復讐を誓う。ルドラという殺人鬼を自分の中に生み出し、二人の青年を葬り、残りの一人をルドラとして射殺した。

この過去のシーンを弟に話すところで、夫役としてヴィジャイ・セードゥパティさんが出るのか!無理やり婚姻届けにサインさせられるシーンだけ見ていたけれど、この作品のワンシーンだったとは。
カメオ出演とはいえ、だいぶ長くそして重要な訳だった。

弟VS姉みたいな形にならなくて良かった。
この後、事情を知った弟が姉と協力しあって、マーティンを追いつめていくのはもう圧巻!

それにしてもマーティン、元警察官だったから知り合いも多く、しかも警部とかも、彼がルドラを名乗っているとは全く疑わず、捜査の情報は漏らすし、病院のシーンではそのツテを最大限いかしてマーティンはアルジュンを追いつめる。これはひやひやした。
アルジュンもアンジャリも、一人だとマーティンに出し抜かれるんだけど、最後二人が手を取り合った末に、マーティンを出し抜くというのはもう清々しいくらいのエンディングだった。

結末は知っていても、また見たい映画。

キャストの参考に、英語版のWikipedia貼っておきます。
Imaikkaa Nodigal - Wikipedia

見終わった後、帰りの電車で内容を反芻しながら……
あのエンドロールの物悲しい音楽……

そう、まばたかない瞳とは誰の事か。
あぁ、アンジャリの夫の、死を迎えたあの目なのだ、と。
そしてもしまばたかない瞳に死以外の意味を紐づけるなら、「凝視する目」という意味で、三人の青年に復讐を誓うアンジャリ自身でもあり、
アンジャリの秘密を盗み見たマーティンの瞳でもあり……。


おまけ


アンジャリの部下の一人、役名が判らないんだけど、5年前のルドラ射殺現場でも彼女の部下で、現場で撃たれてしまった人、
なんかナグ様の映画に出ているAllari Nareshさんに似ているなぁってずっと思ってみていたんだけど、Wikipediaみてもこの作品に名前はないから、よく似た別人だったんだなぁって。
まだまだ役者さんを見分けるのは難しいです。

初見感想、すぐにあげたかったんですがその後に立て続けに映画見ていたので、ずっと下書きに入れたまんまでした。3週間ほど放置してしまっての掲載です。


あと、アヌラーグ・カシャップさんの声、吹替のようです。確かにLEOとかでしゃべった時と印象違うなぁって思ったんで。
なかなか良い声だなって思ったんでウィキペディアみたら、吹替は、Magizh Thirumeniさんという方でリンクたどったら「監督・吹替アーティスト」とのこと。
アヌラーグさんの強烈な演技と、この穏やかな声が混ざって融合するマーティンというキャラクター。
一筋縄ではいかない犯人像にぴったりでした。