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ムンナー・マイケル初見感想(ネタバレ有)


はじめに

シネ・リーブル池袋さんの週末インド映画セレクション、本日2024年3月2日「ムンナーマイケル」を見てきました。
DVDは去年買ったものの初見はやはり映画館でと思って見るのを我慢したかいがありました。
そして今日はタイガー・シュロフくんのお誕生日ということで、主演作を映画館で見てお祝いできることに感謝。

ムンナー・マイケル(Munna Michael)
story
マイケル・ジャクソンをリスペクトするバックダンサーに拾われ育てられたムンナーは、クラブでのダンスバトルで稼いでいた。あるきっかけから、ギャングのボスのダンスコーチとなる。だが、ボスが好意を寄せていた女性ダンサーの存在から、二人の仲は恋のバトルに発展する。

解説『フライング・ジャット』で一躍人気となったタイガー・シュロフ主演のダンスミュージカル。役づくりのため、タイガーはロサンゼルスで故マイケル・ジャクソンの振付師だった人物からレッスンを受け、高いスキルをさらに磨いた。ナワーズッディーンが、オシャレでコミカルなギャング役。

監督:サビール・カーン(スタローン in ハリウッド・トラブル)
出演:タイガー・シュロフ(WAR ウォー!!、フライング・ジャット)、
ナワーズッディーン・シッディーキー(バジュランギおじさんと、小さな迷子)、
ニッディ・アゲルワール、ローニト・ローイ
音楽:タニシュク・バグチ、ミート・ブロスほか
ジャンル:ロマンス / ミュージカル
区分:G140分
2017年/ヒンディー語

インディアンムービーウィーク2020リターンズ公式ページより
『インディアンムービーウィーク2020リターンズ』公式サイト



ムンナー・マイケル 予告編 - YouTube

ネタバレ有のあらすじ


バックダンサーであるマイケル(※愛称なのかそう周りから呼ばれている)は、ダンス歴20年のベテランだが、若いダンサーの時代だと言われある突然クビになる。焼け酒しながらの帰り道、雨の道路脇で赤ん坊を見つける。見捨てられず家に連れ帰るが、一向になきやまずあれこれあやしていると、マイケルジャクソンの曲で泣き止むと気付く。
日本語訳では彼がその赤ん坊を「ムンナー(坊や)」と連呼するシーン。
数年が経ち、ストリートダンサーとしてクラブでダンスバトルをしてその賭けで稼ぐようになった主人公ムンナー。ムンバイでのクラブで出入り禁止にされ、彼の仲間は次々とダンスをやめて社会人として仕事に就く。
彼の父であるマイケルも、ダンスは捨てて就職してくれと願う。病気になり入院した父の言葉に、ダンスはやめると頷く主人公。(ちなみに父の病気は何だったのか、日本語字幕では不明)
しかしムンナーは、ムンバイが駄目ならとデリーにいってクラブで荒稼ぎすることに。表向きはデリーで就職したことにしていた。
ある日、クラブでヤクザと喧嘩になり、彼のボスであるマヘンドラに呼び出されるムンナー。
殺されると思いきや、マヘンドラからダンスを教えて欲しいと頼まれるムンナー。最初は「ヤクザがダンスなんて」と断るが、結局、理由をきかないまま、1カ月間で彼を踊れるようにと講師になることに。
マヘンドラとその部下達を巻き込んで、朝から晩までみっちり体力作りとダンスのレッスンをするムンナー。
マヘンドラは、踊れるようになりたい理由として彼に自分が一目惚れしたドリーのステージを見せる。彼が本気であるのを知り、協力することに。
マヘンドラの家族に紹介されたムンナー。
「もう君は家族だ」といい、ヤクザのボスとダンスの先生という間柄によって、友情をはぐくむ二人。
やがてプレゼントと手紙を用意し、マヘンドラの代わりにドリーに届けるムンナー。彼女に恋人がいるかなど聞き出してくれと頼まれたため、ドリーと親しくなるムンナーだが、ドリーは彼に恋心を持ち始める。
小さなクラブで踊り続けていたドリーは、マヘンドラが所有しているホテルでのダンサーの仕事を紹介し、そしてマヘンドラはようやくドリーと対面するが、うまく気持ちを伝えられず「友人になりたい」と言い、彼女のダンサーとしての素質を応援したいと、住む環境まで提供する。
しかし用意された部屋に、酔ったマヘンドラの部下が待機しており、彼女に、マヘンドラは自分のボスで、ドリーの事を愛人にしたいだけだと言い出す。そしてドリーは逃げ出した。
実はマヘンドラは既に望まない結婚をして妻のいる身だった。(※多分離婚できないのは宗教上の理由とかかと)
「42歳は恋をしちゃ駄目なのか?」
嘆き悲しむ彼を見て、ムンナーは「彼女の行く先に当てがある」といい、彼女を連れ帰ることを約束して、ムンバイへ行く。
一方ドリーのダンサーとしての夢を応援したいムンナーは、かつての仲間の協力を得ながら、彼女のムンバイでのコンテストのサポートをして、二人の距離が縮まる。
いつまでたっても戻ってこないムンナーにしびれを切らして、マヘンドラも部下を連れてムンバイへ。
彼をうまくだまして、彼女が別の街へ逃走したと見せかけ、コンテスト会場へ送り届けるムンナー。
しかしおかしいと気付いたマヘンドラは、ムンナーへ疑いを向け、彼の父親を人質にして、ドリーを早く見つけて連れてこいと脅す。
ドリーに事情を説明したムンナー。父親を人質にとられたなら仕方ないと彼を責めることもなく、マヘンドラに会いに行くドリー。
逃げ出したことを聞かれた彼女は「ダンサーになる夢がある」と告げ、マヘンドラも「それならいってくれれば」と話せば分かるような雰囲気になったが、彼女が「好きな人がいるから帰る」と言い出したため、ショックで動けなくなった。
その隙に彼の元を去ったドリーは、マヘンドラと父が居る病院へ。
そのままムンバイへ戻ろうとするドリーとムンナー、父。
しかしマヘンドラの部下達が追いかけてきて大乱闘。ムンナーは足を撃たれるがなんとか相手を撃退。
そしてドリーを無事コンテスト会場へ送り届け見守るが、ぶっつけ本番で打ち合わせをしていなかったドリーは、バックダンサーたちと息が合わず、ステージで立ち往生するはめに。
一方、彼女と抱き合う姿をマヘンドラの部下が撮影した写真を、ボスへ報告。ムンナーの裏切りに絶望するマヘンドラ。
コンテスト会場でピンチになったドリーを助ける為、ムンナーは急遽衣装をきてステージへ登場し、自らのダンスで場をつなぐ。
客席で見守っていた父マイケルは、息子のダンスを嬉しそうに見守る。
しかしドリーを膝でささえる場面で、銃で撃たれた足の激痛に耐え切れず、バランスを崩すムンナー。中断するステージ。客席が静まり返って見守る中、父マイケルが立ち上がり「ムンナー」と叫んで、かつて自分が愛用していたマイケルの帽子をステージに投げ入れる。父の声援をうけて立ち上がるムンナー。会場中がいったいとなってムンナーを応援し、そしてドリー達のステージに熱狂する。
コンテストはドリーが優勝。これで彼女は、ダンスに反対して家でした父親に胸をはって報告できるだろう。
優勝を喜ぶ彼らの元へ、マヘンドラ達が到着。
「弟のように思っていたのに」
と嘆く彼に、ムンナーは裏切ってはいないといい、ドリーを初めて見た時から自分も好きになっていたが、マヘンドラが本気だったので口にはせず見守っていたとのこと。暴力に訴えずにいてくれたら、身を引くことも視野にいれていた様子。
「彼と(自分は)何が違うんだ」とドリーに訴えるマヘンドラ。
しかし二人が本気だと知り、諦め、ドリーに「彼が浮気するようなら俺に相談しろ、殺してやる」といい、「彼女を大切にしなかったら殺す」と引き下がるマヘンドラ。
「俺を殺したら、誰がダンスを教えるんだ」
というムンナーに、「俺はもう踊れるぞ」と披露するマヘンドラ。
笑い合ってエンドロール。

初見感想

前半はマヘンドラとムンナーの年の差友情。ダンスにおいては生徒と先生。最初はドリーに対して気がないそぶりをずっと貫いていたムンナー。踊れない男を演じていた。
しかし後半、彼女の夢を知り、踊れることが彼女にバレてからは一気に距離を縮めたムンナー。
王道な話だけど、やはりヒロインとそのままうまくいっちゃうのは、あまりにもマヘンドラ可哀想。せめてもっと早いうちから、彼女の夢のこととか自分も彼女が好きなことをマヘンドラに相談できていたら……とも思うが。まぁ仕方ない。
とにかく、前半の部下巻き込んでのダンスレッスンシーンは面白かった。もっと見たかった。
マヘンドラ役のナワーズっディーン・シッディーキーさん、この映画のために相当ダンス練習したんだろうな。
エンドロールのところで、撮影中の様子が流れるんだけど、ヤクザの皆さんも和気あいあいでにこにこ。ナワさんとタイガーくんも笑顔でレッスン。作中でマヘンドラは42歳っていっていたけれど、ご本人も思ったより1974年生まれでそんなに差がなかった。というか、思っていたよりも若かった(演技に貫禄あるから、もう少し年は上かと思っていたので)。

冒頭のマイケルがクビになるところ、雇用主側のマネージャーぽい女性が、端的に言うと「もう貴方は年なのよ」的な酷いこといってクビにするんだけど、その後ろで聞いていたダンサー仲間の若者たちは別に彼のことをおちょくったり何かいったりするわけでもなく、去っていく彼を止めようとしたり、年の差を超えた仲間意識はあったと思われる。そこが救い。
そして赤ちゃん拾って連れ帰った後、ミルクもオムツも判らない男性が、どうやって育てたのかは端折られたけれど。
この子役の子が3人次々踊るシーンは、この映画を見る前に、たまたまつべのお薦めで出てきて見たことある。↓
Feel The Rhythm - Full Video Song | Munna Michael | Tiger Shroff & Nidhhi Agerwal (youtube.com)

ところでマヘンドラって、豪華な家に住んでいるのに本人は意外と服装が質素というかカジュアルなんだよね。
お金がっぽがっぽの消費ヤクザじゃなくて。
昔この辺りの土地を買い叩いて、高値で売ったみたいな過去話をして、地元民には愛されているっぽい感じだったので。
あとドリーのことも、金で買うとかじゃなくて、告白する以前に、まずはダンスを習って彼女に見せたいってあたりが、好感度高かったんだ。
そこにヒロインと主人公の恋がからまなければ、愛人という形ではなく、ドリーの夢を尊重しつつ、自分の恋人になる可能性はゼロじゃなかったんじゃないかなとかちょっと思ってみたり。

マヘンドラがムンナーに初めてダンス披露する時のあの曲、前に他の映画で聞き覚えがあるんだけど、咄嗟に思い出せなくて。
そう、今やっと調べて判りました。
R…ラージクマールの曲じゃん!咄嗟に思い出せなかったのが悔やまれる。

できれば、マヘンドラがコンテストでのドリーとムンナーのダンスを見て、本気のダンスに感動して彼らを認めるって流れの方が良かったんだよなぁ。それをギリギリまで期待してみていたから。
コンテスト終わった後にかけつけて、二人を許すまでのやり取りがちょっと無理があり過ぎて。あんなにご執心のヒロインを、あの数分で許せるのかってなるから。

あとマヘンドラは一代で財産築いたんだね、おそらく。両親普通の人でお父さんヤクザな感じしないから。
そして42歳でも、母からはビンタされるんだな。
42歳ってだいぶ大人なんだけどな。
まぁインド映画、もっと年上のおじさん達も度々ビンタされているか。

コンテストでドリーのピンチに、助っ人ではいるムンナーはいいんだけど、彼女の審査なのに、ムンナーメインでダンスが進行しているのがツッコミどころなんだな。審査員それでいいの?まぁ共感が得られればいいのか。

前半、マヘンドラが夜中に一人道路を渡ろうとしているところで(ヤクザなんだから護衛もつけずに歩くのは不用心すぎない?というツッコミはおいといて)、敵に囲まれてピンチになるところに、ムンナーが助けに入って二人で倒すところが好きです。
そこからしばらくは友情シーンなので。

それでもやはりこれはDVD買って良かった。
映画館のこの余韻に暫く浸り、恋しくなったらいつでも家で見られる。

ムンナーの仲間達も、いったんはダンスから離れたものの、ドリーを縁にダンスをまたやるってのがいい。

タイガーくんのダンスを見せつける映画であり、ヒロインがダンスのコンテストで上り詰めていく成功物語でもあり、ヤクザといえども自由にならない恋愛の難しさもあり、でも一番の自分的見どころはやはりムンナーとマヘンドラのレッスンかな。


当然ダンス多いので確かにこれはマサラ向きだな。