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友人が私にくれたプレゼント【佐々涼子著/エンド・オブ・ライフ】

友人がnoteで紹介していて読みたくなったエンド・オブ・ライフという本。それをきっかけに読みたくて、ずっとAmazonのほしいものリストに入れたままだったのを1年ほど経ったいま、読書の秋の課題図書リストで見つけて思い出した。気になっていたけど、なぜか読もうとできていなかった私にはちょうどいい機会だなと思って読んでみることにした。そして読み終えてこのこのnoteを書いている今、同じような思いをしている人に届けばいいなと思って気持ちを書きたいと思う。

なぜこの本が読みたいと思ったか
そしてなぜ読めなかったか


コロナ禍になって【人の死】ということを世間も自分自身も改めて考えるきっかけになったと思う。それまでは私もあまり考えていなかったし、正直あまり考えたいようなことではないからあえて考えないようにしていたなと思う。そんなとき、note上で友人が勧めていてこの本に出会い、あらすじを読んでなぜか惹かれていった。

200名の患者を看取ってきた看護師の友人が病を得た。 「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。 残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。 在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、 彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、 7年間にわたって見つめてきた在宅での終末医療の現場を描く。
(集英社インターナショナルのHPから引用)


案の定、序盤から泣いてしまって全然読み進められなかったのだが、毎日
大切に大切に読み進めていった。この本の内容はとてもやさしくて泣ける話ばかりであったが、私は気がついたら何年経っても決して忘れることのできない二人の友人の死を考えながら読み進めていっていることに気がついた。


友人2人の死

私は数年前に二人の友人を白血病で亡くしている。友人たちが亡くなったのは同じ年の半年違いだったから一生忘れることのできない出来事だと思っている。

一人は中学時代の先輩だった。いつも笑顔で、怒ったところなんてみたことがない。高校生、社会人になっても共通の友人と食事をしたり交流は続いた。その後彼女は結婚し、息子を出産して幸せそうでよかったと思っていた矢先、白血病で入院したという知らせが入った。彼女は「絶対に退院するから待っててね」と連絡をくれた。私はそれを信じ、彼女からメッセージを待っていた。

ある日の仕事終わり、スマホを見たら彼女が亡くなったとのメッセージが入っていた。その時の衝撃はすごく、どの情景も思い出すことができる。
彼女はなぜ幼い子をのこしていなくならないといけない運命だったんだろうとか、遺された家族のことを考えていた記憶がはっきりと残っている。
そして私は仕事の関係で通夜告別式には足を運ぶことができず、最後にひと目会うことができなかったことをとてつもない後悔を抱きながら過ごしていた。

それから半年後、高校時代の同級生が亡くなった。クラスも一緒で、毎日お昼も一緒に食べた。この子もいつも笑っていて、私が凹んでいてもいつも「大丈夫だよ!」と笑顔で励ましてくれた。

高校を卒業してからも何度か会ったりしていたがある夜、たまたまFacebookを開いたら【通夜告別式のお知らせ】というメッセージが飛び込んできた。故人の名前は友人の名前だった。訳のわからないまま読みすすめると通夜はその日に終わっていたことに気がついた。私は二度と同じ後悔をしたくない、最後ひと目でもいいから会いたいという一心で次の日斎場へ向かった。

告別式を終えて友人を待っている間、私は友人のお母さんと妹さんと話していた。涙ながらにこう話してくれた。

「娘はアメリカ留学にいきたいと夢見てアルバイトを3つ掛け持ちしながらお金を貯めていました。いざお金が貯まって渡航前の健康診断に行ったら白血病が見つかって...結局行けなかったんです。でも娘は最後の最後まで、どんなにつらい状態でも諦めたりとか弱音を吐いたことはありませんでした」


当時私は悲しみに暮れながらも、二人の大切な友人は病気に負けるという選択を決してしなかったことを知ることができてとても誇りに思ったし、友人たちの病気や二人の友人の死を通して会いたい人には会えるうちに会わないとならないと思い知った出来事であった。
またなにより、周りの人に伝えたい言葉はその時伝えなくてはならないと気付かされた。



友人たちがくれたプレゼント


この本を読んで、私は大切なプレゼントに気がついた。

正直今でもたまに二人の友人をたまに思い出しては悲しい気持ちになることもある。会えたらいいなとか、こういう時は二人だったらなんて言ってくれるだろうとか考えることもある。

でも【会いたい人には会う】【想いは伝えたい時にちゃんと伝える】という2つの気づきは、二人からの大切なプレゼントだったんだということにようやく気付かされた。

私はただ友人たちの死を悲しんでいたが、この本を読み終えて友人たちが
くれたプレゼントがたくさんあったということに気がついた。
同時に遺された家族から、友人の気持ちを知ることができたことも友人たちからのプレゼントであったことにも気が付かされた。

それに気づけただけで気持ちがなんだか軽くなった気がした。


またnote上でおすすめしてくれた友人にも本当に感謝している。この本に出会わなければ私は一生苦しんでいたかもしれない。この本に出会えて本当によかったと思っている。

そして私の友人たちにも看護師が多いので医療現場でのことはいろいろと知っている気がしていたがこの本の中で綴られていた医療従事者たちのエピソードを読んで本当にすごい職業だと思ったし、私の友人たちに対しても改めて誇りに思った。

二人の友人、また今会える友人たちからのプレゼントに気付かされた一冊であった。この出会いがプレゼントだったのかもしれない。


読みすすめるのは辛い内容かもしれないが身近な人の死に苦しんでいる人にぜひおすすめしたい一冊だと私は思う。読みすすめるのが辛いかもしれないけどきっと読み終えた時に大切なプレゼントに気がつくと思う。


もし、なにかをきっかけにこれを読んでくれている人のひとつのプレゼントになっていたら私もとてもうれしいです。





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