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6. FV表のF



アドカレ6日目は「FV表のF」。FはFunctionのF。

テスト要求分析の回で、ホールケーキをショートケーキに切り分ける例で、「うまく切り分けないと兄弟喧嘩になる」と書いた。テストベース(特に機能仕様書)はホールケーキであり、FV表の各行は切り分けられたショートケーキだ。そして、FV表のFは切り分ける単位である「目的機能」である。

FV表については前にManiaXというテストの同人誌に『詳説FV表』というタイトルで書いた。

興味がある方はこちらから。

ここでは目的機能(F)への分解のコツについて書く。
目的機能はアジャイル(スクラム?)でいえば、バックログ(=薪ストーブの後ろの薪)であり、バックログの多くはユーザーストーリーだ。だから、ユーザーストーリーは、FV表のFの代わりに使用できる。

ただし、“ユーザーがからまない機能”はユーザーストーリーに現れにくいので注意が必要だ。
プロダクトオーナーによっては、そのような機能もきちんと拾っているが、例えば「ログを取る」といった「裏で動くような支援機能」はユーザーストーリーには現れにくい。

バックログ(物理)は、ログ(丸太)を斧で“パッカーン”して作る。
長さは薪ストーブに入る50cmが最長だけれど、その半分くらいにしておく方が運びやすいし、使い勝手も良い。

脱線するが、薪ストーブと暖炉は異なる。暖炉は壁に造りつけられていて、扉はない。
ということで、暖炉の後ろに薪を置くことはしないので薪ストーブとした。

ちなみに、現在、英語で「backlog」というと、「未処理の作業や業務」の意味でしか通じない。(辞書にも薪の意味では載っていない)
「薪」といいたいときには、「firewood」を使う。

つまり、「薪」はあくまで語源的な話。もっと昔の話をしたら、暖炉の火の後ろ(back)に置かれた丸太(log)という説もあるが、それだと私には、スクラムのバックログのイメージが湧かない。

もちろん、暖炉の火をずっと絶やさない燃料という意味のほうがスッキリする人がいるかもしれない。
また、そもそもbacklogの“log”は、丸太そのものを指しているではなく、丸太から派生した「記録」の意味という説を支持する人もいるかもしれない。……丸太にナイフで刻みを入れて記録に使ったことから丸太に記録の意味が付いたらしい。

甘んじて、チコちゃんに叱られよう。

けど、大丈夫。こんなゆるい情報でも許される魔法の言葉を書いておけば。
・・・“バックログ”の語源には諸説ある。

さて、ここからが本題である。

薪割りには「良い丸太(素材)」と「良い斧(道具)」が必要である。松谷さんも「木こりのジレンマ」で道具を手入れすることの重要さをわかりやすく、かつ、面白くマンガ化している。松谷さんは、すごい才能をお持ちだと思う。

ところが、素材と道具が良くても、それだけでは薪割りは上手くできない。ちょっとしたコツがあるからだ。
薪割り達人によると、丸太の年輪ばかり見ていないで、横から見ると良いそうである。
横から見ると丸太の縦に筋が流れていることが分かる。この流れを読んで、流れにそって斧を振り下ろすと気持ちよくパッカーンと割れるとのこと。
もちろん横から見たときに横枝を切り落とした跡があったら要注意だ。丸太の中にも横枝は残っているからそこで斧が止まってしまう。

FV表をつくるコツも同じだ
機能を仕様書、もしくは、6W2Hツリーから拾い、その機能が果たすべき目的を考えて「目的機能」として切り出す活動はまさに薪割りのときに“丸太の中にある流れを読む”ことと同じだ。

このときに、目的機能の粒度と抽象度は考えない。
ただし、1つの目的機能が果たす目的を1つに絞ることだけは守る。

こんなたとえ話ではわからないって?
ちょっと意識してやってみたら簡単なこと。
これ以上は、レッツ・トライだ。

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