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空き家管理の入門書

割引あり

はじめに

はじめまして、空き家管理士 山下です。
空き家管理舎パートナーズの代表や空き家管理士協会の代表をしています。

いまこのnoteを見ている人は、空き家管理などの空き家ビジネスや、空き家活用を考えてまさに行動を始めている人ではないかと思います。

テレビでも取り上げられることが多くなった空き家問題。
実は空き家が増えることが問題ではなくて、きちんと管理されていない空き家が増えることが問題なんです。

きちんと管理された空き家は、週末の別荘にもなるし、ゲストハウスや古民家レストランとして資産になる可能性を秘めています。

そんな空き家の可能性にあなたと共に挑戦したいと思います。
※note購入していただいた方にはzoom相談会にご招待いたします。

2023年6月14日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の施行期日を定める政令、及び当該施行に伴う所要の規定の整理を行う政令が閣議決定され、施行日が12月13日に決定しました。

こちら改正の背景として、この20年で居住目的の無い空き家の数が約1.9倍に増加したこと、現行法では、特定空き家への対策が中心になっているため、現実的に対策するにも遅く、解体しかないような状況であることがあると思います。

今回、改正法の目玉は【管理不全空き家】制度かと思います。
管理不全と認定された空き家について更地と同じ固定資産税がかかるという事で、税金が約6倍になるというところです。

そのような状況ですが空き家管理、実家の管理については、国土交通省の実態調査で、これまで不動産屋さんや空き家管理士のような専門家が管理をしている空き家はわずか3.5%にとどまっており、これから一気に増えてくることは間違いない思います。

さかのぼること8年。2015年、空き家に関する初めての法律、空き家の特措法が施行されることが閣議決定されました。

時を前後して、マスコミ等で空き家問題が急に注目されることとなり、同時に、私たちの【空き家管理舎】の取り組みが、いろんなメディアで取り上げてもらえるようになりました。

連日、取材の依頼や、全国から視察に来てもらうような状況になり、それまでとは、一気に景色が変わったような気がしたことを今でも覚えています。

テレビやラジオ、週刊誌や業界紙等、さまざまな取材を受けながら、これまでの苦労がようやく報われるかな・・と思いながら、次なるステージの準備を着々としていました。

そんな中、まさしく一瞬で全てが灰になってしまったのです。

想像してください。
祖父の代からから三代続いた事務所が目の前で炎に包まれている姿を・・・
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人生紆余曲折しながら家業を継ごうと思って実家に帰った頃、建設業という仕事が天候に左右されやすく、思ったような段取りで進まないこと、焦る気持ちで、窓の外を見ながら雨が止むのを待つこともしばしば。

そのころ当社では、ご近所で祖父の時代からお付き合いのあるお客さんの、「今は住んでいないお家」の鍵を預かっている家が数軒ありました。

台風の時期などに雨漏りはないか、シロアリの被害はないか、不審者の入った形跡はないかなど、ちょっと様子を見にいく程度ですがそういった見回りをしていました。
やはり実家を離れて暮らしている人にとって、雨漏り、シロアリ、火事というのが最も気になるところです。
台風の後などは、瓦が飛んでいたり、生け垣の木が倒れていたりと、その都度点検・修繕をする感じでした。

ある日、”今度のお盆に帰省するので、その前に草刈りお願いできますか。”という依頼をいただきました。
それまでは帰省のついでに、自分たちで草刈りや生け垣の手入れ、雑木の伐採などしていたのが、年齢的に作業がつらくなってきたということでした。

それならせっかくなので、預かっていたカギを使って家中の窓もあけて空気の入れ替えをし、気持ちいい状態でお盆を過ごしてもらおうと、埃を払い、玄関先を掃除し、水も流し、草もないさっぱりした状態でお迎えすることにしました。
その時すごく喜んでもらえたことが、とてもうれしかったのを覚えています。
あらためてお客さんに喜んでもらえて、お金も払ってもらえる仕事って本当に素晴らしいと思います。

そこからせっかくなので雨降りにできる作業の確保ということで、空き家管理のサービスを始めることにしました。
でもまだその時は雨降りや台風後、お盆や秋祭り前などのピンポイントでのサービスでした。


空き家をとりまく環境


2018年の統計調査で、総住宅数は6,241万戸と5年前に比べ178万戸増加し、空き家の数は846万戸と5年前に比べ26万戸増加しました。

空き家率(総住宅数に占める割合)も13.6%と過去最高となっており、適正に管理されていない空き家は防犯や衛生環境の面などでも地域の大きな問題となっています。


統計局ホームページから

そのうえ、高齢者単身世帯と高齢夫婦のみ世帯の合計約1,563万世帯を空き家予備軍と考えると、この数字は急激に増え続けるものと思われます。
現にいまの住宅の着工数と滅失数のいくつかの試算によると、2040年には空き家率が43%になるというシナリオも発表されています。


内閣府

また、価値総合研究所が行った「空き家」に関する調査によると、空き家の所有者のうち、売却や賃貸などを検討している人は24.0%で、71.0%の人は特に何もしないまま放置している。
さらに空き家について特に管理すらしていない人が12.8%もいる状況です。


価値総合研究所

空き家管理とは、今までご近所さんや、近くに住んでいる親類の方にお願いすることが多く、ご厚意に甘える部分が多い仕事でした。
しかし、昨今の空き家の増加にともない、空き家に関する苦情も多くなり、今までの厚意に甘えるというレベルでの作業では立ち行かなくなってきました。

認知症高齢者の所有する住宅が2040年に280万戸に。今後空き家化が加速する可能性。

認知症の高齢者が所有する住宅が全国で220万戸余りに上り、2040年には280万戸まで増え、今後その数が加速するといわれています。

高齢者世帯のみが所有する住宅、いわゆる「空き家予備軍」の中でも、特に空き家になる可能性が高いといわれるこういった物件は、数年間はそのままになることが多く、適正な管理の必要があるケースが多いと思われます。

また、認知症になると意思決定にかかわる能力が失われ、自宅の売却が難しくなり、介護費用の捻出に資産である自宅を有効活用できない恐れが出てきます。

預金などと異なり、一部だけ処分を認めるといった措置も取りにくいため、資産の管理を子供に任せる家族信託の利用をはじめ事前の対策が必要です。

自宅での生活が困難になり、急遽施設などに移ることで自宅が「空き家」になるケースも増え、売却などは相続後の話になることが多く、ついついそのままになってしまい、気が付けば解体するしかないほど建物が劣化してしまった・・という事にならないように早いうちから折に触れ話題に出すようにすることが必要です。

加えて、団塊の世代が平均寿命を迎える2038年以降、住宅の空き家化が一気に加速するでしょう。

団塊世代は、8割以上が持ち家を持っていて、その中でも戸建てを持っている世帯が75.3%もいます。

以前住宅の着工数と滅失数のいくつかの試算によると2040年には空き家率が43%になるというかなり怖いシナリオも発表されていましたが、結構リアルな数値かもしれません。

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