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空き家対策特別措置法改正で世の中はどう変わる?~後編~

こんにちは。空き家買取専科 子育て広報の三輪です。
前回に続き、空き家対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年6月14日公布、令和5年12月13日施行)について、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
後編では、改正空き家特措法の改正ポイント「3.管理の確保」「4.特定空家の除却等」「5.財政・金融・税制の支援」の詳しい説明と空き家対策の将来展望と地域への影響についてお話していきます。


3.管理の確保

改正空家法は、特に「管理の確保」に重点を置いています​​。この部分では、特定の空き家が周囲に与える悪影響を未然に防ぐための措置が強化されています。それでは、どのような変更があったのでしょうか?

①特定空き家化を未然に防止する管理

空き家が特定空家になることを防ぐために、所有者はより積極的な管理を求められています。たとえば、定期的な建物の点検適切な修繕草木の管理などがこれに含まれます。これらの措置は、空き家が倒壊したり、環境を損なったりするリスクを減らすために重要です。また、地域住民の安全を守るという点でも大切な役割を果たします。

②所有者把握の円滑化

所有者の把握をより円滑にするために、市区町村は空き家の所有者情報の提供を電力会社などから要請できるようになりました。これにより、空き家の管理や対策を行う際に、所有者との連絡がスムーズになります。所有者が不明または連絡が取れない場合にも、市区町村は適切な措置を講じることが可能になり、空き家の問題により迅速に対応できるようになります。

これらの改正は、空き家が周囲に及ぼす悪影響を効果的に防ぐための重要なステップです。特に、自治体が空き家問題により積極的に取り組むことで、地域全体の安全性や美観が向上し、より住みよい環境が実現されることが期待されます。


4.特定空家の管理と除却

さらに、特に問題となる「特定空家」への対応が大きく強化されました​​。これらの空き家は、そのまま放置されると地域の安全や美観に悪影響を及ぼす可能性が高いため、新たな対策が導入されたのです。

特定空家への対応措置

特定空家とは、倒壊の恐れがある、衛生上有害な状態にある、または景観を損なうような状態にある空き家を指します。改正空家法では、これらの空き家に対する自治体の指導や勧告が強化されました。自治体は、こうした空き家の所有者に対して、必要な修繕や除却を要求することができるようになり、所有者はこれに従う義務があります。

代執行の円滑化と緊急代執行制度

さらに、代執行の制度も改正されました。これは、所有者が指導や勧告に従わない場合、自治体が所有者に代わって直接修繕や除却を行うことができる制度です。特に緊急性が高い場合には、従来の手続きを省略し、迅速な代執行が可能になりました。これにより、急速に悪化する空き家の問題に対して、自治体がより効果的に対応できるようになるのです。
これらの改正は、特定空家によるリスクを減らし、地域社会の安全を保ち、美観を維持するための重要な一歩です。所有者は自身の責任をより意識し、自治体はより積極的な役割を果たすことで、共に地域の問題を解決していくことが期待されています。

特定空き家になってしまった場合は、大きなリスクと義務が生じます。

5.管理不全空家への新規対策

最新の改正空家法では、管理不全空家への対策が新たに取り入れられました​​。これらの空き家は、地域の安全や美観を損なうだけでなく、場合によっては住民の生活にも影響を与える可能性があるため、特に重要な対象とされています。

管理不全空家の定義と対応策

管理不全空家とは、適切な管理が行われておらず、放置されることで特定空家になる可能性がある空き家を指します。これには、建物の老朽化が進んでいる場合や、周囲の環境に悪影響を与える状態にある場合が含まれます。改正空家法では、こうした空き家に対して、市区町村がより積極的な指導や勧告を行うことが可能になりました。これにより、所有者は空き家の状態を改善し、地域社会に対するリスクを減らすための措置を講じることが求められます。
こうした新たな対策の導入により、改正空家法は、所有者、自治体、地域社会が一丸となって空き家問題に取り組むための強力な基盤を提供します。

6.財政・金融・税制の支援

また、財政、金融、税制面での支援も拡充しています。これにより、空き家の有効活用や除却を進めるためのさまざまな後押しがされます。

フラット35地域連携型

フラット35地域連携型は、空き家の取得やリフォームを行う個人に対して低利の住宅ローンを提供する制度です。この制度を利用することで、空き家の購入や改修に必要な資金調達が容易になり、空き家の再生が促進されます。

相続した空き家の譲渡所得特別控除

相続した空き家を譲渡する場合、譲渡所得から3000万円特別控除を受けることができるようになります。これにより、空き家の売却を検討している相続人にとっては、税負担の軽減という大きなメリットがもたらされます。

固定資産税の住宅用地特例の解除

さらに、管理不全空家に対する新たな経済的措置として、固定資産税の住宅用地特例(1/6等へ減額)の解除が導入されました。管理不全空家に対して固定資産税の住宅用地特例を解除する措置は、所有者にとって大きな動機づけとなります。この特例が解除されると、税負担が増加するため、所有者は空き家の状況を改善するための措置を講じることが一層重要になります。

このような税制上の変更は、空き家の所有者に対して直接的な影響を与えるだけでなく、地域全体の空き家問題解決への取り組みを後押しする効果もあります。結果として、地域の安全性の向上、環境の改善、さらには地域コミュニティの活性化に寄与することが期待されます。
これらの支援策は、空き家問題に対する多角的なアプローチを提供し、空き家の活用と地域の活性化を促進するための重要な手段です。

空き家対策の将来展望と地域への影響

改正空家法により導入されたこれらの新たな対策は、空き家問題に対する総合的なアプローチを提供し、これにより、地域社会における空き家対策の将来展望が大きく変わることに期待したいと思います。
まず、管理不全空家の問題に効果的に対処することで、地域の安全性や美観が向上し、住民の生活の質も改善されるでしょう。安全で清潔な環境は、地域住民だけでなく、新たな住民や訪問者を惹きつける要因となり、地域の活性化につながります。

また、空き家の有効活用により、新たなビジネスチャンスやコミュニティ活動の場が生まれる可能性もあります。空き家をリノベーションして新しい商業施設や住居、コミュニティセンターとして活用することで、地域に新たな活力をもたらすことができますね。
さらに、自治体・企業・所有者の協力関係の強化は、地域における問題解決のための新たなパートナーシップを築く基盤となります。これにより、地域コミュニティが一体となって空き家問題に取り組むことが可能になり、より効果的な解決策を見出すことができるでしょう。

最終的に、これらの改正は、単に空き家問題の解決に寄与するだけでなく、地域全体の持続可能な発展に貢献する重要な役割を果たします。地域社会が一丸となって取り組むことで、より住みやすく、魅力的な地域を実現するため、私たちも取り組んでいきます。

相続した実家をどのように活用や売却したらいいか悩んでいる方など、お気軽に空き家買取専科までご相談ください。