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空き家対策特別措置法改正で世の中はどう変わる?~前編~

こんにちは。空き家買取専科 子育て広報の三輪です。
空き家対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年6月14日公布、令和5年12月13日施行)が施行されましたね。以前も記事に書かせていただきましたが、改めて背景や概要について、皆さんと一緒に知識を深めていきたいと思います。
法改正って、難しいですよね。少しでもわかりやすくお届けできるように、頑張ります!!


空き家対策特別措置法改正の背景

空き家対策特別措置法の改正(以下 改正空き家法)は、日本で増加している空き家問題に対応するために行われました。過去20年間で使用目的のない空き家は約1.9倍に増加し、今後もその数は増える見込みです。(1988年:182万戸➡︎2018年:349万戸➡︎2030年:470万戸(見込み))これらの空き家は、地域に著しい悪影響を与える可能性があり、特に管理されていない空き家は、安全性や衛生面での問題を引き起こすリスクがあります。

現行法(平成26年制定)では、周囲に悪影響を及ぼす特定空家への対応を中心に制度的措置が定められていましたが、特定空家になってからの対応には限界がありました。これは、問題が顕在化してからではなく、より早期に対応する必要があることを意味しています。
そこで、この改正空き家法では、「空家の活用拡大」「管理の確保」、そして「特定空家の除却等」という3つの主要な方向性で対策が強化されています。特に所有者には、「適切な管理の努力」に加えて、国や自治体の施策に協力する新たな努力義務が課されることになりました。この記事では、この法改正が私たちの社会や地域にどのような変化をもたらすのか、考えていきたいと思います。

https://www1.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001634864.pdf

空き家対策特別措置法の改正ポイント

改正空き家特措法(令和5年6月14日公布、令和5年12月13日施行)の主要な内容は次の通りです。

1.所有者の責務強化

● 空き家の所有者は、適切な管理の努力義務に加え、国や自治体の施策に協力する努力義務が課せられます。

2.活用拡大

● 空家等活用促進区域が設定され、市区町村が用途変更や建替えを促進します。
● 市区町村は所有者に指針に合った活用を要請できます。
● NPO法人や社団法人などが空家等管理活用支援法人として指定され、普及啓発や相談対応などを行います。

3.管理の確保

● 特定空家(周囲に著しい悪影響を及ぼす空家)の未然防止に向けて、市区町村からの指導・勧告が行われます。
● 勧告を受けた管理不全空家については、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。

4.特定空家の除却等

● 緊急代執行制度が創設され、緊急時の代執行が可能になります。
● 所有者不明時の代執行費用は確定判決なしで徴収できます。

5.管理不全空家への対策

● 改正空家法では、管理不全空家への新たな対策が導入されました。
● 市区町村は、管理不全空家に対して積極的な指導や勧告を行うことが可能になりました。

6.財政・金融・税制の支援

● 空き家対策総合支援事業やフラット35地域連携型など、空き家の活用や除却に関する支援が拡充されます。
● 相続した空家の譲渡所得の特別控除が拡充・延長され、固定資産税の住宅用地特例の適用が解除されるケースが拡大されます。

今回の改正は、増加する空き家問題に対応し、空き家の有効活用と管理を促進するために行われました。所有者に対する責務の強化や自治体による支援拡大などが特徴的な措置です。

では、これらを詳しく説明していきますね。

1.所有者の責務と新たな努力義務

改正空家法は、空き家の所有者に対して新たな責務と努力義務を課しています。これらの変更は、空き家問題により効果的に対処し、地域社会を守るために重要な意味を持ちます。

空家管理の強化

空き家の所有者は、これまで以上に自分の空き家の状態を適切に管理する責任があります。これには、建物の維持修理、安全対策の強化、そして周囲への悪影響を防ぐための措置が含まれます。
例えば、空き家が倒壊の危険性を持つ場合や、周囲の環境に悪影響を及ぼす恐れがある場合、所有者は迅速に対策を講じる必要があります。これは、単に法的な義務を果たすこと以上に、地域社会の安全と美観を守るための行動です。

国や自治体との協力義務

さらに、所有者は国や自治体との協力も積極的に行う必要があります。これは、空き家の適切な管理や活用を促進するために、地方自治体が策定する空き家対策計画に協力することを意味します。
例えば、自治体が空き家の活用に関する指針を設けた場合、所有者はこれに沿って行動することが期待されます。このような協力は、空き家問題を個人の問題ではなく、地域全体の問題として捉え、解決に向けて共同で取り組むことの重要性を示しています​​。
この法改正により、空き家の所有者は自分の責任をより深く理解し、地域社会の一員としての役割を果たすことが期待されています。

2.活用の拡大

改正空家法は、空き家の有効活用を促進するための新しい取り組みも導入しています。ここでは、特に重要な3つの点に焦点を当ててみましょう。

①空き家等活用推進区域

まず、自治体は「空き家等活用推進区域」を指定することができるようになりました。この区域内では、空き家の有効活用が特に重視され、建替えや用途変更がより容易になります。
例えば、中心市街地や地域再生拠点などで、これらの空き家を新しい商業施設や移住者用交流施設として再活用することが期待されています。

②財産管理人による所有者不在の空き家の処分

次に、所有者が不明または不在の空き家について、市区町村が財産管理人を選任し、その処分や管理を行うことができるようになりました。
これにより、長期間放置され、地域の安全や美観を損なう空き家を効果的に処理し、活用することが可能になります。

③支援法人制度

さらに、市区町村はNPO法人や社団法人などを「空家等管理活用支援法人」として指定できるようになりました。これらの法人は、空き家の所有者や活用希望者に対する情報提供や相談対応を行い、空き家の適切な管理や活用をサポートします。

これらの取り組みにより、空き家はただの問題点ではなく、新たな可能性を秘めた資源として活用されるようになるでしょう。地域の活性化や安全性の向上、そして美観の改善に大きく寄与することが期待されます。空き家対策の改正は、私たちの住む地域の未来を明るく照らす一歩としていきたいですね。​​

後編に続く

前編はここまでにします。
後編では、「3.管理の確保」「4.特定空家の除却等」「5.財政・金融・税制の支援」について詳しく解説し、空き家対策の将来展望と地域への影響についてもまとめていきたいと思います。

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