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木造住宅の耐震補強工事の話

耐震診断の結果、評点が1.0未満だった場合、耐震補強工事の対象になります。耐震補強工事の目標は評点1.0以上です。では、木造軸組工法の住宅の耐震補強工事ってどんなものか、どうすれば耐震性が向上するのかをお話していきます。

耐震診断については、下記の記事を参照してください。


耐震診断にて評点に大きく関わる項目が、①柱等の接合部の強度、②耐力壁の量とバランス、③建物の重さ です。


柱等の接合部に『認定金物』を取り付ける

平成12年の法改正にて、柱等の接合部には『認定金物』を使用しなければならなくなりました。なので、平成12年よりも前に建てられた木造住宅の接合部は弱いとされ、その分評価を下げなければなりません。だから、この接合部に『認定金物』を取り付ければ、評点はぐっと上がります。

しかし、柱や筋交いに金物を取り付けるには、内壁か外壁を取り払らわなければ工事できません。また、部分的に『認定金物』を取り付けても効果はあまりありません。建物全体の柱脚、柱頭、筋交いに取り付けて初めて効果があります。なので、この工事は内部を撤去するスケルトン工事、もしくは外壁を撤去して新しく貼り替える外壁工事のときにしかできません。


耐力壁を新設する

耐力壁とは柱と土台・梁で組んだ軸組みに筋交いという斜め材で補強したり、構造用合板を打ち付けた強度の強い壁のことです。建築基準法では、この耐力壁の長さは、建物の規模と重さによって決められていて、必要な長さ以上の耐力壁がなければいけません。

必要な耐力壁の長さは昭和56年の法改正で改められ、平成12年の法改正ではその耐力壁をバランス良く配置することが求められるようになりました。なので、平成12年よりも前に建てられた木造住宅でも、昭和56年以降の木造住宅は耐力壁の長さは足りていて、バランスだけ調整すれば良いので、部分的な工事で済むことがあります。


昭和56年よりも前の木造住宅の耐震補強工事が難しい理由

昭和56年よりも前の木造住宅は、柱や筋交いの接合部が弱いので『認定金物』を取り付ける他に、耐力壁の長さが足りていないので、全体的にバランス良く耐力壁を新設していかなければなりません。

さらに、昭和46年よりも前の建物の基礎は鉄筋の入っていない無筋基礎なので、強固な耐力壁を作ると地震のときに大きな引き抜きの力が基礎にかかり、それに耐えることができません。そのため、この年代の建物には弱い耐力壁(壁倍率の低い耐力壁)を建物全体にまんべんなく配置しないと、耐震診断の評点が上がりません。

さらに、昔の日本の住宅は南面一面に開口部を作っている間取りが一般的で、南面に壁を新設しないとバランス良く耐力壁を配置することができません。

つまり、昭和56年よりも前の木造住宅の耐震診断の評点を1.0以上に上げるには、建物の内からも外からも工事をしなければならなく、場合によっては基礎の新設や補強も必要となるので、相当大掛かりな工事になります。


建物の重さを軽くする

耐震診断は各階ごとに評点を出します。必要な耐力壁の量はその階の上に載っている建物の重さによって変わってくるので、建物が軽いほど有利になります。つまり、同じ耐力壁の長さならば、1階よりも2階の方が、総2階建てより部分2階建ての方が耐震性が上がります。

そして、これは屋根材についても言えることで、日本瓦のような重い屋根材よりも現在主流のコロニアル葺の方が軽く、耐震上有利になります。


耐震補強工事をすることの意義

耐震補強工事をする意義は、とにかく住んでいる人の人命を守るということに尽きます。耐震性の低い住宅に住むことは、平時に普通に生活する上では不都合はありませんが、災害に備えることは大切なことだと思います。でも、簡単な工事ではありませんので、リフォームなどを行う際、耐震診断を行い、できる範囲の補強はしておきたいものです。

最後に、平成12年よりも前に建てられた木造住宅について気を付けなればならないのが、構造耐力が現行の建築基準法に適合していないので(専門用語では既存不適格といいます)、増築する場合にいろいろな制約が出てきます。この制約がかなりやっかいで、簡単ではありません。増築を考えるとき、耐震補強工事も含めて検討する必要があります。


この記事を読んで、一人でも多くの人に耐震のことについて知ってもらい、考えていただければ嬉しいです。


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