見出し画像

父の姿

幼い時、30歳の姿をどのように想像しただろうか?私は父が32歳時の子供なので、物心ついた時には30代中盤だった父の姿が今の自分に近い一番身近な存在であった。

私の父は私同様サラリーマン。研究や製造を行う技術社員であった。父は仕事人間という感じではなく、私含め3人の子供、専業主婦の母を何不自由なく養っていたと思う。平日は20時ごろには帰り、食事と缶ビールを飲み、休日には私たちを遊びに連れて行ってくれるとても普通で、良い父親であった。

私たちにとても優しい父は仕事ができるのか?と疑問に思った時もある。だが、40代過ぎてから目に見えるように出世して、サラリーマン生活の晩年には経営層、グループ会社の社長にまで上り詰め、給料もサラリーマンでは考えられないくらい、私が今の会社でいくら頑張っても手の届かないところまで上昇していた。

あまり仕事の話はしない父であるものの、最近始めて仕事の話をした。今どんなことをやっているのか、楽しいかなど父は私のことをとても気にしていることが初めて伺えた。そして、人生の先輩である父に対し、仕事で大事なことを聞いてみた。父も酔っていたので話は長かったが、要点は3つ。

1. 社会人人生は長い。大事なのは常に頑張ることではなく、大事なポイントはしっかり抑えること。
2. いくら部下とはいえ年上の人を呼び捨てにしてはいけない。必ず〜さんとつけなさい。だが
上司として言うべきことは臆せず言いなさい。
3. 謙虚な気持ちを忘れてはダメ。一人で生きているのではない。周りへの感謝を忘れないこと。

父の時代とは違う。父の言うことが全てではない。そんなことわかっているが、上記3つは私も不変の真理だと思っている。父は私の最大のライバルであり、最も尊敬する存在でもある。

父を超えたいと思って同じ化学系の大学院に入った。しかし、同じ土俵で戦っても勝てない気がした。そんな思いも少なからずあったと思う。だかしかし、今の人生なんの後悔もない。

来年子供が生まれると私の見ていた父と同じ環境となる。父は仕事も家庭もしっかりこなした。
次は私の番。絶対に負けられないし、父以上の立派な父になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?