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サクラ咲く季節に、さくらは散りゆく ②

前の病院ではウィルス検査なんてしていないので、検査した結果………

白血病ウィルスのキャリア猫である事が判明する。

※キャリアとは………ウィルスを持っているが発症されていない状態

ご存知の人も多いと思うが、猫には不治の病がいくつかある。

猫エイズ

腎不全

そして白血病。

今は医学が進歩しているものの、いまだに明確な治療法が存在していない。

さくらはまだキャリアであって、発症はしていないから薬でなんとか抑えられる可能性がある。

ただ、効果が現れるかどうかわからない、このまま効果が出なければ、白血球の異常で命を落とすかもしれない。

そんな綱渡りの中、投薬治療がスタート。

数回投与してみたものの、全く効果がなく、さくらの体力も落ちていく一方。

「次の投薬で効果が出なかったら、覚悟はしてください」

悲しそうな顔をしながら、先生がそう伝えてくれた。

その夜は、夫婦揃って号泣していた。

そもそも保護したのが僕らのエゴではないか、手術や投薬治療で苦しい思いをするなら、自然のままのほうが幸せだったのではないか、そういったマイナスな考えが浮かんでしまう。

しかしその時、ちょっとした奇跡が起こる。

泣いている2人に、さくらが近づいてきて、体を寄せてくるのだ。

術後で体力もない、ましてや保護してからすぐ手術、投薬治療と続いているから、ほとんど飼い主らしい事なんてしていない。

にも関わらず、さくらは必死に僕らをなだめてくれる。

ならば、僕らもその気持ちに答えなきゃいけない。

泣くのは今日で最後、例え結果がダメだったとしても、僕らを「家族」として受け入れてくれたさくらのために、最後まで、全力で向き合おう。

そして、運命の結果は………

数値が改善し、体力も回復。
これは奇跡なんかじゃなくて、さくらが生きようとしている結果。

投薬治療も終了し、そこから順調な毎日。

正直に言えば、実家で犬を飼っていた事もあって、動物は好きだけれども、犬の方が可愛いと思っていた。

だが今は違う。猫が可愛いくて仕方ない。

いいや違う。

さくらはどこの猫よりも可愛くて世界一(親バカ)

投薬治療から2年、ずっとこのまま幸せな日々が続く。

そう、思っていた。

しかし、僕らはまだ知らなかった。

この幸せな日々が、ずっとは続かない事を。

続く

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