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12・2(日記 読み語り合い会のこと)

もう12月、、、
はやーい、と思いつつ、未だ何か流れの中のような気がして、
ちょっとふわふわしています。

日付のところ、
暫くは11と入れてしまって、「あ」と打ち直す日々です。

2日の土曜日は、絵本カフェくうねるんの毎月の恒例行事、
絵本の読み語り合い会でした。

この日は毎月楽しみな日の一つです。

今回は人数も過去最高人数で、
(読む人も私を入れて6人いらしてましたし、
たまたま通りがかってコーヒーを楽しみつつ、
絵本の読み聞かせに耳を澄ませてくださる方も三人いらしてました!)
とってもにぎやかに始まりました。

私、すっかり忘れていたのですが、
今回はテーマがあって、
「雪」の絵本だったそう。
しまった、と思いましたが、店主のこっこさんが
「まあ、色々あった方が楽しいですよね!」
と言ってくださったのでよかったです。

まずトップバッターの方は、
ふわっと雪が出てくる絵本、
と紹介しつつ、
「長いので紹介だけ」
と言われたのですが、
私含め他の参加者さんたちから
「いいじゃないですか!読んでください!」
とプッシュを受け、
「それじゃあ」
と読んでくださいました。
絵本はこちら

くまさんのお家の中には大きなお母さんクマのベッドと、
子グマ用の小さなベッドがありましたが、
この小さなベッドはいつも空っぽです。
だって、さみしがりの子グマはいつでもお母さんグマのベッドにいっしょに眠っているのです。
だけど、ある日子グマは言います。
「お母さん、ぬいぐるみを作って!
そうしたら、ベッドね眠るから」
それを聞いたお母さんグマは「いいよ」と言ってくれました。
その次の日、ぬいぐるみを作ってくれるのだとばかり思っていた子グマは、
お母さんグマが出かける用意をしているのでがっかり。
「今日はぬいぐるみを作ってくれる約束でしょう?」
だけどお母さんグマは用意の手を止めず、
「ええ、ええ、作りますよ。
だけど今日は大切な用事もしなくちゃ」
それはクマにとっては大切な、冬ごもりの用意なのでした。
山で木の実をとったり(子グマは食べられない木の実をとったり)
川で魚をとったり(子グマも小さな魚を捕まえます)
おじいさんクマとハチミツをとったり(子グマは鼻のあたまを刺されてしまいます)
友達にもあって、
綿もとって、
さて、冬ごもりの準備は着々と進んで行きます。
そしてお母さんグマが最後にはじめたのは、
子グマのぬいぐるみを作ることでした。


とっても可愛い絵と文の絵本でした。
最後に、ぬいぐるみで友達の動物をいくつも作ってもらった子グマは、
かれらに囲まれるようにして自分のベッドで眠ります。
安らかで、
あたたかで、
しんしんと雪が彼らの冬を包み込んでくれるような、
素敵なお話でした。


次は私。
私の読んだ絵本はこちら。

画家で、絵本作家の作者の、
幼い頃に父親が作ってくれた“ノアの箱舟”のおもちゃ。
そこには小さな動物たちがセットで入れられ、
ノアは片手に金槌、もう片手にはモップを持っていて、
奥さんはのこぎりを持っていました。
そのおもちゃを、父はそれは楽しそうに作ってくれていて、
扉の向こうから大きな喜びの声が聞こえたことを“私”はずっと
覚えていたのいたのです。

「長さは、300キューピッド!」

そうして毎年、少しずつ動物は増えていき、
いつしか“私”は大人になり、
夫と出会い、家を出ていくときも、
“ノアの箱舟”は積み込まれ、
そして子供たちにはこの物語を語り、
いつの間にか時間と共に“私”の大切なものが過ぎ去っていっても、
この箱舟にはあたたかな思い出がいっぱいに詰め込まれている、
というお話です。

訳を谷川俊太郎さんがされていて、
素直で、装飾の少ないことば達なのに、
どうしてこんなに心に添ってしまうのだろう。
そう思う絵本です。

読み終わった後、
同じ文芸会の参加者の方が
「ああ、としさんの文章に近いものを感じた。
こういうものに触れてきて、今のあなたの文章になったんだなって分かった」
と言ってくれて、とてもうれしかったです。
こんなにうつくしい文章に、いつか。


お次は、ベテランの方で、
今回は変化球で詩の朗読をしてくださいました。
この詩集から。

読まれたのは『雪の朝』。
本当にうつくしい詩で、
真っ白な、まっさらな、雪の朝が目に見えるような朗読でした。

おまけで私の好きな『比喩でなく』も読んでくださいました。

また新川さんの詩集が読みたくなりました。


お次はミスターだんさんという、
70歳からバイオリンをはじめて今色んな場所で弾く機会を探している方。

参加は前にもあったのですが、
絵本を読まれているのを聞いたのははじめてでした。
絵本はこちら。

ちいさなちいさな駅の、
ちいさなちいさな駅長さんは、、、、
と言葉のはじめに「ちいさなちいさな」とくっつき、
素朴な世界が描かれていきます。
汽車が走り、駅に着き、
窓から子供が「お弁当はどこで買うの?」
と聞きますが、この駅にはお弁当を買うところありません。
それでもお腹が空いたという子供に、
駅長さんは自分の分のお弁当を全てあげてしまうのでした。

読まれるとき、
男性の方だからか、
ちょっと慣れない読み聞かせを一生懸命されていました。

だんさんが読み終えて、
「この駅長さんは全部お弁当をあげているけれど、
今ならきっと半分こにして分け合うことが出来るんじゃないかと思う。
自己犠牲のようなことを描くのではない、
そういう絵本に出会いたい」
というようなことをおっしゃっていて、
ああ、そういうことを求めてこの会に来られる方もいるんだな、と
この会の楽しさが増したような気がしました。


お次は、初参加、そしてくうねるんに最近よく来てくれる19歳の男の子。
絵本はこちら。

ぽとりと落ちた赤い手袋。
忙しい街の中で、もう一度片方の赤い手袋に会いたい一心で街をさ迷いますが、疲れ果てて公園のベンチにうなだれてしまいました。
なんとかそれでも立ち上がった手袋は、
ベンチの釘に引っ掛かっていることに気付かずに雪の公園を進みます。
すると真っ白い地面に今までの片方の赤い手袋との思い出が描かれていきます。
ああ、もし、もう二度と手袋に出会えなくても、
こうして思い出の中で会えるんだ。
そう思った赤い手袋だった毛糸の塊は、
一人の女の子の手の中に拾われたのでした。

まさか手袋は再会できないとは!!
と読み終わってから一同驚き、声を上げた絵本。

新しい絵本で、
最近のこういうちょっと不思議な目線の絵本もいいなぁと思いました。
この絵本が一番気に入ったというひともいたくらい。

私も自分の部屋の絵本だけじゃなく、
図書館でも探して見よう!
と思わせてくれた一冊。

最後は、文芸会で一緒の方。
今回は偶然に寄られて、こういうイベントやってますよ~と紹介されて急遽参加されることに。
急遽なのにどうして絵本持ってたんでしょう!?
今度聞いてみたいと思います。

そんな絵本はこちら。

ナチスが侵攻してくるなか、デンマークの国王とその国民の信頼と、
ひとを信じることでできる血を出来るだけ流さない方法の抵抗のお話。

今どういう関係を結んでいるのかはよく知らないのですが、
デンマークの王さまと国民の関係性を調べてみたくなりました。
王様が毎朝馬で国を見回るってすごい。
おつきがいないというのも。
そして国王にとって、どんな人種であるのかは問題ではなく、
そのひとがデンマーク国民であることが大切というのが、
まるでおとぎ話の王様みたいに思えてしまいました。
今もそんな御伽噺のような王様であってほしい。

図書館で借りて、
子供にも読み聞かせしたいなぁと思った一冊でした。

本当はここで読み聞かせパートは終わりで、
みんなで感想を言いあう時間になるのですが、
今回は詩を読んでくれた方が、
「これも読んでおこうかな」
と読み始めてくれた『手ぶくろを買いに』を読んでくれました。

雪が降ってきた寒い山の中。
子ぎつねのかわいいお手々が真っ赤にならないように、
ひとの町で手ぶくろを買おうと決心するお母さん狐。
だけれど昔ひとに追いかけられた記憶が町に入ることを拒んでしまいます。
しかたなく坊やひとりでいかせることに。
片手をひとの手にし、
銀貨を握らせて、
ぼうしの看板が目印だよ、戸を叩いて、開いたらひとの手の方を差し出すんだよ、と繰り返し、子ぎつねを送り出します。
はじめてのひとの町を歩き回り、やっと目的のお店に辿りついた子ぎつねは、緊張から間違ってきつねの方の手を出してしまいます。
しかしお金が本物であることを確認した店主は、
きちんと子ぎつねにぴったりの手ぶくろをくれたのでした。
うれしくて帰り道を歩く子ぎつねの耳に、
ひとの母親と子供の会話が聞こえてきます。
はやく自分もお母さんに会いたくなる子ぎつね。
心配でいったり来たりしていた母きつねの元に無事帰って来た坊やは、
失敗やひとの町の様子を話てきかせます。
それを聞いて、母きつねはほんのりと
「ひとは本当にいいものかしら」
と考えるのでした。

最後の母きつねのつぶやきが、
私はいつもふつりと胸に重たく落ちます。
どうか彼女の細く結ばれた信頼の道すじが切られませんように。
ひとをあたたかなものだといってくれた子ぎつねの、
その瞳を冷たくしませんように。

この絵本を聞きながら、
ああ、絵本のなかのお母さんは、
なんて理想のお母さんなんだろう、と思いました。
こんなお母さんがよかった、とか、こんな母親になりたいとか、
そういうことではなくて、
こんな愛情をもらいたかった、の最高級のような、
本当に混じりけの無い、かみさまのものよりもあたたかな愛なんじゃないかと。
それを私は実際の母親ではなく、絵本から学んだんじゃないかなぁと。
ここを目指したわけではないけれど、
こんな風に、この方向へ、この温かさに近いところへ、
愛せるように。

昔話のマイルド化問題や、
小学校の教科書の『ごんぎつね』の挿絵が変わることなど、
今回は参加人数が多かったことで、
話題も絵本の幅も膨らんで、
一味ちがう楽しさを感じた回になりました。

加古川市の土山駅そばの絵本カフェくうねるんで毎月最初の土曜日の昼一時に『絵本の読み語り合い会』をしていますので、
お近くの方で
「絵本すきだな」とか「誰かに読んでもらう絵本をまた味わいたいな」
(読みはしないけれど聞いてくれていた方たちからは、
「なんかすごく癒されました」と好評でした!)
という方、よければ参加してみてくださいね~。

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