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「Book Cafe されど、、、」のブックトーク

みなさん、こんにちは。
とし総子です。

世間は三連休最終日ですね。
私は今ちょっと自虐的に言って毎日が日曜日ですので、あまり関係がないのですが、この土曜日はちょっと特別な予定がある休日でした。

私が住んでいる地域から少し離れた神吉町という場所にある、ブックカフェがあります。その名も「されど、、、」。

店名の由来は、小説家・柴田翔著の「されどわれらが日々」。自分と同じ名前である登場人物「節子」の生きざまに感銘を受け、今でも年数回は読み返すほど思い入れが強いという。

加古川経済新聞 「されど、、、」10周年の記事より

もともとは、加古川の駅の側と姫路にもあったブックカフェなのですが、
いろいろあって、今は店主のご両親のお家を利用して営業されています。

店主の女性がとっっってもアクティブで、勉強家で、まさに一生学びを体現されているような素敵な人です。

今は大学にも通われているので、お店が開いているのは主に土日や祝日になります。(コロナの影響などで、閉まってしまうこともあるので、行ってみよう!という方はインスタを確認してからがおすすめです。)

このお店を知ったきっかけは、母からのおすすめでした。
母は私と違って外の方が読書が進む人で、新しい喫茶店を見つけると入ってしまうひとです。
ブックカフェなんてこじゃれた場所は、過去に一回snsで知り合った本好きな人と待ち合わせした時に一回行ったきりです。
そんな私ですが、三月の解雇以降、外に出ることがめっきり少なくなっていて、それでいいとも思うのですが、時々とても誰かに会いに行きたくなったりもします。
この「されど、、、」に行こうと思ったのも、そんな時でした。
母の都合がちょうど空いていたのもあって、最初はふらりとお茶をしに出掛けました。
「されど、、、」の外観は、本当に普通の民家です。
玄関前に木の看板がありますが、それも近づかないと分かりません。
玄関のチャイムには小さな張り紙があり、「どうぞお入りください」とあります。
ちょっと重たいドアを押し開けると、ドアベルが涼やかに鳴り、奥のドアが開いて店主さんが顔をみせてくれます。

靴を脱いで、スリッパをはいて中に入ると、二部屋を一つにまとめたような一室に、窓意外の場所には全て本棚が作りつけられています。
不思議な並びで、作家さんでまとまっているようで、ジャンルでも分かれてて、店主さんのおすすめのものが詰め込まれていたり、知り合いの作家さんの本が並んでいたり。
とにかく注文も忘れてあっちこっちを見て回っているだけでも時間が過ぎてしまいそうなほどの本の量なのです。
しかもこの本たちは、買うこともできますが、借りることもできるのです。それもいつまでという期限なく。(いや、もしかしたらあるのかも知れないのですが、私が借りたときは聞きませんでした、、、)

もちろんコーヒーもとてもやさしい味で美味しかったです。
喫茶メニューとは別に、手作りのおはぎ、パン、クッキーなども販売していて、それもとても美味しかったです。
母は、この時食べたピザパンが大層気に入ったそうで、行くたびに食べています。

その一回目の来店からしばらくあと、母が個人的に習っているパソコンの先生に、私も少しWordの使い方を教えてもらう機会がありました。
その時に、その先生も「されど、、、」で行われているパソコン、アプリ教室で教えているということを聞きました。
そこからお互いに本が好きだという話で盛り上がり、(先生はヴァイオレットエバーガーデンの原作もアニメも好きだ。でも原作の小説がなかなか売っていなくて不満だ。ということを話しました。あんなにアニメが人気になったのに、大きな書店でしかこのあたりでは買えないのか、、、と私もびっくり)私が書くことを仕事にしたいと思っているという話になり、「それなら、ブックトークに行ってみたらいい」と言われました。
ブックトークには、本が好きな人が集まっているし、講師に作家さんが来られているから、と。
それは面白そうだ、と私は急いでインスタなどで次のブックトークのことを調べました。
ブックトークは月に一回。
コロナのために少し休んでいたりもしたそうですが、タイミングよく、少し先で開催されることが書かれていました。

その日は母は出かける用事があったので、じろうさん(夫)に送ってもらって、1人で参加しました。
参加は予約などは必要なく、大体10人くらいでやっていると書かれていました。参加費代わりに、お茶を一杯注文すること。決まりはそれくらいでした。
ブックトークというからには、本の話をするのだろうとは思っていたのですが、なにせこういう会に参加すること自体が初めてで、ドアを開けるのに心臓が早鐘を打っていました。
いざ、開催される13時半までもう少しある時間についたのですが、店内にはすでに数人の先客の方々が。
店主さんに「ブックトークに参加したいのですが、、、」というと、ぱっと顔を明るくされて、他のメンバーさんに紹介してくれました。
大きな、卓球台(ある時には、この卓球台で卓球をすることもあるんだとか)とテーブルをくっつけた大きなテーブルに、プリントアウトされた紙が数枚まとめられて椅子の上に置かれていました。
その一つに腰を下ろすと、「誰から聞いたの?」「どんな本を読むの?」と話しかけてもらいました。
一番奥に座っていらっしゃった男性の方が講師をされている作家の諸井学先生でした。

このブックトークは13時半から15時半までの予定ではじめられます。
前半は諸井先生が一作を深く掘り下げて、その本の作者が生きた時代、影響を受けたものなども紹介しつつ、本文を読み上げてそこから読み取れるものを話してもらう、という時間です。
諸井先生がご自身で持ってこられた書籍を実際にみなさんにまわしつつ、周りの人たちから質問やそれぞれの解釈なども飛び出しつつの、一時間です。後半は、メンバーの人たちが最近読んだ本を紹介していく時間になります。
「としさんは初参加だから聞いてるだけでいいよ」と言われていたはずなのに、いつの間にか私も発表することに、、、
ちょうど読み終えたところだった山崎ナオコーラさんと白岩玄さんの共作エッセイ『ミルクとコロナ』を紹介しました。

久々に大勢(といっても10人弱の人数なんですが)の前で自分の考えを話すということに緊張して、ちょっと手が震えてしまいました。

本だけではなく、原作のある映画やドラマなどの話から俳優さんの話にも広がり、本当にあっという間の二時間でした。

メンバーの方は、みんな読む本のジャンルが違っていて、その点でも読んだ本の話は面白かったです。

これが、1回目のブックトークに参加した時の話です。

ここからが2回目のブックトークの参加を果たしたのが、土曜日のことです。

この日は母の予定が空いていたので、いっしょにブックトークに参加しよう!ということになっていたのですが、いつものごとく母の支度が長引き(というよりも、支度を始める時間がそもそも遅すぎる、、、)13時に出発、と言っていたのが13時15分に出発になってしまいました。
2回目にして遅刻でした、、、。

今回は前よりも人数が少なく、おかげでまだ始まっていなかったようで助かりました。
誰か来るかもしれないから、ということで、今回は諸井先生のお話の前にみんなの読んできた本を話すことに。
母の番になり、母は待ってました!とばかりに椅子に座り直し、話し始めました。
母は、最近読んだ「カササギ殺人事件上下」の話から、「黄色い部屋の秘密」の新訳が読みやすかったことにつなげ、

そこで終わるかと思ったら、「でも、、、」とさらに熱を込めて
「宮部みゆきさんの本が一番面白いんです!」と宮部みゆき作品の怒涛の紹介をしていきました。
来られていた方たちは、宮部さんの小説は「理由」「火車」「模倣犯」で挫折したという人が多く、それに対して母は、「私もその作品は無理でした。読んだし、持っているけれど、もう読み返すことは無いと思う」といい、
「読むならおすすめは“淋しい狩人”“桜ほうさら”“孤宿の人”です!!」とあらすじとポイントを熱弁。
「これは宮部さんにも伝えたいな、、、」と言われるくらいの熱量でした。

母のターンがかなり長かったため、私はできるだけ手短に最近読んだ原田マハさんの『サロメ』を話しました。
畏怖の念を抱くくらいの才能を持った弟である画家のビアズリー、その弟の才能を誰よりも身近に知っていた姉のメイベルの目線から、嫉妬や慈愛の感情、そして自分も必ずという野望を胸に秘めた彼女の導き出す最後の場面は、読み終えてからしばらく本を開いたまま呆然としてしまいました。
最後の現代パートで、「幻のサロメ」を手に持って呆然とするのにシンクロするように読み終えた、不思議な体験の読書でした。


このブックトークの帰り道、母も大変楽しかったらしく、来月のブックトークにもいっしょに行こうと言い、講師の先生もやさしそうだったとか、他の参加者の人も温かく迎え入れてくれてよかったとか、いつまでも話は尽きませんでした。

そして母はやっぱりその日もピザトーストを買って帰ったのでした笑

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