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細いものがかかわる詩 

降りそそぐ


そっと降ってくる
向こう側はやさしく
白いものが目隠すように
淡いのに
ここにいなさいと
払いきれない分量で
包み込まれる
どこにいくのもいい
誰もかまったりしない
けれど 今は
ここにいなくてはいけない
しずかに しずかに
肩を
胸を
くびを
髪を
なだめられる
ここにいなさい
いつかはでていくものだから
いつまでもはいられないものだから
別れを惜しまなくていい
ここで 小さくまるまりなさい
この今にだけは

とどく線

好きになる瞬間はどこだったのか
細い線に区切られた
今は 遠い
この真ん中の画をのぞく
それは はじまりに違いなく
その目がとどめたのは
私の生き方 全方位で
どこまでも どこからでも
私の心は辿りついて
結局は このさいしょの画に
まいもどって 向かい合うことになる
目の端に 触れたとき
もうこの芽は 土を押しあげようとした
それすらも 辿る ひとつるであると
私は思う
好きが茂って揺れる
この草原に雨はやさしく乞われ
細い線を描いていく

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