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「正しい顔」から「波」までの解説のような

詩の解説のような、のが続きます笑
どこまで読んでもらえるだろう、と思いながら。

それでは、はじめます。

静かに積まれていく薬
私を正常と言いますか

恙なく深く宿りとぐろゆるりと闇
私をあたたかく抱いてくれますか

拙く繋いできた三つ編みがどぼりと
濡れのは誰の所為でもなかったのに

あなた
まるで正しい顔をするのね

「正しい顔」

「らしい」という題で宿題としてだされたもの。
私を正そうとするものと対峙してきた、し、
これからもそうする、という詩です。

凪いでいく手を取って
濡れた暗闇の上辺をこえて
もつれた赤と金をあやして頂戴

あなたのくすぐりやすい耳に
わたしは小指を添わすでしょう
こぼれて声に色を注ぐのはどちらの目

青い 青い 塩味の風
静かすぎてやわらかい
灯火もかすか とぎすまされる

ペンを落とさないで
香りを踏まないで
こびりついた足先の向こうにわたしを置いて

「凪いだ手」

海のそばにあなたを置いて、
崩れるような思い出を創作したい。
思うよりもずっと永遠に居たい。
そういう詩です。

この胸に風は乾くことはなく
揺れる線はひとりを許さず
とろけていく夕陽にさよならは鳴らない
明日の頃に会いに来て
弔いの列が過ぎた後
私の後ろへ付いてきて
明日の向こうを吊り下げて

「向こうの明日」

どこにもいかないでほしい。
正しい葬列に並ばずに、
私の明日へと付いてきてほしい。
そんな詩です。

永遠は長引かない
小さな影の中で
同じ歌を覚えた
近しい鼓動を打って
そばにいた梢の先は
うつくしい透明を降らせ
ふたつに成りきらないふたりは
潔い足組で
そのときが呼べば
すっくと立つ

『永遠は長引かない」

魂の繋がったひとと、
立ち上がるその時の詩です。

素顔を外して
麺すする

白粉 口紅 頬紅 目の周り
それらを塗りたくるより肌の淡い

素顔を外して
眼鏡を掛け直す

すぐには裏切らなさそうで
黙りんぼで素っ頓狂のもやし味

私を誰が口に入れてる
私が私を味わっている

「素顔」

生活の中で、
私は外面を上手に作れない。
それでもなんとかやり過ごす。
素の顔は見せられないものかもしれないけれど、
それも誰かの口に入るナニカになるのかもしれない。

死ぬときには
慌てたり騒いだりせず
静かにしてね

そして端から端まで
観察して
死ということを魂の尾の端っこに書きつけて

死ぬまで書くは
ペンをとらずとも
叶うでしょう?

「死ぬそのときに」

死にながら、書きたいな、という願い。

手短な挨拶を
繰り返して その瞳をあれやこれやを
受け止めていくことになるなんて
ほとんど変化も見当たらないまま

大航海だったはずなのに
まるで小山にビスケットを持っていく
ピクニックに様変わりだ

劇場は栄えて
萎びて 枯れ果てるものね
人の営みだって 大した変わり様じゃないのかも

誰ということはないけれど
身軽のあなたはいつも欠けてマントに隠れる
手短過ぎて私は今一体何ピースのパズルを解いているの

それでも 人波 荒れるなか
その手があがれば

「手をあげれば」

世界は思いもよらない動きをするから。
だけどそこに誰かがいたら。
あなたがいたら。
そんな詩です。

あなたには
うつくしいものを見てほしい
うつくしいものというのは
醜さも 汚さも
うつりこみ 染み入り
根を張っているものだから
それもすべからく
あなたには
観ることを決意してほしい

「うつくしい決意」

全てをみるのは怖いことです。
だから、覚悟を決めて、
自身の美しさをつくっていって、という詩です。

子守歌が吹き溜まる淵
いくつもの母の舌が打つ
女たちの声を潜ませて
響いていく
やさしい
腹立たしい
苛立たしい
血を分けたり分けられなかったりした
長く尾を引くおもいもの
欠片のかち合うところなの
ぶつけあい
抱き込み合い
正しあい
切り刻みあう
うつくしい語りよ
手にあついあつい日々は遠くへ去っていくも
はじめてうまれた愛をまとめられる
歌の凝る場所があるの

「うたかたる」

母の歌う歌。
父の歌う歌。
子供を想い歌う歌。
それは明るい言葉ばかりではないかもしれないけれど、
その流れの注がれる場所には、
何か戸惑いの果ての、真実に愛する愛があるのかもしれないと、
信じたい詩です。

波が打たれたあと
残ることばは黒かろか
生々しい血滑りは
そそがれていったとしても
中が懐かしいと哭くことで
噴くあたらしい星屑の先鋭
波が往ったら
返ってくるよ
たくさんの実を含めて
やってくるのよ
そして波のあとには

「波」

亡くしたひとの、
星を放つ光。
海に落ちていく、
空に落ちていく。
その波の打ち返す足先への希望を込めて書いた詩です。


以上、詩の解説のようなものでした。

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