見出し画像

きいろいタマゴの印象_「書こうとしない「かく」教室」を読んで

全部は読んでいないのですが、
どうにも
どうにも
めっちゃ好きだな、とため息をついてしまうような
ものすごく好きな作家さんというのが居まして。
そのおひとりが、私にとってはいしいしんじさんです。
もう、大好き。

友人が「ぶらんこ乗り」を読んで、
同じころ私も文庫になっていたその文庫の背を本屋さんで撫でていて、
電話口で
「最近すごい作家さんを知ったよ!」
と話し合ったのでした。
私はその時点で読んでいなかったのに、
この作家さんは間違いなく好きだと感じていましたので、
まるで全作読んだよ!という感じの熱量で話しました笑

私が読了しているいしいさんの本は少ないです。
「雪屋のロッソさん」

(今は文庫版が出てますが、私が買ったのがこの形の本でした。
雰囲気がすごくやさしい)


「ある一日」

(こちらも文庫出てますが、この単行本の分量がいい感じで好きです)


「白の鳥と黒の鳥」

(切り絵のような表紙がきれいな一冊)

そして、今回読み終えました
『書こうとしない「かく」教室』です。

私、全然いしいさんの代表作と言われるものを読んでいない、、、
でも好きなんです。


今日、というかついさっき読み終えたのですが、
これを読んで、私はいしいさんの書くものが好きなのはもちろんなのですが、それを生み出すいしいさんご本人もものすごく好きなのだと分かりました。

この本は、
いしいさんの「かく」ことへの向き合い方、
いしいさんの生活がどれくらい「かく」ことと密接に連なっているのかが、
丁寧に、でもいい感じに力を抜いた語りで書かれています。

読んでいる間、
ふんわりとあたたかな黄色いタマゴの中でゆれているような気持ちでした。

ああ、このひとはずっと書いてくれる。
生活が書くことに引っ張られ、
書くことはいしいさんの「かく」をつよい信頼で守っている。
すごくふたりはいい関係を築いているのだと思います。
素敵だ。

そして流れるようにその土地を受け入れて、
土地に歓迎されるいしいさんが好き。
その生き方をわたしもしたい。

自分の生き方の理想形がこれだ、と思う一冊。
「かく」ことの理想形でもあるのかも。
読み終わっても寂しくない本でした。

この本、
1994年~2021年くらいのことを、
作品をあげつつ、
その頃どんなふうに、どこで生きていたのか、誰と関わって、
書く時間に彼がどこに揺れられていたのかが書かれているのですが、
「ある一日」という本を読んで、
ずっと不思議に思っていた感覚がすっと解きほぐされました。
あの本を「出産のはなし」と思うと、
なんだか変な話だな、、、と考えていたのですが、
なるほど「出ていくことと、やってくる話」だったのだと読んで、
ものすごく納得でした。


いしいさんは、今も京都にお住まいなんだろうか。
だとしたら京都に行くたびに会えるんじゃないかとどきどきする楽しみが増えるな、なんてことも思いました。
ミーハーです笑

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?