![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72820969/rectangle_large_type_2_8316005a59398c8a8cf2c5b03e6644d4.png?width=800)
Photo by
rairakitta
あなたについて考えた詩
海の先
海に着く
その先に
似た姿の
あなたが
笑った
たったひとつ
おちたくらい
なみだで倒れて
流れていった
あれは鈴のように
鳴いた
立ち揺らぐ
その姿が
うつくしく
うつろに極彩色で
目の奥が
暗く ゆるむ
あなたが 吹きつけ
やがて立った波に
白く割れる
私の時間を
貝がらにして
砂に濾して
遠く
遠い
唄にまざっていく
海に着いた
その先に
遠ざかる今を
やっと越える
その間に吹く風
あなたが苦しいとき
あなたをおもうだれかが
ちがうくるしみを抱える
愛が何もかもは救えなくても
何かひとつを必ず救えるものなら
良かったのに
あなたにしかたどれない苦しみを
他の誰も追いつけないから
わたしたちは とてもくるしい
奇跡が追い付いても
希望が縋り付いても
止められない場所に
あなたは いく
それがとてもくるしい
あなたは しっている
だから
いわない
そんなあなたを 遠く遠くても
見ているから
わたしたちも くちを噤む
ただ 風が吹いている
おいたひかり
どんなときでも
これはお守り
あなたのわらった
くちもとはおぼえてる
そのまわりの
やわらかで すこし はしゃいだ空気も
それがとても はじけ飛ぶ瞬間の しゃぼんの色だったことも
あなたは 目を伏せる
いつも静かに
手をふってくれても
手をかしてくれても
その目は静かに伏せられる
どこまで深く覚めていっても
あなたは彩ったくちもとをのこす
にごった光はすくって とどめて
手の届かないところに しまわれて
あの 新しいものが生まれる直前の光を
くれようと てっしていた
日々が
わたしにくい込んで 今も
ここには
あの くちもとがのこる
あなたはいつも
静かに 伏せて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?