![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45485268/rectangle_large_type_2_5905e0f4c03222660426aaa9bab74f48.jpg?width=800)
Photo by
wonwonju9
夏に海の前に座り込んで書いた詩
海に立ち
あおく みどりの海原に
島のような船
影のような島
砕かれた石が光を返す
波音になぶられていると
ふと 自分自身が海に沈んでいるような
錯覚をかぶる
たましいが削られ
ゆたかになっていく
その最中に 遠く
潮の香りがふくらんだ
海に撫でられる
海を前にしていると
私は無数の点のうちの
いち
だと思えなくなる
世界は点描ではなく
あくまで混ざり合うものだと
どこまでが私の手で
どこかがこの岩の温もりか
あの青と
あの青の
別れるところはあるのか
船に海は抱かれ
海鳥はあやされる
撫でられる岩の上に生きる緑は
水面を通る光にとける酸素に
生かされる
風の音と波の音が重なり
その上に工場の機械音が並び
そこにそっと
私の黒いワンピースのひるがえる音が
忍び足でくすぐる
水
止まらない水の
直中に居る
解けていき
そして
整いながら
流されていく
そして
私の身を打つこの音は
つま先を押し付けてくる
いつのまにか少し窪んだ
この水はそれを埋めるために
止まらない
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?