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世界で一番黒い絵_「岸部露伴 ルーヴルへ行く」を観て来た

ジョジョはほぼ見たことがなく、
でも、ディオというひとに興味はある。
漫画は巻数的に大変そうだから、
アニメで、、、と思ったけれど、テンションに負けて挫折してしまった。
(それも何故かネトフリの女の子が主人公のやつから観始めてしまったのだけど、それがよくなかったのか、、、)

そんな私が唯一全部見られたのが、
アマプラで見たドラマ版の『岸部露伴は動かない』でした。

原作の岸部露伴という人は全く知らないのですが、
この高橋一生さんの様子は、
本物というのか、
息の吸い方までもが忠実なように感じます。

今日観て来た映画は、
その映画版です。


この世の中で、もっとも黒い絵は、ルーヴルにある。

岸部露伴の過去と、
黒い絵を繋ぐのは、
うつくしく、妖しい、黒髪の女性だった。

次作での取材のため、岸部露伴は、絵のオークションに参加する。
そこで競り落とした絵は、「黒一色の絵」だった。

しかし露伴はあまり満足した様子はなく、、、
そんなとき、露伴の家に絵を競り合った男たちが押しかけてくる。
ひとりを「ヘブンズ・ドア」で眠らせているうちに、
もう一人が絵を持って行ってしまう。

しかし、
そのもう一人は姿を消し、
絵は山の中に放り出されているところを露伴によって取り戻される。

絵は、裏側が破かれており、
そこには絵の制作者による言葉が残されていた。

それによると、この絵は、ルーヴルにある絵を模写したものだという。

そこで岸部露伴は、担当編集の泉を伴いルーヴルへと向かうのだった。


パリの街並み、ルーヴル美術館そのものが、
大画面で観られて、その場面は鳥肌がたちました。

岸部露伴というひとは、
冷たそうで、自己中心的にみせて、
良識というのか、
ひとへの敬意というものは確固として持っているひとなのが、
言動と相まって、
どこか可愛らしく感じてしまう。

何よりも黒い絵。
光をけして返さない黒。
その色をもつ鳥というのが出てきましたが、
画面上でみても驚くくらい黒かったです。
直に見てみたい。
一体どう見えるのか。

この世でもっとも黒い絵。
というのだけでも面白そうなのに、
それがルーヴルにある。
それも、職員さえも把握できていないのに、
確かにある。
なんて面白い。

本物と贋作。
過去と現在。
光と黒。
ひとの中を流れる、逃れることが出来ないもの。
そういったものが一気に表出していく後半、
岸部露伴というひとを形作ったものの一片にも触れられた気がしました。

繊細で、
豪胆で、
ひとというものの生々しさに興味を抑えられない。
描くことへの衝動がどうしようもない熱意に支えられている。
いいなぁ、このひと、と観ながら何度も思いました。

ちょっと不思議で、
ちょっと気味悪くて、
かっこよくて、
かわいくて、
じわじわと心を占めていく物語。
ドラマの、そしてこの人物たちのそういう魅力が、
丁寧に抽出されたコーヒーみたいな味わいで楽しめる映画でした。

家に帰って、
もう少しこの世界に浸りたくて、
アマプラでドラマを見返してしまいました。

映画関係ありませんが、
露伴先生の仕事部屋と、あのペンの走る音が最高にいいです。




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