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「生まれたあなた」の解説のような

私にとっての「あなた」は特別が過ぎるひとです。

それが私にとっては全くなんの問題もないことですが、
自作の詩を読んだりする時には
「これは今のお相手のことですか」
とか
「恋の詩ですね」
なんて言われることが多く、
その度に「ちがいます」と説明をしてきたのですが、
大体の方が少し困ったような顔をしました。

そんなに大切なひとがいるものだろうか、
というような。
思い出がそんなふうにしてしまっているのだろう、
とか。

まあ、そうかもしれません。
と、私も思います。

私の「あなた」にも嫌なところはあったでしょう。
「あなた」を知る、数少ない友人と話をすると
「あなたは本当にあのひとを良いように見ている」
と言われたりもします。
(事実、「あなた」が相当に頑固で、ちっとも言うことを聞かないひとだったことなんて知っていますし、口調の柔らかさに反して内容が容赦のないことだった、なんてことも知っています。その場で、「わぁ、、」と思っていたことだってあったんです。)
だとしても。
なんのそのに、私の「あなた」はとても素敵なひとなんです。

そしてそれが私に言葉を連ねさせてくれるし、
それをきっと「あなた」は頷いて笑ってくれるようなひとなんです。


あなたはとても うつくしく
私の目を焼いたので
この世界は平等に灰白色に
成りましたこと
お礼を言いたいと思います

私に触れて雷を受けたと
あなたは語りましたが
それはあなたが撃ったもの
同時に私も射貫かれていました
上手に鳴けない鳥のように騒いだ胸でした

摩っても 擦っても
削いでも 穿っても
けして染みはとれません
だからどうか 信じて下さい
うつくしいあなたに広がるその異様が
あなたの核なのです

あなたはうつくしいものでした
そして今ついに
あなたを生み出したのです

「生まれたあなた」


自分で書いた詩を嫌いだというひとはいるでしょうか。

外聞的にそう言葉にしなくてはならないときもあるのかもしれませんが、
良い詩なのかどうかはさておいて、
私は私の書く詩がすきです。

この「あなた」の新たな誕生を描くような詩も、
だから私は好きです。

そんなふうに思える詩を書けて良かったなと思うのです。

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