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「瞠目」の解説のような

変えられるのは過去だけ、
ということを聞いたことがあります。

過去は自分の考え方、
捉え方で見え方や映り方が全く変わってしまう。

過去だけが、自分で変えられる、と。

だけど、
事実として積み上げられたものは、
その上に積み重なり今に至っているので、
どうしたって、どうみたって、
覆らないものはあります。

この詩は、そういうことが書きたくて書いた詩です。


【全ては影響のもとでのこと
 私の体が動くのも

 明るくある夜
 求めたものが
 明日にあるとは
 限らない】


形が固まって、そこにあるものから寄せられた波が、
今、私が動くことに繋がっています。

私の中でのこのどうしようもない事実は、
失われた“あなた”です。
あなたがいない、ことから押し寄せる感情で私の今は動いています。
あなたがいないので、
その時間から離れていく、
余波が弱くなっていく、
そのために明日が来ることが喜び一色では迎えられないものになりました。


 遠い過去と はるかな未来は
 どちらがよりちかしいものか

 体はよく分かっているから
 大きな波が膝を砕くとき
 それほど躊躇いはしない

 ただみひらく目
 ひろがるものが埋めつくす
 絶望でさえ もう 絶対にはなれない

 小さなわたしの目は
 震えるしかなかった】


“あなた”が失われたことが、
絶望の全てだったことがありました。

押し寄せる波の力に負けて膝を折り、
そのまま沈んでしまおうかと思うこともよくあります。

それでも“あなた”のことを思い出すと、
それもできないな、と。
ただただ広がる、どこまでも誰かの海と重なり合った眼前の波に、
私は今、絶望だけを感じることができなくなってしまいました。

そんな私は、
変容してしまう過去を、
明るくなる朝を、ただ見つめて受け入れることしかできないために、
涙が落ちる、という

、、、感じの詩です。

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