![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72819211/rectangle_large_type_2_3208f4c196572ce696a8221d88379f75.png?width=800)
Photo by
writing_stock
あなたのことを考えて書いた詩
見送らない
わたしが あなたを 好きなのは
わたしと ともに 遠退いてくれるから
どこまでも
どこへいっても
だれより 遠くへ
ともに 背を送る
貝がら
あなたが鳴った
だれが そのゆびに触れたの
あなたにとどいた灯が
ゆらゆらゆれて
どこからも やさしく
かげがやって来る
瞳のなかで
残骸がきらめいて
おわりのない憧れ
かなしみや さみしさをはためかせて
立ち続ける
背中がわたしに焼きついた
鳴りおわった音は ひろった手の中で
ちいさく乾いて 貝がらになった
似ていくために
誰の真似もしないまま 生きてはいけない
わたしの中には あなたを真似た私がいて
君の真似をした 私がいて
きっとかさなって生きてきた間に
いいな、すてきだな、すきだな、きらいだな
ふかいだ、ふゆかいだ、にくにくしい
いらだってしまう 誰かの行動が
うごきが 詰まっている
それを選んだのが 私のわたしであること
あなたのなかの一点 真似た
その一点が私の生き方の方向だ
あなたがいて だから私はよりわたしになった
私の好きなわたしになれた
あなたの中でも きっとわたしはいて
あなたの真似をした私を
あなたは感じてくれる
それをどう伸ばして 何に結ぶのか
それがあなたなんだ
わたしはいて あなたもいた
その事実すべてが 証明で
それは ここに生きてるだけで叶っていた
きっと ふたりは 似た顔をして笑っただろう
在ることの影
わたしは あなたの
味方にも 敵にもなれない
わたしは あなたの
重荷にも 古傷にもなれない
わたしは
あなたを さいごに抱く土にも 水にも
たどりつけない
あなたをつつむ
春にも 雨にも
なりはてない
わたしがつむぐのは その足跡
その沈んだ淵に差す影
あなたの 世界にあたえた影響
そのたった一瞬に
わたしは居た
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?