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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年8月の記事一覧

「あの夜の夢には」(詩)

ねえ 君 泪が枯れた その目には あの日の月を飲み込んで あれほど見事な月ならば こらえる…

とし総子
9か月前
7

「一滴」(詩)

誰も名を呼ばない そのひとの涙を いま あなたは飲んだのかもしれない 大河をいき 勇敢な鎖…

とし総子
9か月前
12

「夕日」(詩)

夕日を背に 流れたい 名前の無い川と成り 内に生命を犇めかせ 赤く 赤い 涙のように進んで行…

とし総子
10か月前
9

「きれいな月」(詩)

月がきれいだな あしたがゆっくりやってくる 夜もゆったり進んで行く ああ あなたはやさしい …

とし総子
10か月前
6

「願いは」(詩)

生きていたいと いつか あの日の私に 生きていてと 言い下せるように いまはまだ この切実な心…

とし総子
10か月前
9

「静かに降る」(詩)

静かに 降りしきる雨に 耳は傾く しずかだ しずかだね 唇は耳に話しかけ そっと同意をもら…

とし総子
10か月前
7

「腕」(詩)

あなたは知っている その手は死体だって それを腕に絡め 私は笑っているって かなしくて笑ってしまう 冷たくて 固いと 希望を搔き集めてしまう 感触が消え去るまで 思い出のぬくもりが溶けるまで 私は死体に甘える あなたは目を伏せず いつまでも私の死を 喉の奥で押しとどめている

「夜はうずまき」(詩)

ぐるぐると いくつもの夜がぶつかり合って 切実な音が火花となって散っていく 折り合った重さ…

とし総子
10か月前
7

「もとめたい」(詩)

あなたに全てを求めたい その手を片時も失わずに生きたい くもった瞳を涙で洗い あなたに差す…

とし総子
10か月前
6

「しあわせなわがまま」(詩)

なにを読んでも しあわせよ なにを書いても しあわせよ やだ それは嘘 書きたいことを書い…

とし総子
10か月前
6

「あたりをすぎて」(詩)

ゆっくりと夜は降りて ゆっくりと果ては凪いで ゆっくりと道は沈んでいく ここまででいい そ…

とし総子
10か月前
6

「手をはなして」(詩)

もう大丈夫だから 明日へおいき この手を離したら 風の行く方に 隣り合っていくといい それは …

とし総子
10か月前
7

「まぶたの裏の草原」(詩)

まぶたの裏に草原は走り 私の両手がかき分ける 細く長い草たちはやわらかい 色はまだ届かず こ…

とし総子
10か月前
8

「流れ光りて」(詩)

すっくと立つ その背に降った光は誇らしそうに 小さな笑みを転がしてた あなたに成りたかった 風が 今 私を回す 飲み込んできた愛を さらけ出す勇気を 瞳にためて いつか いつか 数える両手を重ねて 流れていく光に あたらしい結び目をつくった