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後輩と会わないまま、私は二回生に上がった。それは大した感慨も湧かなない春の訪れだった。…
家に帰り着いた私は、母に適当なことを言って部屋に引っ込んだ。部屋のドアを開けると、昼間…
向かい合った後輩は、少し赤い顔をしていた。熱でもあるのかと聞くと、急いで来たからだと口…
夏休みに入ってからは、一日の大半をバイトに費やすことも増えた。 その代わりに、後輩と…
児童書の一帯を整えていると、学生の塊が店の前を通っていくのが見えた。 その大きな流れ…
卒業式の日は、小雨の降る寒い日だった。 後輩の顔を式の途中に見つけたが、その目は恐ろ…
「それで」と促されたとき、私は何を聞かれたのか、分からなかった。 目の前の級友の目が笑っていないのを見つめて、その言葉をもう一度噛み締めてみる。それでも頭に答えが浮かばなかった私は、困ったように彼女を見返した。 「後輩ちゃんのこと、どうするのよって話」 業を煮やした級友の言葉に、私は「ああ」と気の抜けた返事を返した。 彼女は卒業式を待たず、日本各地への旅を実行に移すという。それが明日だということを、私は聞いたばかりだった。そこへたった三文字を告げただけで答えを導けとい