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ある日、カード会社から電話がかかってきて - 14歳で反抗期を終えた息子とオカンの物語(15)

あれはいつの話だったか。
確か息子が中学1年生(6年生)の時の冬じゃなかっただろうか。

仕事の休み時間に電話がかかってきて、なんだろうと思って出たらクレジットカード会社からだった。

内容はいきなり300ドル以上も1日で使われているから「本当にあなたが使ったの?」という確認の電話だった。
そのカードは日常では使っていない、旅行とか「何か」の時に使うカードだったのでカード会社も不振に思ってかけてきたのだった。

「どこの会社に使っていますか?」と聞いたら

「ニンテンドーSwitchだ」

と、電話の向こうからオペレーターが言うのが聞こえた。

この瞬間、なんともいえない息子への怒りが湧いた。

家に帰ったあたしは、開口一番、ベッドルームでゲームをしていた息子に向かってこう叫んだのだ。

「アンタ、何勝手に人のクレジットカード使ってゲーム買ってんのよ!?」

と。

❖ ❖ ❖


この後は、まさに修羅場。

息子は「僕は知らない。買ってない」の一点張り(そりゃそうだ)。

あたしはクレジットカード会社から電話もらったこと、直ぐにリファンドしもらうから買ったものが取り消されることなどを伝えた。

それでも息子は「僕は知らない。買ってない。何の話か意味がわからない。お母さんのカードなんて取っていない」の繰り返し。

わたしは怒りが収まらないから「これが証拠だよ! 見なさいよ、ここ。〝ニンテンドーSwitch“って書いてあるでしょうがっ!?」と、カード明細を印刷して、息子の目の前に突きつけた。

息子はそれをわたしの目の前でビリビリと破り捨て(確か3枚ほどあった)「僕は何も知らない!! 部屋から出て行け!!!!」とあたしを追い出して、ベッドルームに籠もった。

鍵がかからないドアを押さえてあたしを入れようとしない息子に対して、あたしは怒りに任せてありったけ思いつく限りの言葉で息子を罵倒して、キッチンへ行ってビールを飲んで自分を落ち着けようとした……けれど、なかなか落ち着かなかった。

こんなに頭にきたことって、いつぶりだろうか?
頭から湯気が出ている感じだ。

確かに息子は3年生の冬におもちゃを盗んだ経験がある。

だけどカードを盗むなんて……

と思っていたら、実はこれだけじゃあ済まなかったのだ。

息子は1枚だけじゃなくて、あたしが持っているカード番号、全部控えていたのだ。

その後、アップルとも戦いがあり、最終的にはカードを全部破棄して、それで彼のゲームを買う行為は止まったのだった。

と言いたいけれど、実は財布から現金を盗み、ニンテンドーやアップルのギフトカードを買ってゲームを買っていた息子。

現金を盗まれるなんて考えたこともないから、家計簿は大雑把につけていたあたし。だから「あれ? なんか20ドル札が1枚足りない……?」という感覚だったけれど明らかに減っていて。

息子のカウンセラーでもあるサイコアナリストのマイク(仮名)に言ったら「それはゆゆしき問題だ。お札1枚1枚に印を付けてみてはどうだろう?」と言われて、そこまでしなきゃいけないの? と思ったことを覚えている。

さらに、盗まれるのがイヤなら、鍵がつく引き出しを買ってそこに入れておくのはどうだろう? とも言われたけれど、その《鍵》をどこに保管しておけばいいんだろう? と思って、やらなかった。

これが始まり。
あたしと息子の「ゲームに関する」イタチごっごは終わらなかった、なかなか。


2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。