子供の頃より聞いている地元に伝わる伝承を町史などから分析して見た

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どうも。今回は子供の頃よりずっと聞いてきたある話があって、それを子供の頃より様々な実際の地域を巡り、伝承の謎に迫った気がしているので、自分なりの解釈、その話はなんなのか、から紐解いていきます。

構成

構成をまず簡単に。まずはその伝承の最も新しい物、そして、伝承にまつわるものを巡って、そこで聞いたもの、見たものから発覚した事実、そして町史などに残る現地の事実を元に実際の話がどのように変化したのかを紐解いていくことを目的とし、最終的に考えられる結論を導いていくものとします。

伝承

ある山にはある地点より山奥に進むと戻ることができないと言われる地域があった。そのため、木を伐採することを生業にする者も多く住んでいたが、その地点より奥には行かなかった。戻れないと言われていたからである。なぜ戻れないのか。人を食うなにかがいたためである。しかし、ある時、このなにかを倒すため、ある猟師が山奥へと向かった。そこで、そのなにかを見つけた猟師は猟銃を用いてそのなにかを打ち取ることができた。その何かは相当大きな体を持ち、人々を食べるために使われたと見られる臼も発見され、その臼が川を流れ猟師の家までたどり着くとなにかが起こると言われており、現在ではその山の入り口、寝床であったと言われる場所には神社や祠が祀られている。また、当時、その山では猫というワードは絶対に口にしてはいけなかった。

現地へ行ってみて、猟師の一族を訪ねて

実際に現地を訪れた際、地元では長らくその臼は失われたとされていた。しかし、横に横転しており、近くまで行かないと判別できないだけであった。確かに、大岩に穴が空いているだけだが、なにか人工的に削ったような印象を受けた。偶然に空いた穴ではないと断言できる滑らかさであった。また、寝床とされる場所は縄文遺跡のように岩屋のような構造で、岩屋が屋根のようになり、雨が避けられる場所には祠があった。もしや縄文人の痕跡が語り継がれているのではないかと考え、現地をある程度掘ってみたが、特に何も出ず、間違いであると考えられる。

そして、末裔と言われている一族を訪ね、この話がこの一族にはどのように伝わっているのか尋ねてみた。すると、なんとこの話はこの一族の話を出版社が脚色したもので、確かにそのような話はあったが、伝わる銃と話の年代が合わないらしい。この話は600年近く前からある話らしく、下手するともっと昔からあるらしく、一方、伝わる銃は300年ほどの歴史しかないらしい。しかし、出版社の方はこの2つを合わせ、フィクションとして伝承を物語に変えたのであった。

資料から見る考察

今度は町内について詳しく書かれた資料などを何年か遡り、調べてみることとした。すると、なんと、臼を祀っていた事実が出てきており、約40年ほど前までわかりやすい位置に鎮座しており、米などを祀っていたという事がわかった。しかし、台風などの影響から岩が横転し、わかりにくくなったために失われた伝統であった。また、この祭りの歴史はそこまで長いものではなく、調査も行われおり、原始的な麦がすり潰された形跡が認められたとあったが、どの時代の調査かまでは書かれていなかった。また、寝床とされる周辺にはいくつか細い川があるが、これも100年程度前までは確認できる程度にせき止めるための遺構が見られたとされており、間違いなく人が住んでいた見られる形跡が見られたという。この遺構は現在では度重なる台風の被害などから確認することはできないが、恐らく、残っていたことを考えると石などを用いたものであったと考えられる。また、該当地域には平家や源氏の伝説も多く残り、この調査では平家の落人の村落であった可能性が言及されていた。

また、当時からこの伝承の他に、かつて、山へと入っていった人の口伝も調査されており、これによると、木の皮を全身に巻きつけた人のようなものを見た、川が木の皮でせき止められていたなどの口伝が伝えられていたと書かれていた。このことから、間違いなく何百年も前からこの山奥には人が住んでいたことが考えられる。

結論

ここまでの事実から、平家の落人であり、木の皮を巻きつけていた意図としては、村落の発見を恐れ、人を払うため、また、動物を狩るためのカモフラージュなどが考えられる。この姿を見た人々の口伝に尾ひれが付いた、または実際に矢などによる被害を受けたなどから、なにかがいるから危険である、いくべきでないという話からこのような話に発展したと考えられる。また、人を食べたという話も作物を潰した臼をみた、もしくは水中の苔が赤く、これらの情報から骨や肉を潰したと考えたと見られる。しかし、猫という話の根拠だけはどの文献からも確認することができなかった。また、現在の口伝にも残っていない。平家と猫の関係を調べることでこの問題は解決するかもしれない。

結果として、事実を突き合わせることで、もしかすると・・・という一応の原典らしきものは見えてきた。このような尾ひれが付きに付いた話は他にもあるかもしれない。しかし、1点だけ未解決な問題が残ったが、これは今後なんらかの形で解決するかも知れない。以上が結論である。

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