オノマトペルの音楽世界が好きだvol.3/仲間たちと作ったTOKYO天の川のこと
vol.2から続く
『何ですかそのキュンなエピソードは・・・!お互いの音楽に惹かれ合うところからはじまったんですね。』
工藤「はい。最初ローラにメールするときは緊張して何日間か送ろうかどうしようか迷いました(笑)」
ローラ「それは初耳でした(笑)、でも初めて聴いたとき、お互いの世界観が合わさったら深みのある曲の世界ができるって確信しました。」
工藤「ほんと、いいのか悪いのか(笑)いわゆる売れやすい、わかりやすい曲じゃない。でも、そういうわかりやすさより世界観を大切にしました。」
ローラ「売れたくないわけじゃないんですけど(笑)ただ、私達の好みがわかりやすさよりも、ある程度より先は聴く人たちの想像力に委ねられる、曖昧さのある方が好みです。
宮沢賢治も、そういう答えがひとつではないところに惹かれました。『とんでもないところで話が終わったけどどうしたらいいんだろう』って子供が困惑する感じがたまりません(笑)。賢治の代表作のひとつ『オツベルと象』の終わり方の意味とか、大人になった今でもわからない(笑)。私の父が岩手県盛岡出身で、叔母は花巻出身で、特に私は父からの影響が強いです。
他に影響を受けた本だと『遠野物語』は難しかったな~。古文みたいな難しい文章で、展開っぽい展開がある話ばかりではありませんでした。民俗学の学術書を読んでいる感じでした。」
『世界観を大切にしていることは曲を聴いていると伝わってきます! わかりやすさよりも、もっと奥深い、大切なことを優先している感じがします。
でも一方で、今回の『TOKYO天の川』は、子どもたちや一般の人のコーラスが印象的でした。プロっぽさのない、いわゆる普通の人の歌い声がワイワイガヤガヤしている感じが聴いていて楽しかった。』
ローラ「私が拠点にしているシェアコミュニティメンバーの『チョイナチョーイナ!』って掛け声がめっちゃ良かった!」
工藤「ほんとにあれ良かった(笑)全員いいって言ってた。」
ローラ「あと、上の階に大好きな家族が住んでいて、ライブもたくさんみてくれているんですが、部屋でレコーディングしている日も歌って欲しいって誘ったら来てくれて。一歳半の湧水くんの歌声も、ママのまいちゃんの声も私の部屋でレコーディングしました。いつもいろんな人の部屋を普通に出入りするから、歌う時も構えずいつもの楽しい感じで、自然な声をたくさん入れてもらえたんですよね。
工藤「またコーラス入る曲やりたい。」
ローラ「最近よく言ってるよね。工藤が作る曲にコーラスを入れる時、コード進行にあうコーラスを作ると、コーラスのプロたちがゲイジュツテキにムツカシイ、って笑うんですよ。私、歌えない。笑うくらいムツカシイ。なのでみんなでワイワイってコーラスを入れる発想をいままでしてこなかったんです(笑)。普段入れないんですけど、今回の曲は、最初からみんなで歌いたいという想いがあった『TOKYO天の川』だからこそ、初めてみんなのコーラスが入り、最高の出来になりました。自然な声って、良く言えば自然な揺らぎが重なったことで、改めて声の要素ってすごいんだねって言うのを何度も話しました。
みんな自由に歌ってくれて、なんかちょっと叫んでいる人もいて、笑っている人もいてっていう爆発力が凄かった。大勢のいろんな声が入ることによって、楽しい場になりました。音程があっているかは重要じゃないどころか、みんなが綺麗にあわないからこそ爆発的によかったことを改めて感じた。」
工藤「うん。大合唱している絵が見えてくる歌声。みんなで笹やお神輿を担いで、天の川を見に行く感じが良く出ていますね。」
ローラ「確かにみんなで笹やお神輿を担いで行く感じは良く表現できたね。今回、願いを掛ける竹やお神輿、竹あかりは同じシェアコミュニティのメンバーの竹あかり集団『CHIKAKEN』の、イケダチカオくんの全面プロデュース。実は楽曲にも参加してくれていて、コーラスの中で『When you wish upon バンブー!!(竹に願いを)』って叫んでもらっています。私の部屋で。」
『あれ、『バンブー!!』って言っているんですね!!
今回『TOKYO天の川』では、ユニット名にもなっているオノマトペ(擬音語)が盛りだくさんでした。日本の方言のようでもあり、外国の呪文のようでもあり、どんな意味を込めたのか聞くのは野暮でしょうか?』
ローラ「聴いてくれて嬉しい!呪文のつもりです。でも、英語圏の人やスペイン語のわかる人には、『カミナカミナ』は『comin’up』、『ラリララリラ』は『Lightit up』、『ドンデエスタコラソン』は『心のあるところ』、
『ジョイナジョイナ』は『join us』に聞こえてくれるんじゃないかな。『エッサホイサ』はヘブライ語で『神のもとにすすめ』って意味らしいんですよ。暗闇の中で心もとない、弱い光の天の川、小さな光の集まりに繋がるイメージで作りました。なるべく安易には詞に入れないようにしたくて、お祭りのかけごえも、意味も調べながら入れていきました。」
『おもしろい!改めて聴いてみると、そんな深い意味があったんですね。
また、今回、灯りの演出とオノマトペルのライブ、会場の一体感がすばらしかったです。また、改めて私達日本人は輪になって踊る盆踊りスタイルが好きなのだな、と感じました。渋谷の最先端の会場で不思議と懐かしさがありましたね。この企画はどうやって生まれたのですか?また、想いやアイデアの源泉など教えてください。』
ローラ「昨年の5月の時点では、タイトルと竹あかり、ミュージシャンしか決まっていなくて、和のテイストにするかなども決めていなかった。みんなの光で天の川も来年の七夕の頃には渋谷の真ん中でライブできますようにって願いを込めて決めていくうちに、だんだん今の形になりました。
結構ミュージシャン仲間の大切な人や、尊敬していた音楽関係者がコロナなどで亡くなったりしたんです。みんなで集まってライブできるのを楽しみに、今年こそは集まろうって楽しみにしていたのに…。そんな仲間たちにも音楽や願いが届くように、みんなで星の世界で集まれるように企画を作りました。」
『ミュージシャン仲間以外にも、ジャンルを超えてアーティスト仲間が集合しましたね。』
ローラ「そうなんです!竹あかりのCHIKAKENはステージ装飾と竹あかりを、こどもDIY部というプロジェクトでこどもたちの自由工作の場を作っている「ティンカリンガタウン」は、こどもたちがマイクラで設計したオリジナル櫓を作ってくれましたし、VJの工藤シンクも映像で魔法をかけてくれた。竹あかりチームも、こどもたちも、芸術家として誘い、コラボしたかったんです。
こどもも大人も、ものづくりやアート作品を『創る」場にしたかった。こども向け、大人むけ、とかいろんな分類で分けないでやってみたい。結果的にワークショップという単語をわかりやすくするために使ったけれど、本当はずっと、ものづくり、作品を創る、という視点で考えていました。イベント当日にはこどもも大人も没頭して自分の灯りを作ってそれぞれに自由に楽しんでくれたし、ちゃんと大人もは飲んだくれてくれていた!(笑)思い描いた空間が広がっていました。」
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