金曜夜10時台の攻防
きのう土曜日の東京は、晴れやかな1日ではあったが、風がとてもとても冷たかった。秋田の長い生活のなかで寒さには慣れたつもりではあったけれど、寒いものは寒い。それこそ、頭の中では、ユーミンの「ブリザード、ブリザード」が流れてしまうほどに。
週末のテレビ鑑賞はとても忙しくなる。予定を消化しきれない中で、NHKドキュメント72時間に思わず目が釘付けになった。
今回の特集は、北九州市・小倉の台所、旦過市場。実は、むかし小倉に住んでいたことがある。北九州ならではの市場が大好きだったし、なにより旦過市場は近所にあったこともあり、懐かしさがこみあげてきた。
番組ではとりたてて何かが起こるわけではない。私は、ただただ、旦過市場でインタビューに応える人々が、いかにも北九州、いかにも小倉らしい人たちばかりで、彼らのたわいもないおしゃべりや、やりとりに、とにかく無性に郷愁とでもいうべき感情がわきおこったのである。
それは、ヤクザとか、複雑な家庭に育ったとか、わかりやすい北九州らしさではない。うまく言葉にしにくいけれど、他人との心のディスタンスがゼロな感じ。他人にどう思われようが、まったく気にしない感じ。そんな街の空気感が見事に切り取られていて、静かに胸を打ったのだった。
ちなみに、一昨年だったか、久しぶりにこの小倉を訪れた際、旦過市場の前にある「丸和前屋台」に入った。すると、屋台のおばちゃんが声をかけてくれた。「兄ちゃん、久しぶり!元気しとった!?」 おそらく5年以上ぶりに訪れたにもかかわらず、名もなき私のことを覚えていてくれたのである。「よくねぎラーメン食べよったもんね」嬉しくて、再びねぎラーメンを頼んだのは言うまでもない。
小倉って、こんな街なのである。いろいろ話が寄り道したけれども、これが「俺の麺の話」。
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