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「体験型コミュニティサロン」ってなあに。なければ創る、暮らしを愉しむということ。ー秋田県秋田市ー

 最近、多くの企業がリモートワークできる環境下になり、比較的自分たちの住処を選択しやすい時代がきているように思う。

 “仕事に合わせた住まい探し”よりも”住みたい場所での仕事の在り方“を見つけられることで、別に都会と言われる場所にいなくても、満員電車に無理して乗らなくても、いい。物理的な人との近距離から離れて、大手を振って歩け、その上気持ち的な人との距離を愉しめる。

 新鮮な地場産物が食卓に並び、家族で囲んで会話を楽しむ。週末にはお金をかけない自然が相手の遊びも工夫次第で何でもできる。何もないと言われがちな田舎こそ、創る楽しみに溢れている気がする。

 移住のブームも相まって、秋田市を住処として選択してくださる方は近年増加傾向にある。それでも、やっぱり、移住にしろ、転勤にしろ、新しい土地でのスタートには色んな準備や心構えが必要で、それに不安を覚える方も少なくないのではないか。だって、観光に行くのと実際に住むのとでは勝手は違うし、誰もが全てがユートピアであるわけではないことは分かっているから。そんなとき、“周りで気軽に相談できる相手がいたら…”そう思うことは当然でてくる。

 実際、Iターン人見知りの筆者だって悩みに悩んで決断した移住という選択の中で、仕事以上に環境に馴染めるか、友達はできるのかということが不安でしょうがなかった。(もちろん、人生一度キリ。楽しみながら生活するという決意は揺らぐものではありませんけれどね!)

 

 こういった思いを抱く方たちのための「交流の場」を、「秋田を体験しながら」楽しめたらという熱い思いで本年度から立ち上がった団体がある。
その名も『あきた全国県人会』。
昭和感漂うネーミングセンス…なるも、地元・移住者といったフィールドを外し、出身県関係なく共に前向きに生活を愉しむ意味から名づけられたそう。

*転勤、移住してきた。気軽に話せる友だちが欲しい…
*同じ出身県の人と知り合えたらやっぱり嬉しい。
*積極的に行動するほうではないけれど、楽しいことは好き。
*折角秋田市に来たから、秋田を思い切り楽しみながら生活したい!
*地元の方たちと交流したい!
*秋田市で、どんなことが体験できるのかしら?

 
 そんな思いに一つでも該当すれば、貴方はもう、ここに参加する他ないでしょう!


 活動について、あきた全国県人会のメンバーの皆さんにインタビューしてきた。


筆者:あきた全国県人会ではどんな活動をされてるんですか?

ミキティ:『体験型のコミュニティサロン』として毎回テーマの異なる“旬な秋田”を秋田市で体験しながら、お友だちも作れる場として始まったイベント「AKITAいいね!しよう」を開催しています。
 そこでは、新たに秋田市の住民となった「新・秋田人」を対象に、秋田舞妓を鑑賞したり、新米おにぎりや日本酒等を楽しみながら秋田の勉強をしつつ、交流を図っています。

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あきた県人会代表の“ミキティ”こと食器の境田さん


筆者:大人たちは仕事をしていれば(リモートワークだと尚更)中々交流する機会もなければ、その土地の事を知れるチャンスも薄いですもんね。一種の「大人の寺小屋」ですね。

ミルコ:秋田市に住むという事を選択してくれた皆さんと、地元の方。それぞれがゆる~くフラットな関係で交流できて、(もしそこで)同県人と出会えたりすれば尚嬉しいんじゃないかって。色々不安が募ると、どうしても物事を悪く評価しがちになる。前向きに生活するきっかけになればいいと思っています。それは長く故郷を離れていたUターンの皆さんにもあてはまることだと思います。

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副代表の“ミルコ”こと合同会社ジェグルス代表工藤さん


筆者:それが地域づくりの一歩になりますね。よく「あの人は、旅から来た人」とか、何年住んでも「東京の人」とか、呼ばれることありますけれど、それは決して仲間として見てないとかそんなんじゃなくて、そう言ったニックネームのような位置づけで、どこの人とか関係なく愉しみたい。そして地元の人以上に秋田のことを好きになって欲しい。

ハリー:僕は秋田市出身ですけど、やっぱり、自分の故郷を大事にしつつ、新たな土地で楽しく生活する一歩を築くきっかけとして欲しいし、尚且つ秋田も好きになって欲しいという気持ちがありますもんね。

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この奥でシャッターを押してくれている。“ハリー”ことマルチデザイナーの播磨谷さん。
写真はコロナ対策を施した交流会の様子


筆者:不安な中で生活していくとそれが徐々にストレスになって、否定的になっていきますもんね。一個嫌なところが見えたら…という減点方式になっちゃう。

ミルコ:加点方式に変えちゃいましょう!それが「AKITAいいね!しよう」のイベントです。秋田に長く住んでいた青森出身の私も知らなかった発見を得られています。

長門さん:秋田を勉強して、秋田市を好きになって新たな転勤先にご栄転されたとしても、またその地で秋田で知り合ってできた友人たちと酒を交わすことが出来たりしたら素敵ですよね。

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秋田でのご縁を大切にされているレジェンド長門さん


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秋田の新米おにぎりとともに、メンバーでもあるタレントの桜庭みさおさんからお米情報を学ぶ


筆者:関係人口にも繋がってくる活動なんですね。メンバーは何人で活動しているんですか。

ミキティ:今は7名で活動しています。Iターンだったり、Uターンだったり、地元の方だったり、ごちゃ混ぜ。そのごちゃ混ぜが「こんなことしたら楽しいな」のアイディアを産むんだと思います。

筆者:例えばどんなイベントをされたんですか?

ミルコ:秋田には有名な佃煮があるんですが、佃煮若旦那衆「スメルト」メンバーの一人、イケメン佃煮屋の千田さんをお呼びして、秋田の佃煮事情をクイズ形式で学びながらこれに合う日本酒はどれか等食べて盛り上がった会もあります。

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秋田の佃煮に日本酒を囲んで。
自分のいる場所を識るということの大切さも実感できる。


筆者:ただお店で買うよりも、楽しそう!作っている社長さんと会えるのも魅力的ですね。

ミキティ:今は情勢を鑑みて少数で開催していますが、時期をみてどんどん活動していければと思っています。個人で体験するよりもかなりお得にもなっているので、迷っている方には是非参加して欲しいです。

筆者:このイベントも活動に協力・賛同してくださる「イイね!」から成り立っているんですね。ご縁を大事にしたいですね。

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はじめての秋田舞妓に見入るお子さんの後ろ姿が印象的だ。


筆者:次はいつどんなものを開催予定ですか?

メンバー:次回は遠足をする予定です!何をやるかはお楽しみに。気になった方は、「まんず、参加してみてけれ~!」(秋田弁:まず、参加してみよう)

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コメント終わりの合言葉は、みんなで「イイね!」


 地元を盛り上げていくための取り組みは、中核都市で行う難しさはあれど、自分たちも楽しみながらアイディアを出し合う姿、自分たちのやり方で地元に貢献されている姿に筆者も虜になった出会いとなった。


あきた全国県人会Facebook


【著:秋田市地域おこし協力隊 重久愛(しげひさ・いつみ)】