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さくらの町 ー秋田県井川町ー

秋田県には桜の名所がたくさんありますが、そのうちの1つに井川町があります。

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井川町にある日本国花苑は、40ha※という広大な敷地に、200種2,000本もの桜がある公園です。

No.311 彫刻・遊具51

※40ha=東京ドーム約10個分
写真:日本国花苑フォトコンテスト応募作品


その種類の豊富さから開花時期も異なり、種類によっては5月のGW明けまで桜を楽しむことができるので、毎年たくさんの方が桜を楽しみに訪れます。

No.88 桜52

写真:日本国花苑フォトコンテスト応募作品


そんな井川町ですが、日本国花苑だけでなく、桜にちなんだ特産品も町内外から愛されています。


さくらアイス ー油も売ってるアイスやさんー

日本国花苑の真向かいにあるガソリンスタンドの「佐々木商事」さん。

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一見普通のガソリンスタンドですが、実は日本唯一の特徴が。


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こちらのガソリンスタンドでは、なんとオリジナルのアイスを販売しています。

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【さくらあいす ー花びら味ー】
八重桜を練りこんだ、淡いピンク色がキレイなアイスクリーム。
甘さ控えめで食べ飽きず、桜の風味とミルク感がおいしい一品。
最大で1日1,200個も売り上げた、大人気商品。


ガソリンスタンドで絶品アイス、その気になる理由を伺いました。

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(有)佐々木商事 代表取締役 佐々木雅洋(ささき・まさひろ)さん


ーなぜガソリンスタンドでアイスを?

当たり前にガソリンスタンドをやるのっておもしろみがないなと。
そこでふっと前を見たら、日本国花苑がある。このロケーションを活かせるような商売ができないものかと思いました。
日本国花苑といえば桜。桜を使った、手軽に食べられるスイーツがあればと考え、アイスに行き着きました。
そこから約20年、アイスを販売しています。


ーロングセラーですね!お客さんの反応はどうですか?

はじめは全然売れませんでした。「油を扱っているところでアイスっておかしいだろ」と。
まずは食べてみてもらわないとと、1か月お客さんに無料で配りました。
それで少しずつ受け入れてもらって、日本国花苑のさくらまつりの季節には「さくらのアイス売ってるの?」とお客さんがドッと来てくれるようになって。
マスコミの方の取材も入るようになってから、だいぶアイスのお店として認知されるようになりました。


ー花びら味のほかにも、様々なフレーバーがありますね。

さくらあいすの花びら味、はっぱ味がうちの二大看板ですが、そのほかにも井川町の農産物をつかって新商品を生み出しています。
うちは「素材の味をそのまま活かすアイスクリーム」をコンセプトにしています。
枝豆でもとうもろこしでもかぼちゃでも、アイスを食べたらその農産物も買いたくなるような。そんなリンクがあったらいいなと。

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この日カップで売られていたアイスは、さくらアイスのほか、枝豆・白いとうもろこし・栗かぼちゃのジェラートなど計8種類


ー「油も売ってるアイスやさん」と銘打たれていますが、逆じゃないですか?

お客さんの中には、給油しないけどアイスだけ買いたいっていう方もたくさんいるんですよ。
そういう方の8割が「給油しなくてごめんね」って言うんです。
そんなの関係ないのにと思いながら「うちはアイス屋ですから」と返し続けてきたのを、キャッチコピーにしてしまおうと。
「うちはアイス屋だから遠慮なさらずに」という気持ちを込めています。


ー 確かに、それはもうアイス屋さんですね!

広い秋田県ですが、遠い地域からもアイス目的で来ていただいていますし、県外のマスコミさんからも取材を受けています。
それももちろん嬉しいですが、自分の夢の一つとして「井川町の人が全員うちのアイスを口にしたことがある」状態に持っていきたいというのがありまして。
どうしたらそこに近づけるかなと考えて生まれたのが「受験生応援企画」です。

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井川町の中学3年生にさくらアイスを配り、志望校合格に向け頑張る受験生にエールを送る企画。今年で16年目。

町には高校がないので、受験生は必ず町外の高校に行きます。
楽しい後押しをしてあげたくて、今ではアイス以外にも、県内出身のラッパーさんに歌ってもらったり、秋田県のプロスポーツ選手に来て話をしてもらったり。いい思い出づくりの会にしようと。
今では成長した子どもたちが、結婚して親になって、「あのときはお世話になりました」ってアイスを買いに来てくれるんです。
こちらがいい思いをさせてもらっています。

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日本酒・桜名月 ー井川町の酒米復活プロジェクトー

井川町の酒米を使い、桜の名前を冠する日本酒があります。

その名も桜名月。

桜名月

【桜名月】
毎年3月30日に発売。春の訪れを告げる日本酒。
写真提供:井川町

井川町はかつて酒米を生産していましたが、いつからかその生産が絶たれてしまいました。
しかし5年前、井川町の農家と秋田県のFMラジオ番組「ハナキン桜庭編集部」がコラボし、酒米が復活!
隣町である五城目町の酒蔵「福禄寿」で醸し、完成したのが桜名月です。


酒米の生産を担うのは、「ローカルフレッシュ」さん。

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農業生産法人(株)ローカルフレッシュ
代表取締役 湊喜孝(みなと・よしたか)さん


ー 酒米復活の経緯は?

井川町をアピールするひとつとして、酒蔵と組んで日本酒をつくろうと、町や広告会社で考えたようです。
乗っかってくれる会社はいないかなと、お声がかかりまして、「そういうことでしたらぜひ」と、いち早く手を挙げました。


ー ラジオ番組と農家のコラボ、おもしろいですね。

「ハナキン桜庭編集部」パーソナリティーの3人娘は忙しい合間を縫って作業しに来てくれます。
草刈りだとか、種まきして育苗の様子を見に来てくれたりだとか。
あとはラジオ番組に出演したこともありますね。「畑からお届けします」みたいな中継もあったし、スタジオ収録もありました。

ローカルフレッシュ4

「ハナキン桜庭編集部」のパーソナリティーとコンバインで稲刈り作業
写真提供:井川町


ー ラジオではどんなお話を?

この時期はどんな作業をしているのかを、農業やったことない人にも伝わるようにわかりやすくお話ししました。
あと、秋田で暮らしている人たちは、自分が農業に一切携わってなくても田んぼの様子ってわかるじゃないですか。
車に乗ってて見えたりするので。
「だんだん黄色くなってきたなー」とか、田植え直後の水張った田んぼが夜に街灯に照らされて「ああきれいだな」とか。
そういう心情にプラスするような話というか、田んぼの様子が想像できるような話をしましたね。

ローカルフレッシュではない

井川町の田んぼ風景
写真提供:井川町


ー 桜名月はどんな日本酒ですか?

今年で5年目ですが、その年によって変化をつけているようです。
「今年は甘くて飲みやすい」とか、「今年はフルーティーだな」とか。
毎年味の変化を感じます。
「ハナキン桜庭編集部」の3人娘の影響もあるのか、「女性向き」という印象を持ちますね。
5年目からは酒米を「美山錦」から「あきた酒こまち」に変更したので、また違った味わいになると思います。


ー 普段は食用のお米も栽培されていますが、酒米ならではの大変さはありますか?

機械の切り替え作業が大変ですね。
ほかの食用米と混ざったら大変なので、機械のモミが通るところを精一杯掃除したり、お米をはじく網目も専用のものを買って切り替えたり。
育苗・収穫という作業が、違う品種がほんの少し入るだけですごく大変になります。
自分たちの経営面積としては、食用米に比べて酒米はごく少量なんですけどね。
でも手間は膨大です。

ローカルフレッシュ3

写真提供:井川町


ー 酒米復活の裏には、こんな苦労があるんですね。

それでも、井川町で生きているからには協力していきたいです。
そもそも井川町を秋田県内外にアピールできることなんて、今まであまり考えたこともなかった。
県民の中でも、桜名月を通じて井川町を知ることになった人が、いくらかは増えたはずなんです。
それだけじゃなくて秋田を飛び出して東京都内でも売られていたり。
これからも井川町の看板背負って、この流れに参加していきたいですね。



桜の町である井川町。
目で、舌で、桜を楽しめば皆さんもきっと井川町のファンになると思います。
春にはぜひ、井川町をお楽しみください。

No.203 桜116

写真:日本国花苑フォトコンテスト応募作品



「さくらあいす」はオンラインショップからも購入できます。



さくらあいすや桜名月は、井川町のふるさと納税返礼品としてもお楽しみいただけます。
https://www.satofull.jp/town-ikawa-akita/



【著:あきたどまんなか宣伝局(秋田県秋田地域振興局)】