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映画評論7「Fukushima 50」

少し前に観た映画です。
緊急事態宣言が出る前に観た最後の映画になりました。
しばらく映画館での鑑賞は難しそうですね…

平日のレイトショーは、ほぼ貸し切り状態で、「3密」を避けられる娯楽として良かったんですけどね…

また普通に映画を観られる状況に、なるべく早く戻ってくれることを願います。

緊急事態宣言が出されて2日。
何が変わったの?と思っている人たちがいる一方、少しずつ事態の深刻さに気がついてきている人が増えているように感じます。

また、百貨店、ショッピングモールの臨時休業が実際に始まり、日産が5000億の融資枠を申請したなど、誰でも知っている企業の対応が表面化してくるなど、経済的にも厳しい状況になってきていることを実感します。

作品情報

Fukushima 50:2020/03/06 公開
視聴日 :2020/03/26

監督:若松節朗
脚本:前川洋一
出演:佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、萩原聖人、吉岡里帆、斎藤工、富田靖子、佐野史郎、安田成美

「空母いぶき」「沈まぬ太陽」「ホワイトアウト」などで監督を務めた若松節朗監督の作品です。

ストーリー

ストーリーはもはや説明不要でしょう。

2011年3月11日、午後2時46分。
東日本大震災発生。

日本中を震撼させた、福島第一原子力発電所の危機。

原発内で戦い続けた50人の作業員たちの、知られざるドラマです。

感想

すごい映画です。
徹底的に現場の状況を描いており、圧倒的な迫力、リアルさがあります。

当時、テレビでは原発の番組ばかりやっていたけど、実際にそこで、現場で何が行われていたのかということを、僕はまったく知らなかったことを思い知らされました。

東日本大震災、自らや家族も被災している中、目に見えない放射能という恐怖と戦いながら、原発を収束させるために戦った方々は本当に賞賛されるべき存在であり、まさに決死隊としての覚悟を持って対応していたであろうことが、減衰することなく伝わってきます。

そこには様々な苦悩や葛藤もあり、人間の力では制御することのできない原発の暴走に直面し、時にくじける者もいました。
しかし、それぞれの人が、それぞれの立場で、懸命に役目を果たしたことにより、今日の日本があるのだと強く感じました。

映画評論6「弥生、三月-君を愛した30年-」でも、強く正しくあろうとすること、後悔のないように生きることの大切さを感じましたが、この作品でも似たものを感じました。

一人一人の人間の、覚悟が、勇気が、本気が、圧倒的に伝わってくる作品を観ると、今の自分が本当に精一杯生きているのかな、と考えさせられます。

命を削るような生き方はできていないし、サボってるなと感じる時間もあります。
もちろん、このような時間も必要であることはわかっているのですが、理想の自分はもちろんのこと、過去の自分にも負けてるなと、少し残念な気持ちにもなります。

人類が初めて直面するような先の見えない未曽有の危機の中、新型コロナウイルスの収束がいつ頃になるのかは、まったくわかりません。
今は、少し楽な気持ちを持ちながら、少しづつでも前に進んでいくことが大事かなとも思います。

この作品では、現場と政府の温度差や、現場の状況を顧みない政府、上層部の動きも描かれています。
もちろん、現場で戦った人たちを英雄として描くために、そういう作りになっているのであろうことはわかりますが、実際にもこれに近い状況があったのではと感じてしまいます。

組織のあり方や、リーダーとしての資質についても考えさせられる作品であり、新型コロナウイルスの対応で大きな批判を浴びている今の政府とリンクさせずにはいられません。

東日本大震災。
台風19号。
新型コロナウイルス。

人間にはコントロールすることができない、自然の脅威はいつもすぐそばにあることを、忘れてはいけないと改めて強く思います。

と同時に、コントロールすることができない、圧倒的脅威に対して、勇敢に立ち向かう人たちが常にいて、そのたびにその脅威を乗り越えて、今がある。ということに感謝したいと思います。

最後にキャストについてですが、佐藤浩市渡辺謙、この二人は凄すぎる!
圧倒的重厚感、深みのある演技、この二人でなくてはこの作品は成り立たなかったと思います。

他のキャストも皆、非常に良かった。
いわゆる、名脇役というポジションの方が多く出演していますが、これがより一層現場のリアルさを強調していたように思います。

絶対に観るべき。後世に残すべき作品だと思います。

この映画が好きな方へのオススメ

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」

監督:マイケル・ドハティ
出演:渡辺謙、カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード

放射能、渡辺謙、そして人類が抗うことのできない脅威。
「Fukushima 50」を見ていて、ふと頭によぎったのがこの映画でした。

ゴジラに対しての敬意と恐怖が描かれていたのが印象的でした。
これは自然に対して人間が抱く感情と同じかなと思います。

最新のCGで描かれる怪獣バトルも見ごたえがあります!

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