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映画評論2「AI崩壊」

週末3連休だった方も多いのではないでしょうか。
僕も時間があったので、気になっていた映画を観てきました。

最近、何かと耳にすることが多くなってきている「AI」を題材にした作品です。

作品情報

AI崩壊 2020/01/31公開
視聴日 2020/02/23

監督:入江悠
出演:大沢たかお、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典、髙嶋政宏、松嶋菜々子、三浦友和

「SR サイタマノラッパー」で高い評価を得て、最近では「22年目の告白-私が殺人犯です-」で話題となった入江悠監督の作品です。

出演は、「キングダム」の王騎役で注目を集めた大沢たかお、福田雄一監督の作品でコメディ俳優としてもブレイクしている賀来賢人など、キャスティングも個人的に非常に好きな映画でした。

ストーリー

物語は今からたった3年後の2023年から始まります。
AIの研究者である桐生浩介(大沢たかお)は妻の望(松嶋菜々子)、義弟の西村悟(賀来賢人)とともにAIの研究を進めています。

桐生は癌になった妻を救うために、AIを創薬に生かす研究を進めていましたが、厚生省の認可が下りなかったことから、妻を救うことはできませんでした。

その後、医療AI「のぞみ」を開発。2030年には「のぞみ」は様々なデバイスと連携し、クラウド上で情報を一括管理することで、国民の生活に不可欠なインフラへと成長します。

この功績が認められ、桐生は総理大臣賞を受けることになり、久々に帰国します。
桐生の義弟である西村が代表を務め、「のぞみ」を管理運営するHOPE社の新たなデータセンターの完成式典に出席する桐生ですが、その時「のぞみ」が突如暴走を始めます。

警察はこの暴走の首謀者を桐生と断定。桐生の逃亡と「のぞみ」の暴走を止めるための戦いが幕を開けます。

感想

王道の逃亡系、機械が人間に牙をむく系の映画ですが、リアリティのある設定、キャストの好演、わかりやすくスピーディーな展開のおかげで純粋に楽しめました。
終盤には少し涙が出てしまうようなシーンもあり、AIを題材にしつつも、人の暖かさのようなものも描かれていて、その部分も好きでした。

2023年、作中では画像診断を中心としたAIの開発が行われており、現時点から考えてかなり現実的な設定となっています。

調べてみると、AIの監修をAIの第一人者といわれる東京大学の松尾教授が務められているようです。

他にも、2030年時点での都市部と地方部での格差の拡大や、沖縄ではAIの普及率が低かったりと、リアリティのある設定が多く、ストレスなく世界に入り込めました。

劇中でも語られていますが、産業革命の時に仕事を奪われると思った労働者が機械を壊したというエピソードがあります。
いわゆる、機械打ちこわし運動、ラッダイト運動と呼ばれるものです。

HOPE社の前でAIに対する抗議活動をしている人たちが描かれていますが、AIが発展していった場合、現実にこのような反対運動はきっと起こるのでしょう。

今、工場の機械がなくなってしまったら、多くの労働者は困ることになります。
現代を生きる我々は、産業革命の時に機械を壊した人たちを愚かだと考える人が多いでしょう。

しかし、そのような人であっても、機械とAIは違う、時代が違う、といろいろな理由でAIの時には反応してしまうと思います。

残念ながら本当の意味で歴史に学べる人は多くありません。
ゆえに歴史は繰り返す。というわけですね。

今、AIなんてまったくわからない、新しいものを受け入れることが嫌いという人にこそ見て欲しい映画です。

AIは危険なのか!?

この映画で描かれたように、AIが人を殺す力を持つ日もきっと来ます。

であれば、AIの開発はするべきではないのでしょうか?

車も簡単に人を殺すことができます。
悪意があればもちろんですが、そうでなくても日々多くの人が事故で亡くなっています。

車がなければ自動車事故は起こりません。
では、車はない方がいいですか?
僕は車がないと困ります。

同じように包丁もSNSも、人を殺す力を持っています。

AIだけがなぜか特別視されているような状況がありますが、テクノロジーの発達の延長線上にある、多くのものの一つです。

結局はそれを扱う人間がどうか。
やっぱりここが重要なのだと思います。

ラストシーンで、桐生に娘が質問をします。

「AIが人を幸せにできるか?」

これに対して桐生は

「親が子供を幸せにできるか?」

この質問と同じようなものだと語ります。

僕は親が子供を幸せにする割合よりは、AIが人を幸せにする割合の方が高いような気がします。

願わくば、親も子供を、AIも人を、幸せにできる世の中になって欲しいですね。
そして、それは、どこまでいっても我々「人」に委ねられているのだと思います。

偶然にも、映画評論1で書いた、サマーウォーズと同じような問題提起になってしまいました。

この映画が好きな方へのオススメ

「22年目の告白-私が殺人犯です-」

監督:入江悠
出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈

本作で監督を務める入江悠監督の作品です。
内容としてはサスペンスで、本作とはちょっと違うんですけど、僕は結構衝撃を受けた作品でした。

まだ、観ていない方がいたら、監督つながりでぜひ観てみてください。

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