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タイダイって何ですか【ファッション】

こんにちは。アキスケです。

夏になると見かけるファッションアイテムに「タイダイ染め」の商品があります。街で、というより音楽フェスとかでよく見るかもです。

タイダイ染めのTシャツ
THE NORTH FACEより引用

「タイダイ」なんて、そんな日本語ないですし日常会話にもまず出てこない音の並びなので言葉だけ聞くとピンとこないですよね。
今回はそんなタイダイ染めが気になったのでちょっと調べてみました。


結論からいうとタイダイ染めの「タイダイ」は染め方のことを指しています。「タイ(tie 絞る)」と「ダイ(dye 染める)」、ふたつの英語をあわせた名前です。和名だと「絞り染め」というそうです。

タイダイ染めは布の一部を糸でくくって染色します。そうするとくくった箇所には染料が浸透しにくくなって白く残ります。その結果染料が浸透したところとそうでないところで色にムラができて冒頭にあげた写真のような独特のにじみがある表情が生まれます。

タイダイ染めの方法には糸でくくる他にも、棒や板で締め付けて染色する方法とか生地を下絵にそって縫って引き締めたうえで染色する方法もあるそうです。


タイダイ染めという染め方自体は大昔からある伝統的な染色方法で日本では奈良時代くらいからそれなりに用いられていたそうです。そこから現代のようにファッションアイテムとして認知されたのにはきっかけがあります。
それがヒッピームーブメントです。

ヒッピームーブメントは1960年代後半にサンフランシスコで生まれた、若者を中心として起こった脱社会的な運動です。
当時のアメリカは高度経済成長期にあって、官僚や大企業など出世競争が盛んで物質主義、中産階級的な道徳観(年収1000万くらいのちょいセレブみたいな人)が”ふつう”になっていました。
そういう社会潮流に対するカウンターカルチャーとして10代20代中心に生まれたのがヒッピームーブメントです。

彼らは自然回帰と健康的な生活を目指し自給自足の生活を実践しようとしました。そのなかで自分達で着るものも自然のものを使って作ろうぜ!となり作って着たものがタイダイ染めの衣類でした。(その他にも彼らを象徴するファッションアイテムがあります。エスニック風の ビーズネックレス、ロングスカートやスモック、ヘッドバンドなどがそれにあたります)


そして彼らの活動のひとつに、仲間同士街角で集まって音楽を流して踊る、というのがありました。特に有名なのは1967年の夏に起こった「Summer of Love(サマー・オブ・ラブ)」という文化的、政治的な主張を伴う社会現象です。
この時にサンフランシスコのヘイトアシュベリーという地区へ、全米から10万人以上のヒッピー達が押し寄せたそうです。

主に野外の音楽イベントでタイダイ染めのTシャツを見かけるのはこの辺りに影響を受けている面もあるのでしょう。

(だいぶはしょっています。ここだけみるとヒッピームーブメントは「元気な若者たちの活動」ぐらいに見えるかもですが、全員ではないと思いますがドラッグ使用の常習化など良くない側面もあります。この記事ではタイダイ染めとは何か。に焦点を当てているので深堀はしていませんけれど詳しく知りたい方は調べてみてくださいね。)


ここまでを見ると、タイダイ染めのアイテムを着ていたら「ヒッピーの人」っぽく見られるかも、と思ってしまいそうですが、もちろんそんなことはないと思ってます。

先に書いたようにタイダイ染め自体は大昔から親しまれてきた染色技法です。なので純粋にその染色による表情が好きで着用する人もいます。
染め物として色あいが好きで着ている人なのか、それともヒッピームーブメントに影響を受けてタイダイ染めのアイテムを着ているのかは、ある程度リテラシーがある人ならば着こなしを見ればわかります。…と、僕は思ってます!


というわけで今回はタイダイ染めについて調べてみました。

タイダイは染色方法で「タイ(tie 絞る)」と「ダイ(dye 染める)」を合わせた呼び方であること。
そしてちょっとですけどタイダイ染めのアイテムがファッションアイテムとして認知された背景について触れてきました。

背景の話をすると文化の話とかが入ってきて少し難しくなるのですが、セットで分かろうとすると着こなしにより説得力が出ると思っています。
ふだん何気なく身に付けているものも、だいたいは何らかのルーツを持っていますから興味を持ったものは調べてみると意外な発見があるかもしれません。

それでは、また。

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