アナスタシアの楽曲の素晴らしさを語る


東京公演は千秋楽が東京都および隣県の外出自粛期間に被ってしまったために、1日早い幕切れとなりました…。
残念でなりませんが、大阪でも公演ができることを切に祈っています。
そして、パンフレットの通販もありがたいですが、なによりもDVD化、CD化を望みます…!!
これだけ素晴らしいキャストが揃った日本初演、半分以上の公演が流れてしまうなんて、見られない人がこれほど多いなんて、勿体無さすぎます。

一度しか見られなかった腹いせに(?)ひたすら自宅で仕事中にAnastasiaの曲を無限再生している中で、どうしても愛を叫びたくなったので、書き残しておこうかと思います。
一部は前のエントリで残していたものを書き直したものなので(あまりの走り書きかつテーマの統一性のなさに交通整理が必要と感じました…こんなエントリを読んでくださったみなさまありがとうございます)、軽く読み流していただけたら幸いです。
ついでに、アナスタシアの死の経緯についても追加で気付いたことを書いておきました。同じく疑問に思われている方がいらしたら、日本語版のニュアンス等私が覚えきれていないところもあると思うので、補足いただきたいです。

アナスタシアの死の真相

下記のセリフや歌詞から、英語版では結論としては、「グレブの父は王室をアナスタシアの目の前で殺したが、アナスタシアだけを見逃し、その科で殺された。」というのがアナスタシアが生き残った経緯かと思います。が、ならなぜアーニャはそこらへんの病院で目覚めるのか、は謎です。また、日本語ではここまで訳しきれていないように思うのですが、今回の演出の意図はどうでしょうか…

・アーニャは車の音に反応する(銃声に聞こえた)
・グレブは「兵士に連行されていくアナスタシアを見た(I saw the children as the soldiers closed the gate // The youngest daughter and her pride)」「母親は「父は恥じて死んだ」と言う」(なお、原語では "My father shook his head and told me not to ask // My mother said he died of shame")と歌う(The Neva Flows)
・グレブの上官は、「アーニャがアナスタシアだったら?」と問うグレブに対し、「父の仕事を終わらせろ」と言う
・アーニャの夢で、アレクセイが「僕はこれから殺される」と話しかける
・グレブとの対決でアーニャは "Do it and I will be with my parents and my brother and sisters in that cellar in Yekaterinburg all over again" (日本語ではここまで詳細な説明はなかったと記憶しています)と言うので、やはりエカテリンブルクでの殺害の様子を実際に見ている

曲になるとなかなか言葉を入れきれないのは日本語の特徴でもありますが、それにしても今回はもう少し丁寧に訳していただきたかったなという気持ちがあります…
夢の中のアレクセイの発言でだいたいわかるからいいのかな……

ここから先は、好きな曲についてひたすら書き綴っていきます!!!

My Petersburg

街を歩くだけで歌いたくなる、疾走感のある曲。宮殿見上げて、路地を行く〜街の全て、俺のもの、とか浪漫じゃないですか!!!

残念ながらサンクトペテルブルグに行ったことはありませんが、美しい宮殿と細い石畳・路地はヨーロッパのどの都市でも共通なので、なんとなく思い浮かべられる気がします。それにしても、土産物を売りつける人なんてたくさんいますが、「あの桟橋で偽の土産を売りつけた〜〜」って、海宝くんほど良い声で得意げに言う人はいません。笑
そして、なんといっても映像が美しい!!!青・紫がかった夕暮れのサンクトペテルブルグなのでしょうか。あと、内海くんがジャケットをはらう動きがかっこよかった覚えがあります(そこ)。彼は本当に、歌を心配せずに演技を見ていられるので、ミュージカル役者として頑張ってほしいなぁと思います…もちろん技術は海宝先輩を見習って頑張っていただきたいけれど……
コロナのおかげで自宅軟禁の日々ですが、旅行にいくならロシア!!!!!と、最近思っています。サンクトペテルブルグはほぼヨーロッパなので、いくの大変だけれども。VISAもいるし。。

Journey to the Past

1幕ラスト、言わずと知れた名曲。アカデミー歌曲賞にもノミネートされていたのですね。
音階をだんだん昇っていく曲なので、歌っている側は同じ声質で歌っていくのは難しいのではないかと思います。木下晴香さんでも少し辛そうですし…。
アニメ版から、「Home, Love, Family」という三単語が強烈なインパクトを与える曲だなと思いました。この一節の前後で語る内容が彼女の過去/現在→未来、と変わっていくんですよね。
原曲ではそのまま "I will never be complete until I find you"と続くのですが、最後に見つける "you" は、Homeがパリ(グレブとの対決曲 Still/the Neva Flowsで "My home is here now" と言っているので)、LoveがディミトリFamilyが皇太后、でしょうか。最後には全部見つけて、自分自身を取り戻す、良い物語ですね…(と思うと、冒頭で歌われるアニメ版の曲順も良いなと思いますね)
この曲とディミトリのMy Petersburgは対になっているのだなあと思います。グレブにもThe Neva Flows ("The Neva flows, a new wind blows, and soon it will be spring" なので、今は冬)とより良い将来を夢見る曲がありますし、「時」も一つの鍵ですね。(まぁ当たり前か)
さらに全部ちゃんと父(アーニャは覚えていないので"家族"ですが)を登場させてくれるので、登場人物間の繋がりが見えやすく、とはいえそれぞれ少しずつ違うので、物語が立体的に立ち上がる、良い構成だなぁと思います

Stay, I Pray You

CHESSのAnthemを思い出してしまいました。ちょうど2月に国際フォーラムでラミンのアナトリーを見ていたので、容易に繋がったというのもあるとは思います。
アメリカ人のロシア人のイメージは故郷を思ってバラードを歌う人たちなんでしょうか…。ロシア亡命貴族が各地で独自コミュニティを作っていたことを表現している気もしますが。グレブのセリフでGood and Royal Russianという言葉がありますが、ロシアのことが大好きなんでしょうね。
ちなみに、Russiaは女性名詞のようで、「she/hers」とよく繰り返されています。最後のグレブとの対決曲 Still/the Neva Flows でグレブは "For Russia, my beauty" と言いますが、グレブにとってのRussiaであり、my beautyはアーニャとなって、彼はこれからSovietに仕えていくのでしょうか。

In a Crowd of Thousands

ディミトリは彼女の幸せを願って、「善き時代」の誰も傷つけないはずの記憶を話して、アーニャの真の姿を知ってしまうんですよね。

幼い時に見た憧れの皇女とアーニャが重なってしまった瞬間、当時の彼女と自分を隔てる群衆を、立場の違いを思い出し、同じところに行けない切なさを感じて、自分の気持ちを知るのかなぁと思います。
彼女が自分の本当の姿を知った喜びを分かち合い、思わずキスしそうになったところで、はっとして"Your Highness"と幼い頃と同じように跪く。冷たい色の照明が二人だけを照らしているのもあり、美しいと同時に切ないシーンでした。アーニャもアーニャで、信頼も好意も寄せるディミトリに跪かれ、自分がアナスタシアだと信じられて嬉しいと同時に、寂しかったのかなと。彼のその行為を見たからこそ、あとで皇太后に詐欺師と罵られた時に、余計に傷ついたのだと思います。
それにしても、照明が強いからか残像が残ってしまう中、猛ダッシュで袖にハケていったディミよしとわかーにゃは忘れないよ……笑

Quartet at the Ballet

BGMは白鳥の湖の曲→キャラクターごとのソロ→白鳥の湖の曲…を繰り返し、オデット=アナスタシア(In My Dreams)王子=ディミトリ(Once Upon a December)四羽の白鳥(三羽)=マリア皇太后(Once Upon a December/Close the Door?)ロットバルト=グレブ(The Neva Flows)、で白鳥の湖のショートバージョンが上演されます。
このカルテットがとても良い。そして、ディミトリはこの中で "Home, love, family, she'll have all of it" と歌っているみたいですね(聞き分けられたことはない…)。ここでは、Loveは彼が与えるものではないのですね。。。Everything to Winの伏線かな?このあと別離を覚悟し自分の気持ちに気づくとはいえ、この時点から彼はなんとなく思っていたのだなぁと。
白鳥の湖のキャラクターとも合っているし、それぞれの歌詞を歌いついでいくのも王道ミュージカルで大好きです。この曲がAnastasiaで一番見ていて一番心に残るシーンでした。

Everything to Win

多くは語るまい。大好きな曲です。内海ディミトリは声でも演技でもよく彼の心配や戸惑いの気持ちを表していたなぁと思います。CD化かDVD化を…!(何度でも言う)
You'll never know, you'll never know...のあとの盛り上がり、Anastasiaで他にも出てくる気がするんですが、これかな?と思うものを聞いても違うことばかりで…気付いた方いたらぜひ教えてください。
ご存知の方もいるかもしれませんが、この曲、With everything to win, the only thing I lose...のあと、Home, Love, Familyの音を奏でるんですよね(鉄琴とヴァイオリンかな?)。ディミトリが思う、彼女が探していた3つは手に入れられて、HomeもLoveもFamilyもなかったディミトリにとって、それらとなりうる彼女を失うと思っている。「記憶喪失の皇女が自分の家族を見つけた」というおとぎ話はかなっても、自分のおとぎ話、身分違いの恋は、叶わない
ああああああ切ない……ディミトリ……!!!

Still/The Neva Flows(Reprise)

グレブとアーニャの対決曲ですが、この曲の時に後ろでまずはロマノフ家が(多分)グレブの父に追い詰められていくんですよね。そして、グレブが銃を手放して諦めてからは、棺が担がれてくる。ここでグレブは正しく父の死を認め、弔うことができたということでしょうか。それにしては、「私は、父の子ではなかったということだ」の意図が不明ですが。
全然関係ないですが。英語版を延々流し続けているので、My PetersburgとJourney to the Past以外の曲の日本語の歌詞を忘れかけているものの、耕史グレブだけはふとしたときにセリフを彼の声で再生できるんですよね。本当に不思議。刻み込まれている…役者だ……


グレブの曲は、好きなんですが、正直よくわからないのです。
もうすぐ春がくる、とは、ロマノフ家を根絶やしにしたら古い時代=冬が終わり、春がくることの示唆なのかな、とか色々と思うところもありつつ、毎回ただただ聞いて終わってしまいます。ラミン、声良すぎかな。

いくらでも語れるアナスタシアですが、夜も更けてきたので、ここらへんで。
DVD化、CD化、期待しています!!!!

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