ミュージカル『アナスタシア』観劇(3/20ソワレ) -1/2

ミュージカル『アナスタシア』を見てきました。


本作はダブルキャスト・トリプルキャストが多く、当日のキャストは下記の通り。

・アーニャ:葵わかな
・ディミトリ:内海啓貴
・グレブ:山本耕史
・ヴラド:大澄賢也
・リリー:堀内敬子

コロナで前日までの公演が軒並み休演となり、この日がディミトリ役内海くんの初日。
本当は3/15の海宝ディミトリでチケットを取っていたのですが、この日も漏れなく休演だったので、急遽そのとき再開を予定していた日の3/20のチケットを追加していました。20日のこのタイミングしかいける日がなかったので、キャストはほぼ確認していませんでしたが、グレブは絶対に耕史さんで見たいと思っていたので、この日は当たり。ただ、彼以外もとてもとてもよく、総じて満足度のとても高い公演でした。
以下、盛大にネタバレを含みますのでご注意ください。

このエントリでは、原作(とは今回は特に言っていませんが)となるアニメ版との違いを書いていこうと思います。

キャストについては2/3で、ストーリー考察は3/3で思うままに書き散らしています。

1. ストーリー全般

原作アニメ(20世紀FOX版)では、ロマノフ家・アーニャを追い詰めていくのは怪僧ラスプーチン。地下の世界の禍々しさや悪魔等アニメならではの表現で描かれています。

(オンライン購入のバナー…!時代ですね)
このアニメの曲やストーリーを下敷きにしつつ、ミュージカル版では敵役にボリシェビキの将官グレブ(警視副総監、と自分では名乗っています)が配置されています。
他にも、Rumor in St. Petersburgの曲冒頭で「サンクト・ペテルブルクは今日からレニングラード」とグレブが宣言したり、パリのロシア亡命貴族の社交クラブのシーンがあったりと、当時の社会情勢を反映したストーリーに変更されています。

1-2. アーニャが生き残った理由と唯一の持ち物

アニメ版では「オルゴールを忘れ、取りに戻ったアナスタシアと、彼女を追ってきたマリア皇太后の二人は家族と別れて汽車に乗ろうとするが、アナスタシアは取り残される。その際に頭を打って記憶喪失となり、孤児院で育つ」というもの。
今作は、特にその部分は描かれておらず(オルゴールを取りに行った描写あり)、アナスタシアが撃たれたような描写の次のシーンがRumor in St.Petersburgと、その間のストーリーが一切ありません。
原作ではオルゴールを受け取った直後に革命が始まったので、皇太后がロシアにいましたが、彼女がパリで生き残ることを考えると、ミュージカルのようにアーニャを成長させて皇太后をパリに帰してから革命を起こすことで分かりやすくなったように思います。

また、アニメ版ではアーニャの唯一の持ち物はオルゴールの鍵でしたが、ミュージカル版では3人分のパリ行きの切符(と豪華なお洋服?)を買えるだけの価値があるダイヤでした。これはオルゴールの鍵(「Together in Paris」と書いてある)を持ってパリを目指す、という方がシンプルで分かりやすいのかなと。「パリで誰かが待っているという記憶だけがある」状態に納得感があまりない気がしています。

2. 楽曲について

原作のミュージカルアニメの曲は、順序やシーン、歌詞やメロディラインを変えられて残っています。それに加えて新曲が同数くらいでしょうか。元の曲の印象が強すぎて、正直変更された曲は違和感が先にきてしまいましたが、新曲はとても好みでした。

以下、備忘のため原曲と今回の変更点を書いておきます。

・Rumor in St. Petersburg
→グレブが冒頭「レニングラードになった」と言うので、歌詞でペテルブルクと歌っている人たちが王家のゴシップ好きということがよく分かります。
→曲の長さ自体が長くなり、メロディラインも変更。
→歌詞もディミトリとヴラドが「You and me」と歌うところが「Me and you」になっている等マイナーチェンジがありそうです。

・Once Upon a December
→曲の挿入タイミング変更。原作ではアーニャが王宮にディミトリを訪ねたタイミングで歌われますが、今回はオルゴールを渡されたときに変更。
→亡霊が出てくる演出は同様。

・Journey to the Past
→曲の挿入タイミング変更。原作ではアーニャが孤児院を出てペテルブルクに向かうときに歌われますが、今回は1幕ラスト、パリを目前にしたアーニャが歌います。歌詞・メロディは完全に一緒かと。

・Learn to Do It
→タイミング、曲、歌詞共に概ね原作と一緒です。途中でセリフが挿入されているのと(「とんだ負けず嫌い」、でしたっけ?)メロディーには変更があるかな。周りの人は特に出てこなくて、最後まで3人の曲です。

・Paris Holds a Key (to Your Heart)
→タイミングはパリについた時ですが、リリーに会う前に変更。カンカンには行かない(街の人と踊る)、2幕冒頭のナンバー。
→ディミトリのソロは、額縁のようになっている舞台の端にもたれかかって歌う演出ですが、ここで初めて額縁になっていると気づきました。絵のようなパリの街、ということなんでしょうか。

・In the Dark of the Night
→ラスプーチンの曲。Stay, I Pray You(ロシア出立前の曲)に、ラスプーチンが悪魔を呼び出している部分のメロディラインが出てきます。
なぜ、ここ…笑 リサイクル…??笑

・Waltz
→Countess and Common Manという曲になり、ヴラドとリリーの曲に。歌詞は全面的に変わっていますが、メロディラインは変わらず。前のWaltzも好きでしたが、歌詞が変更されるだけでここまで面白い曲になるのかと思いました。結構好きです、この曲。


長くなってしまったのでキャスト別感想は別途。


いただいたサポートは、趣味の諸々をより充実させるために使わせていただきます。